私は普段、ヘッドホンは「MDR-1ABT」を使用することが多いです。
このヘッドホンは2015年発売当時のSONYのフラグシップモデルで、LDACというハイレゾ相当の情報伝送が可能なBluetoothヘッドホンです。
中古で購入しイヤーパッドを取り替えたりして使用しているのですが、未だに音質は他社のヘッドホンよりもバランスが取れていてお気に入りです。ただし不満な点があります。それは動画視聴時の音の遅延です。
iPhoneを使用してYoutubeを観ているときに特に感じるのですが、実は比較的新しいSONYのモデル、具体的にはWH-1000XM3までは遅延がひどかったです。apt-xという比較的遅延の少ないコーデックを使用してもひどいので、なかなか買い替えに踏み出すことができませんでした。
そんな中SONYの最新ヘッドホン、WH-1000XM4が発売されまして、マルチペアリング機能の追加(2台のデバイスと同時接続可能)やDSEE Extreme(ストリーミング音源もハイレゾ相当にアップサンプリング)など魅力的なアップデートがされていましたので、購入してみました。
というよりこの機種の一世代前のWH-1000XM3をレビューされていた親愛なる瀬戸さんの動画を見て次の世代のヘッドホンは絶対買うと決めていました(笑)
最近ではAirPods Maxも発売され、価格差などから改めて評価され始めたWH-1000XM4。実は2020年下半期の今Amazonで最も売れているヘッドホンでもあります。
ちなみに価格コムでは売れ筋ランキングで3冠を達成しています。
今回は実際に使ってみてどうだったかなど、使用感を徹底解説していきたいと思います!
- クッション性が高く装着感がすごくいい
- 人の声も抑えてくれてかなり効いている
- Youtube Musicなど圧縮音源がかなり綺麗になります
- 動画の音声遅延も感じられず接続性もいい
- バッテリーが長持ちでいい
- 蒸れやすい
- ノイズキャンセリング機能に不満はないけど外音取り込み機能はまだ駄目
- 接続する機器によっては高音が刺さりやすい
外観インプレッション(ブラック)
「MDR-1ABT」がシルバーだったので、今回はブラックを選択しました。マットな仕上げで、ロゴやノイズキャンセリング用のマイク周りのカッパー色が上品です。
折りたたみができるところは、地味に便利ですよね。
付属品
付属品は説明書や保証書を除くと以下のものが入っています。
- 充電用USB(Type-C)ケーブル(A-C)
- キャリングケース
- 航空機用プラグアダプター
- 接続ケーブル
付属のケースはしっかり「こうやって折りたたんでしまってくださいね」という案内があり、さすがだなと感じました。だって絶対折りたたんでしまう方法忘れて無理やりケースに突っ込みがちですもん(笑)
よく考えられているなと感じたのが、ファスナーの取っ手を隠すことができるところです。
他の機器を一緒にしまっているとこの取手で傷をつけてしまいそうなので、ケースで隠せるようにしてある部分は細かい配慮も効いていると感じました。
WH-1000XM4はとにかくフラグシップモデルなので機能がてんこ盛りです。おそらくすべてご紹介しようとすると日が暮れそうなので、実際に使ってみてよかったところ、改善してほしいところなどをピックアップしていきたいと思います。
装着感について
良いところ:クッション性が高く装着感がすごくいい
まず、WH-1000XM4を装着して感じたのは装着感の良さでした。「MDR-1ABT」も悪くないのですが、WH-1000XM4のほうが軽くクッション性も抜群です。実は「MDR-1ABT」は300g,「WH-1000XM4」は254gと50gほど軽くなっています。
つけていることを忘れる感覚は流石に言いすぎですが、長時間の使用でも苦にならないフィット感は非常に気持ちいいです。クッションがモチモチしていて、高級低反発マットレスに耳が包み込まれているような感覚です。
悪いところ:蒸れやすい
ただし冬の外で30分以上つけっぱなしにすると耳に汗がかいてきます。そう、蒸れです。
密閉型ヘッドホンの宿命でもあるのでなんとも言えませんが、外気温との差が激しい、あるいは真夏で暑いときは着けっぱなしではなく適度に外しながら使うのがいいかもしれません。
ノイズキャンセリングについて
この機種一番の目玉で購入基準の一つとなるのがノイズキャンセリング機能ですよね。
QN1というプロセッサが搭載されており、音質とノイズキャンセリング機能の向上を図っているのに、そこからさらに新開発のSoCを組み合わせてBluetooth接続の安定性も図っています。
今回のモデルから全モデルと比べて特に強化されている部分が、人の声、つまり中高域の音に対するノイズキャンセリング機能です。
良いところ:人の声も抑えてくれてかなり効いている
では早速、WH-1000XM4をつけた状態で岐阜駅まで歩いてみます。
まずバスが見えますが、バスはディーゼルエンジンで「ガラガラ」というエンジン音がします。何台も止まっているとうるさくなりそうですが、WH-1000XM4とこの音が「チリチリ」になります。いや、ふざけているわけではなく本当に擬音で表現するとこの表現になるんです。
駅前は様々な人が行き交い、交通量も増えます。また、パチンコ屋の放送や飲み屋の音楽など、様々な騒音が鳴っています。
普段から聞き慣れているので特に気にならないのですが、WH-1000XM4を装着するとこうなります。
外の音がかなり遠く聞こえる!!!
