本記事では、バッファローのWi-Fiルーターの最上位モデル、WXR-11000XE12をレビューします。最新規格のWi-Fi 6Eや10Gの高速な光回線に対応するなど、最先端の通信技術を搭載したWi-Fiルーターです。
最近はフレッツ 光クロスなど、10Gの超高速通信ができる光回線が増えてきました。しかし、そんな高速回線をフルに活かすには高性能なWi-Fiルーターが必須です。
今回レビューするバッファローのWXR-11000XE12は、10Gの高速回線への対応に加え、Wi-Fi 6Eの対応、特許取得のアンテナなど最新の高速化技術が詰まったWi-Fiルーターです。
実際にバッファロー WXR-11000XE12を使ってみましたので、特長や使用感をメリット・デメリット含めレビューしていきます!
- 10Gの高速通信に対応しより快適に通信できる
- Wi-Fi 6Eに対応し使える周波数が増えた
- NAS機能が使える
- アプリでステータスを確認できる
- アンテナを動かして家ごとの最適な調整ができる
- Wi-Fi EasyMesh™で他のルーターもメッシュ化できる
- 管理画面に同時ログインできるのは1台のみ
- アプリでできることが少ない
WXR-11000XE12の特長
WXR-11000XE12の特長・仕様・付属品を下記のタブにまとめました。
- 最新規格「Wi-Fi 6E」対応
最新規格Wi-Fi 6Eに対応したフラッグシップWi-Fiルーターです。電波干渉の少ない6GHz帯により、高速かつ安定した通信を実現します。 - 6GHzを活かす外付けアンテナ
独自設計の外付けアンテナで、Wi-Fiを飛ばす方向を調整できます。Wi-Fiをよく使う部屋に向けてWi-Fiを飛ばすことで、6GHzの特性をカバーしつつ、快適な通信が可能です。 - 10Gの高速回線に対応
10Gbps(規格値)の高速インターネット回線に対応した、INTERNET/LANポートを1ポートずつ搭載。無線でも有線でも高速なインターネット環境を構築できます。※10G対応LANポート×1、1G対応LANポート×3搭載 - メッシュWi-Fiですみずみまでカバー
標準規格Wi-Fi EasyMesh(TM)に対応。対応商品を自由に組み合わせることで、Wi-Fiのエリアを簡単に広げることができます。 - 安心のセキュリティー
より強固なセキュリティー規格「WPA3」に対応。通信の暗号化により、高い安全性を確保します。また、セキュリティ―機能「ネット脅威ブロッカー2 プレミアム」に後日対応予定です。
WXR-11000XE12本体の外観
WXR-11000XE12は、本体サイズと同等の長さの4本の外部アンテナが大きな特徴です。ガンメタ、赤、金色と配色も個性的で、どこかゲーミングルーターを思わせるようなかっこよさがあります。
放熱対策のため、天板部分にはベントが設けられています。
本体の背面には壁掛け用の穴が空いており、スタンドだけではなく壁掛け使用も可能です。背面も放熱用の穴が空いており、かなり冷却に力を入れていますね。
左サイドには下記のボタンが搭載されています。
- AOSSボタン
- Router/AP/WBスイッチ
- AUTO/MANUALスイッチ
- RESETボタン
ルーターモードとアクセスポイントモードをスイッチで切り替えできるのは便利ですね!
