最近NASが流行っています。火付け役は間違いなくUGREENで、Makuake史上最速で3億円を突破したNASyncシリーズが大成功しているのが理由の一つです。GREENFUNDINGでも、10億を突破しています。
NASyncシリーズは比較的ハイエンドなモデルを展開しており、2ベイのモデルでも5万円を超えます。4ベイのDXP4800 Plusも99,880円と高価で、より安価で気軽に使えるモデルの登場が望まれていました。
そして今回満を持して登場したNASync DH4300 Plusは、4ベイで59,880円とDXP4800 Plusより約4万円ほど安いです。

結論を言えば、NAS初心者はエントリーモデルのSynology DS223jよりNASync DH4300 Plusを買ったほうがいいです。
UGREEN NASync DH4300 Plusの主な特徴
UGREEN NASync DH4300 Plusには以下の特徴があります。
- 大容量ストレージ対応(最大120TB):4ベイ構造で各ドライブ30TBまで対応可能
- 高性能ハードウェア:RK3588C SoC + 8GB LPDDR4X RAM 搭載
- 2.5GbE ネットワークポートで高速データ転送
- 4K HDMI 出力対応、メディアプレーヤーとしても利用可能
- AI写真アルバム機能:顔・風景・場所で自動分類、簡単共有
- NFCクイックコネクトでスムーズにデバイス登録・ログイン
- クラウド代替として月額費用不要、一度の購入で利用可能
- 強固なセキュリティ:TÜV・TRUSTe認証、2FA、プライベートフォルダー対応
- UGOS Pro OS 搭載 & Docker対応で柔軟に活用可能
- 24時間稼働を想定した低消費電力&静音設計
- エントリーモデルながら高コストパフォーマンス
- トップローディング設計でHDDを上部から装着可能



エントリーモデルですが、HDMI出力対応や8GB RAMなど他社ではミドルクラス以上の性能です!
UGREEN NASync DH4300 Plusのスペックはこちらです
項目 | 仕様 |
---|---|
モデル | DH4300 Plus |
OS | UGOS Pro |
CPU | Rockchip RK3588C(ARM 8コア 2.4 GHz) |
RAM | 8 GB LPDDR4X |
システムストレージ | 32 GB eMMC |
ドライブベイ | 4ベイ(SATA、3.5″/2.5″) |
最大容量 | 120 TB(4 × 30 TB) |
RAID サポート | JBOD / Basic / RAID 0 / RAID 1 / RAID 5 / RAID 6 / RAID 10 |
LANポート | 1 × 2.5 GbE RJ-45 |
USB(フロント) | 1 × USB-C(10 Gb/s)、2 × USB-A(10 Gb/s) |
PCIe 拡張 | 非対応 |
HDMI 出力 | 4K @ 60 Hz |
筐体サイズ | 155 × 155 × 215.7 mm |
消費電力 | 12 V / 6 A |
外観デザインはこんな感じです










付属品は下記のものが揃っています


付属品 | 内容 |
---|---|
本体 | UGREEN NASync DH4300 Plus 本体(ディスクレス) |
電源アダプターと電源ケーブル | 12V / 6A 外部電源アダプタとそれに接続する電源コード |
LAN ケーブル | イーサネット接続用ケーブル(CAT6) |
ドライバー | HDD/SSD 取り付け用のドライバー(工具) |
ネジ類 | ドライブトレイに使用するネジ各種(2.5インチ用と3.5インチ用) |
ユーザーマニュアル | セットアップや操作方法の説明書 |
保証カード | 製品保証に関するカード |






UGREEN NASync DH4300 Plusの使用感レビュー
ここからは、僕が使っているSynologyのNASとも比較しながらUGREEN NASync DH4300 Plusの使用感をレビューしていきます!
分解いらずのマグネットカバーで装着が楽
僕が使っているSynology DS223jは、ハードディスクを取り出す以前の段階で一度ドライバーで本体を分解する必要があり手間でした。NASync DH4300 Plusは、マグネットを内蔵したカバーを採用しており取り外しがかなり楽です。


HDDのトレイへの取り付けにはネジが必要ですが、ドライバーが付属しており別途工具が必要ないのは嬉しいです。


カバーを取り外した後のHDDの取り付け手順はこんな感じです













NAS初心者でも簡単にHDDのセッティングが可能です!
初期設定はすべてスマホで完結する手軽さ
SynologyのNASは、初期設定はWebブラウザ上で行う必要があり少し手間でした。DH4300 Plusはアプリで初期設定がすべて完結するため、別途PCを持っていなくても初期設定が完結します。