完全に音を消し去っているわけではないのですが、直ぐ側で鳴っているはずの飲み屋の音楽、車の走行音、人の会話がかなり小さく聴こえます。
なるほど、瀬戸さんの言葉を借りれば、ノイズキャンセリングは自分の世界を楽しむためのもの、つまり「音のVR」というのも頷けます。
また、以外に優秀だったのが風切り音です。僕が今までSONYのノイズキャンセリング製品を使用してきて、いちばん苦手だと感じていた部分が風切り音でした。風が入るとマイクが拾い、かなり大きな雑音が入っていたんです(WI-1000XとかWF-1000XM3とか)。
しかしWH-1000XM4は風が吹いても「ザザッ」といったノイズが入りにくくなっており、この部分はかなり改善されていると感じました。
悪いところ:ノイズキャンセリング機能に不満はないけど外音取り込み機能はまだ駄目
ノイズキャンセリング機能は正直にいうと文句がないです。これ以上他に求めることはないと言うぐらい成熟していると思いました。
逆に残念だったのが外音取り込み機能です。例えばAirPods Proはあたかもイヤホンをつけていないかのごとく自然な外音取り込み機能を備えており、まるで魔法のようだと感じました。
しかしWH-1000XM4の外音取り込み機能はマイクで拾っている感が強く、雑音も多いです。この部分は正直言うとAirPods Pro以下です。次回作の改善に期待したいのは外音取り込み機能ですね。
音質について
ハード面ではQN1や新型SoCの採用で音質を高めていますが、SONYといえば圧縮音源のアップサンプリング機能が目玉ですよね。
今回はそこも強化されており、DSEE ExtremeというCD、MP3、ストリーミングなどのさまざまな圧縮音源も、ハイレゾ級の音質で楽しめる機能が搭載されています。
良いところ:Youtube Musicなど圧縮音源がかなり綺麗になります
まず、Bluetooth接続時の音量のゲインがかなり高いです。MDR-1ABTはiPhone XSで視聴した際に音量マックス少し手前ぐらいまで上げないと適正音量になりませんでしたが、WH-1000XM4は半分ぐらいで適正な音量が取れます。デジタルアンプの性能が上がっている影響でしょうね。
目玉のDSEE Extremeですが、アプリ側でAutoに設定すると確かに音のくっきり感が上がります。
良く言えば解像感の高い音、悪く言えば聴き疲れしやすい音です。好みは分かれるかもしれませんが、例えばPerfumeのような電子音も組み合わさった女性ボーカル主体の楽曲とはかなり相性がいいです。
ちなみに有線での音ですが、iPhone XSで聴く限りでは高音にピークがあり、低音は控えめという印象でした。イコライザーで調整すれば良さそうですが、長時間聴くには聴き疲れしそうです。
悪いところ:接続する機器によっては高音が刺さりやすい
明確に違いが出たのは、先日購入したプロジェクター、「XGIMI MoGo Pro+」とBluetooth接続したときです。
ドラマや映画を観るときに「MDR-1ABT」は自然で長時間聴いていても疲れなかったのですが、「WH-1000XM4」は破擦音が際立ち耳に刺さりやすい印象でした。有線接続でも若干この傾向はあったのですが、イコライザーも何も設定していない状態では顕著に出ます。
これは実際に聴いてみないとわからないので、ぜひ店頭で試聴してみてください。
Bluetooth接続について
良いところ:動画の音声遅延も感じられず接続性もいい
SONY機といえばBluetooth接続で動画の音声遅延がかなりひどいという印象でした。しかしWF-1000XM3を購入して、それまでの印象がかなり変わりました。SONY側も重く受け止めていたみたいで、アンテナの最適な配置やQN1eの採用で動画視聴時の遅延もほぼ感じないレベルまで改善していました。