右サイドには下記のポートが揃っています。
- USB Type-A×1
- LANポート(10G)
- LANポート(1G)
- INTERNETポート(10G)
10G対応のLANポートがあるので、対応する回線があればかなり高速で通信できますね。
アンテナは垂直方向に180°、水平方向に180°、回転方向に270°動きます。WXR-11000XE12はアンテナの向きで複数階や平屋など様々な家の種類に対応できるので、細かく角度を調整できますね。
この形状、インベーダーゲームのエイリアンを思い出します。
WXR-11000XE12のインジケーターランプ
WXR-11000XE12は主に下記のインジケーターランプを搭載しています。
- WIRELESSランプ・・・Wi-Fi通信状態を表示します。
- INTERNETランプ・・・インターネット通信状態を表示します
- ROUTERランプ・・・ルーターの状態を表示します。
サイズと重量
サイズは幅300mm x 高さ396mm(アンテナを含まず195mm)x 奥行き75mmです。重さは本体のみで約1,515gと、Wi-Fiルーターの中では大きくずっしりしています。
他社のフラグシップモデルであるNETGEAR Nighthawk RAX200と比べると、ボディのサイズ自体は同じぐらいですが外付けアンテナの分大きさが際立ちますね。
ただし、実際に使用する際は立てるため、奥行き自体はかなりスリムです。
WXR-11000XE12の魅力・メリット
WXR-11000XE12の魅力・メリットはこちらです。
外部アンテナの向きで電波の飛び具合を微調整できる
これまでのWi-Fiルーターでも外部アンテナを搭載した機種はありましたが、「とりあえず全部立てておけばいいのかな?」とアンテナの扱いに迷うことがありました。
WXR-11000XE12は、外部アンテナの角度調整だけではなく、アンテナの向ける面によって電波の強さが変わるため、より細かな調整ができます。WXR-11000XE12の場合、アンテナの広い面が電波が強く飛ぶ、細い面が電波が弱く飛ぶよう設計されています。
ただ、アンテナをどう向けるのがベストなのか初心者に分かり辛いですよね。そんな方でも迷わず設定できるよう、なんとアンテナ設定ガイドが付属しています。これを見ながらアンテナを設定すれば、どんな家でも限りなく死角のない電波状態が作れます。
2階建ての自宅でアンテナ設定ガイドの通りに向きを変えてみましたが、確かにすべてのアンテナを垂直に立てたときより1階の電波の入りが良くなった気がします。
今までアンテナ付きのルーターで効果が実感できなかった方は、結構感動しますよ。
充実した高速化技術
WXR-11000XE12は、快適な通信を実現するために複数の高速化技術を組み合わせています。
- Wi-Fi 6E/OFDMA
- 12ストリーム外付け「トリプルバンドダイポールアンテナ」×4とビームフォーミング技術
- IPv6 IPoE対応
1つ目の「Wi-Fi 6E」は、従来の「高速・省エネ・高効率」に優れている「Wi-Fi 6」の規格に新しい周波数帯の6GHz(5.925GHz~7.125GHz)が加わったことで、最大でさらに1,200MHzの周波数帯域が利用可能になりました。
今までのルーターは2.4GHz/5GHz対応がほとんどでしたが、例えば2.4GHz帯は電子レンジの発する電波と。5GHz帯は気象レーダーの電波と干渉するなど電波干渉の問題がどうしても発生していました。しかし今回6GHz帯に対応したことで、そのような電波干渉を回避できるようになりました。また、集合住宅で様々な電波が飛び交っていても、6GHz帯の電波を使用すれば快適なネット環境を構築できます。
つまり高速化が期待できるということです。
6GHz帯に対応した機種はまだ少ないですが、Appleなら下記の機種が6GHz帯に対応しています。
- MacBook Pro (14-inch, 2023) または MacBook Pro (16-inch, 2023)
- Mac mini (2023)
- iPad Pro 11 インチ (第 4 世代) または iPad Pro 12.9 インチ (第 6 世代)
Wi-Fi 6Eの詳細については、バッファローの公式サイトでも解説されています。
また、Wi-Fi 6の目玉機能であるOFDMAも高速通信には欠かせない技術です。
OFDMAは「Orthogonal Frequency Division Multiple Access」のことで、OFDMをベースにした無線通信⽅式の⼀種で、複数Userがサブキャリアを共有し、それぞれのUserにとって最も伝送効率のよいサブキャリアを割り当てる技術です。ざっくりいうと、通信の順番待ちが発生しない技術です。