初期設定は3ステップで完結






左上の時間を見てもらえれば分かりますが、8:52に始めた初期設定が8:59に完了しているのでかなり早いです。



NASとして使うには追加でストレージプールの作成とボリュームの作成が必要です。




JBODなど専門用語が並びますが、アプリ上に説明が出てきますので初心者に優しいです。
方式の比較はこんな感じです
項目 | JBOD (Just a Bunch Of Disks) | RAID 0 (ストライピング) | RAID 1 (ミラーリング) |
---|---|---|---|
特徴 | 複数のディスクをまとめて単一の大容量ストレージにする(分散・冗長なし) | データを分散して書き込み、高速化 | 同じデータを2台以上のディスクに複製 |
耐障害性 | なし(1台故障でそのディスク分のデータ消失) | なし(1台故障で全データ消失) | 高い(1台故障しても復旧可能) |
容量効率 | 全ディスクの合計 | 全ディスクの合計 | 半分(例:2TB×2=2TB) |
速度 | 単体HDDと同等 | 高速(読み書き性能向上) | 読み込みは高速/書き込みはやや低下 |
用途 | 容量を最大限使いたい場合 | 速度最優先の一時作業用(動画編集など) | データ保護を重視する用途(バックアップなど) |
- JBOD → 容量を最大限使いたい人向け(安全性なし)
- RAID 0 → 速度重視の一時作業用(安全性なし)
- RAID 1 → データ保護重視(容量半分になる代わりに安全性あり)



僕は2つのHDDがあったので耐障害性が高いRAID 1にしました!
ファイルシステムの比較はこんな感じです
項目 | ext4 | btrfs |
---|---|---|
登場時期 | 2008年(ext3の後継) | 2009年(次世代ファイルシステムとして開発) |
安定性 | 非常に安定、長年の実績あり | 安定性は向上しているが、一部機能は発展途上 |
最大ボリュームサイズ | 1エクサバイト | 16エクサバイト |
最大ファイルサイズ | 16テラバイト | 16エクサバイト |
スナップショット機能 | 非対応 | 対応(高速スナップショット、ロールバック可能) |
チェックサム | 非対応(ジャーナリングのみ) | 対応(データとメタデータの整合性検証) |
RAID機能 | 非対応(mdadm等の外部ツール依存) | RAID 0/1/10 をファイルシステムレベルでサポート |
パフォーマンス | シンプルで高速、低オーバーヘッド | 機能豊富だがオーバーヘッドによりやや低下することも |
用途 | サーバー、デスクトップ、NASの標準的利用に最適 | スナップショットやデータ保護を重視するNASやストレージ向け |
- ext4 → 実績があり安定・高速。シンプルで安心。
- btrfs → スナップショットやチェックサムなど先進機能あり。データ保護・柔軟性に強いがやや負荷が増える。



僕は安定性と高速化重視でext4にしました!
上記の手順を踏めば、NASとして使用可能になります。ここまでの工程で一度もPCを使っておらず、スマートフォンだけで完結するのは感動しました。
UGREEN NASアプリがかなり使いやすい
UGREEN NASアプリ、おそらくこれまで使ってきたNASの中で最も使い勝手がいいです。その理由は主に2つあります。
- 写真や音楽アプリが1つに統合されている。
- Android TV内蔵プロジェクターでも使える。
まずUGREEN NASアプリは、写真から音楽まですべての機能を1つに統合したスーパーアプリとなっています。SynologyのNASは機能ごとに各アプリが別々に別れていましたが、NASの種類によって使えるアプリと使えないアプリがあったり、各アプリごとにログイン操作が必要などかなり面倒な仕様でした。
対してUGREENは一度ログインすればSynologyみたいにアプリごとにログインは不要ですし、すべて使用しているNASに最適化されたものばかりなのでインストール後すぐに使えます。




写真アプリはこんな感じです






音楽アプリはこんな感じです







NASに保存したコンテンツが違和感なく楽しめますよ!
また、プロジェクターの大画面でNASの動画を見たいという方もご安心ください。Android TV用にもUGREEN NASアプリが用意されています。


ログインはiPhone側のUGREEN NASアプリでQRコードを読むだけでログインできるお手軽仕様です。


Android TVの場合はすぐに動画向けのアプリが立ち上がり、サムネイルには4Kなど解像度も表示されます。ちなみに僕がSynologyのNASで同じようなことをしようとしたらログインでコケたので、UGREENの方が優秀です。