では本機はどうかといいますと、Bluetoothでの音声の遅延は全くといっていいほど感じません。
実は今回からapt-x非対応になり少し心配していたのですが、そういえばWF-1000XM3もapt-x非対応だったのでそもそも心配は無用だったわけです。おそらくクアルコム側に支払うライセンス料など色々な点を考慮してだったと思いますが、LDACなど高音質コーデックを開発できるSONYだからこそできた英断だったと思います。
また、岐阜駅など様々な無線機器がある場所でBluetooth接続が途切れるかも実験しましたが、全くと言っていいほど途切れませんでした。
新型コロナウィルスのこともあり満員電車は試していないのですが、岐阜駅、特に名鉄岐阜駅周りはかなり混線しやすく安いBluetoothヘッドホンではブツブツと途切れるので、本機ではかなり快適に感じました。
今回からマルチペアリングに対応しましたが、2台同時に接続できることはやっぱりかなり快適です。
例えばMacとiPhoneを接続し、電話もオンラインミーティングも1つのヘッドホンで取れるのでわざわざ接続し直す必要がなくなりました。
バッテリーについて
良いところ:バッテリーが長持ちでいい
MDR-1ABTは前回いつ充電したかわからなくなるほどかなり長持ちなバッテリーでしたが、WH-1000XM4もノイズキャンセリングONで最大30時間のバッテリー持続時間を実現しています。
使用する頻度が高いのであまり細かく時間をはかってはいないのですが、DSEE Extremeをautoにした状態で1日2時間前後使用して2週間以上持っているのでかなり長持ちだと思います。
端子がUSB Type-Cなので、Macと充電器を共用できる部分もいいですね。
他に便利だと感じた機能
実は本機からヘッドホンをつけているかつけていないかを判別するセンサーが付きました。
これで何が実現できるかというと、ヘッドホンを外したら音楽の再生をオフにするという機能です。AirPods Proでは搭載されていましたが、WH-1000XM4でも搭載されました。
また、AlexaやGoogleアシスタントを呼び出せるカスタムボタンも重宝しています。AirPods ProではSiriちゃんしか呼び出せませんしね。
自宅はAlexa対応プラグなどがあり、声で照明を消すなどもできます。それこそ「音楽かけて」といえばスマートフォンに触らなくても何かしらかけてくれるので便利ですね。
あとはマイク性能も外せません。実は電話などで声を拾うためのマイクがなんと3つ搭載されています。
こちらのサイトでも紹介されていますが、かなりノイズを低減できていることが分かりますね。
これはオンラインミーティングでも声が聞き取りやすくなり、在宅勤務での生産性の向上に寄与すると思います。
こんな方におすすめします!
このヘッドホンは、文句なしのノイズキャンセリング性能やストリーミング音源のアップサンプリング機能など、僕としては必要としている機能が網羅されたまさに神機です。
特に、下記のような方にはかなりおすすめできます。
- 普段電車や飛行機など騒音がうるさい場所にいることが多い方。
- 音楽をSportifyやYoutube Musicなどストリーミングで聴く事が多い。
- 在宅勤務で使用するデバイスが多いので、切り替えなくても1つのヘッドホンで済ませたい方。
- DAPではなくスマートフォンで音楽を聴く方。
イヤホン派の方はWF-1000XM4がおすすめです!
ヘッドホンよりイヤホンの方が良い方は、ぜひ「WF-1000XM4」をご検討ください。