例えると、今までは1つのケーキを食べるのに1ホールまるごと回しながら食べていたのに対して、OFDMAはホールを人数分に等分して同時に食べられるようになったということです。
2つ目の12ストリーム外付け「トリプルバンドダイポールアンテナ」×4とビームフォーミング技術は、より電波を遠くに届かせるのに役立っています。
アンテナは6GHz/5GHz/2.4GHzそれぞれ4ストリームに対応し、そのパフォーマンスを最大化する独自の設計を採用しています。同社の内蔵アンテナ採用の機種より、2.4GHzで約1.4倍、5GHzで約1.1倍高いスループットを実現しています。
ビームフォーミング技術についても解説しますね。
ビームフォーミングではWi-Fiに接続しているデバイスの場所や距離を検知して、それに見合った強さの電波を発信します。デバイスの環境に合わせて電波が届くので、従来の無線LANルーターを使うよりもWi-Fiが繋がりやすい状態になるのです。
ビームフォーミング対応機種の通信速度は、非対応機種より20%も速くなるとされています。
3つ目のIPv6 IPoE対応ですが、対応する光回線を利用すれば混雑の少ないより高速にインターネットを使用することが可能です。
IPv6 IPoEは、電話回線の時代からある通信方式をイーサネットに対応させたPPPoEと違い、イーサネットの利用を前提としています。
そのため、「生え抜き」という意味を込めて「ネイティブ方式」とも呼ばれることがあります。
PPPoE | IPoE | |
接続可能なWebサイト | IPv4のみ | IPv6のみ |
---|---|---|
通信速度 | △ | 〇 |
ネットワーク輻輳 | × | 〇 |
電話回線前提の方式から、純粋なインターネット接続専用規格になったイメージですね。
下記のリンクより、IPv6 IPoE対応のプロバイダーが確認できます。
IPv6 IPoEだと100Mbps以上下りが速くなる印象です。
Wi-Fi EasyMesh™で他のルーターもメッシュ化できる
バッファローのWi-Fiルーター同士であれば、Wi-Fi EasyMesh™という機能でメッシュネットワークを構築して簡単に電波の範囲を拡張できます。
特に他社より優れている点は干渉波を回避してつながるバッファローの独自機能で、例えば電子レンジやDFSによる待機で切断が発生しても、自動でノイズの少ないバンドに移動して接続してくれます。今までの通常のメッシュルーターは自動で切り替わらず、通信が遅い原因がどこなのか分かりづらかったのでEasyMeshはかなり画期的なメッシュ化技術です。
アプリでステータスの確認が可能
バッファロー純正のアプリ、「StationRader」を使えばWXR-11000XE12に接続している機器を把握したり、現在使っているルーター、中継機をまとめて確認できます。
実際にStationRaderを使っている写真を下記にまとめました。
SSIDの変更など細かい設定はアプリ上でできませんが、わざわざ設定画面にログインして見に行かなくてもある程度の状態把握ができるのは便利ですね。
NAS機能が使える
WXR-11000XE12は、本体にUSBメモリやハードディスクを接続してNAS機能が使えます。
ワイヤレスでファイルを参照したり保存したりできる機能です!
BUFFALOのルーターでNAS機能をMacで使うには、下記の手順で可能です。
まずは、USBメモリやハードディスクをWXR-11000XE12に接続します。僕の場合は、BUFFALO製のハードディスクを使用しています。
MacのFinderアプリを開き、上部のナビゲーションバーの「移動 > サーバへ接続」を選択します。
すると入力欄が出てくるので、「smb://192.168.11.1」と入力して「接続」を押します。
これで、WXR-11000XE12に接続したハードディスクの中身を見ることができました。
最初は接続に一手間かかりますが、一度接続すれば今後はPCに直接ハードディスクを接続しなくてもワイヤレスでファイルを扱えるので、かなり便利です。
直接ハードディスクを接続したときよりファイル表示に10秒以上かかることもありますが、HDDではなくより高速なSSDに変えたりすればより快適に使えそうです。
WXR-11000XE12のデメリット
WXR-11000XE12を使っていて感じたデメリットも紹介します。
管理画面に同時ログインできるのは1台のみ