詳細なセキュリティ設定やモニタリングが可能
NASで気をつけたいのがセキュリティですが、セキュリティ周りの機能も充実しています。
- DOS保護など
- 二段階認証
- ファイアウォール
- アクセスログ
初心者向けNASなので難しい話は割愛しますが、NASは外部からのアクセスで攻撃を受ける危険性のある機器です。なので大きなデータを多数送信してダウンさせるDoS攻撃の保護や、特定のIPからのアクセスを遮断するファイアウォールといった機能でNASを保護できます。




アカウントへのアクセスについては、二段階認証が可能です。Google AuthenticatorなどのアプリでQRコードを読み込み、ワンタイムコードを入力してアクセスすることでセキュリティを高められます。




攻撃経路の特定にアクセスログなどの解析も有効ですが、こちらもしっかりログを確認できます。ISMSといったISO認証の審査でもシステムのアクセスログを取っているか指摘されますので、TÜV・TRUSTe認証を取得しているNASということもあって安心できます。





仕事用に使っても十分そうです!
UGREEN NASync DH4300 Plusのデメリット
NASync DH4300 Plusを使っていてほぼ満足していますが、数少ないデメリットは上位モデルに機能的に劣る部分があるところです。同じ4ベイモデルのDXP4800 Plusと比較するとこのような感じです。
項目 | DH4300 Plus | DXP4800 Plus |
---|---|---|
CPU | Rockchip RK3588C(ARM 8コア 2.4GHz) | Intel Pentium Gold 8505(12世代、5コア/6スレッド) |
メモリ | 8 GB LPDDR4X(拡張不可) | 8 GB DDR5(最大64 GBまで拡張可) |
システムストレージ | 32 GB eMMC | 128 GB SSD 内蔵 |
ドライブベイ | 4 × SATA(最大120 TB) | 4 × SATA(最大136 TB)+2 × M.2 NVMe(最大8 TB) |
RAID対応 | JBOD/BASIC/0/1/5/6/10 | JBOD/BASIC/0/1/5/6/10 |
ネットワークポート | 1 × 2.5 GbE | 1 × 10 GbE + 1 × 2.5 GbE |
USBポート | Front: USB-C(10 Gb/s)×1, USB-A(10 Gb/s)×2 | Front: USB-C(10 Gb/s)×1, USB-A(10 Gb/s)×1, USB-A(5 Gb/s)×1; Back: USB-A ×2(USB 2.0) |
HDMI出力 | 4K @60Hz | 4K対応 HDMI |
追加機能 | NFCセットアップ、AI 自動写真整理、2FA認証 | SDカードリーダー、Docker、M.2キャッシュ、HDD/NVMe混載可 |
消費電力・騒音 | 省エネ設計(低消費電力) | 静音設計(29–34 dB)、効率的冷却 |
おすすめユーザー | NAS初心者/家庭向け/クラウド代替重視 | クリエイターやメディア愛好家/高速通信・将来拡張重視 |
これ以外でもDXP4800 PlusはHDDの交換がより容易であったり、マシンスペックが高いのでDockerなど仮想マシンを動かす時にかなり快適に動作します。価格は4万円ほど違いますが、エンジニア職の僕ならDXP4800 Plusを買うかなというのが正直なところです。
逆に言えば、一般的なNASとしてデータの保存領域として使ったり、スマホ利用のみで使う場合は大きな違いは出てこないでしょう。DH4300 Plusがより省エネな点も見逃せません。


まとめ:使用前の準備からアプリの使い勝手まで初心者に優しいNAS
UGREEN NASync DH4300 Plusをレビューしました。
今までSynologyのエントリーモデルを使っていましたが、NASの準備からアプリの使い勝手まですべて上回っていました。そもそもエントリーモデルとはいえ、NASync DH4300 PlusはメモリがRAM 8GBとSynology DS223jのRAM 1GBとは比べ物にならないほどのハード性能です。価格の差はあれど4ベイですし、5万円台でこの快適な性能が手に入るならかなりコスパがいいと思います。
10万円近いDXP4800 Plusはハードルが高いという方でもDH4300 Plusなら手に届きますし、Dockerなど仮想マシンをハードに使うような高度なことをしない限りは十分です。



NASを初めて購入する、または他社のエントリー向けNASからの買い替えなら間違いなく満足できます!ぜひご検討ください!