WXR-11000XE12に限らず、バッファロー製のWi-Fiルーターは管理画面に1台しかログインできません。もし2台目のPCでログインをしようとした場合、『他のユーザーがログイン中です』という画面が表示されアクセスできなくなります。
他社のWi-Fiルーターでは複数機器で管理画面にアクセスできたので、若干不便に感じました。
アプリでできることが少ない
TP-LinkやASUSなど、他社のアプリの場合はSSIDの変更など細かな設定変更ができましたが、BUFFALOの「StationRader」アプリではそこまで詳細な設定変更はできません。
ただし、ブラウザからアクセスする設定画面もスマートフォンに最適化されており、設定はしやすいです。毎回ログイン時にユーザー名とパスワードを打ち込むのは手間ですが、Wi-Fiルーターは1度設定してしまえばそこまで頻繁に設定を変えることもないと思うのでそこまで致命的ではありませんでした。
WXR-11000XE12の電波強度と速度の検証
では、ここからは実際にWXR-11000XE12の通信速度、範囲を検証していきます。
- 使用端末:iPhone 14 Pro(Wi-Fi6対応機種)
- 大垣ケーブルテレビ(IPv4)使用
- 木造建築
- 混みやすい昼間の12時に計測
- fast.comで計測(https://fast.com/ja/)
- 同時接続:30台
ちなみに、2階に設置して最も効果が出やすいアンテナの向きに調整しています。
今回は速度の早い5GHz帯で検証しました。昼間の計測結果はこちらです。
場所 | 下り | 上り | レイテンシ |
---|---|---|---|
自室 | 710Mbps | 550Mbps | 7ms |
ルーターのある部屋 | 760Mbps | 710Mbps | 7ms |
トイレ | 670Mbps | 540Mbps | 8ms |
ルーターのある部屋は、下りも上りも700Mbps以上出ており実用上問題のない速度が出ていました。遅延もゲーミングルーター並みにすくなく、オンラインゲームでも問題なく使えそうですね。
注目すべきはトイレの計測結果で、階が異なり壁を隔てているにも関わらず下りで600Mbps以上速度が出ています。これは今までレビューしてきたWi-Fiルーターの中で最速です。つまりアンテナを調整することで、障害物にも強い電波が出せているということですね。
インターネットのプランが1Gなので、WXR-11000XE12の性能が高すぎてカンストしていると思いますが2Gプラン以上ならかなり恩恵を受けられそうです。
その後、自室でMac mini 2023年モデルで6GHz帯に接続してみました。
結果は下りで860Mbps、上りで740Mbpsと今まで見たことがないほど高速でした。
今後6GHz帯に対応した機器が増えてきたらかなり快適になりそうですね!
WXR-11000XE12をおすすめできる人
WXR-11000XE12をおすすめできる人は、フレッツ 光クロスやドコモ光10ギガなど10Gの高速な光回線のプランを契約している方です。INTERNETポートもLANポートも10Gに対応し、現状家庭用のWi-Fiルーターで最も高性能なモデルです。10Gの回線をフル活用できる数少ないモデルなので、10Gの高速な光回線を使っている方ならかなりおすすめできます。
ただし、僕のように1G程度の光回線なら約半額のWXR-5700AX7S/Nでも十分すぎます。WXR-11000XE12でアンテナの有用性が確認できたので、ほぼ同形状のアンテナを持つWXR-5700AX7S/Nならかなりコストパフォーマンスも高いと思います。
WXR-11000XE12のレビューまとめ
バッファロー WXR-11000XE12をレビューしました。
バッファローのフラグシップモデルということで使いこなせるか少し不安でしたが、アンテナ設定のマニュアルなど他社にはないほど説明が丁寧なので分かりやすかったです。
国内メーカーなだけあって訪問設定サービスなど手厚いサポートが受けられるので、Wi-Fiルーターのことがよくわからない方はぜひBUFFALOなど国内メーカー製を選んでみてくださいね!
- 10Gの高速通信に対応しより快適に通信できる
- Wi-Fi 6Eに対応し使える周波数が増えた
- NAS機能が使える
- アプリでステータスを確認できる
- アンテナを動かして家ごとの最適な調整ができる
- Wi-Fi EasyMesh™で他のルーターもメッシュ化できる
- 管理画面に同時ログインできるのは1台のみ
- アプリでできることが少ない