最新のWi-Fi 6E対応ルーターとして注目を集める「TP-Link Deco BE85」。家庭内のネットワーク環境を劇的に改善し、複数デバイスでの高速通信を可能にする本製品は、オンラインゲームや4K動画ストリーミング、テレワーク環境にも最適です。

本記事では、Deco BE85の性能や特徴、実際の使い勝手を徹底レビューし、購入を検討している方に向けてわかりやすく紹介します。


Deco BE85の主な特徴


Deco BE85は下記の特徴があります。
- 最新規格「Wi-Fi 7(IEEE 802.11be)」対応、最大通信速度22Gbps(6GHz帯:11,520Mbps、5GHz帯:8,640Mbps、2.4GHz帯:1,376Mbps)
- トライバンドメッシュWi-Fiシステムにより、家全体にシームレスで広範囲なWi-Fiネットワークを構築可能
- 2つの10Gbps WAN/LANポート(RJ45ポートとRJ45/SFP+コンボポート)および2つの2.5Gbpsポートを搭載し、マルチギガビットの有線接続をサポート
- クアッドコアCPU、8つのハイゲインアンテナ、12の強力FEM、2つの内蔵ファンにより、高負荷環境でも安定して動作
- TP-Link HomeShieldセキュリティ機能搭載(不正アクセス防止、ペアレンタルコントロールなど)
- 簡単セットアップ:スマホアプリでワンタッチ管理
- 自動ファームウェア更新で常に最新機能とセキュリティを維持
- スリムでモダンなデザイン、家庭のインテリアに馴染む



2.4GHz帯で理論値1,376Mbpsという超高性能モデルです。
付属品
Deco BE85は下記の付属品が揃っています。
- Deco BE85ユニット ×2 Wi-Fi 7対応のトライバンドメッシュWi-Fiシステムのユニットです。
- 電源アダプター ×2 各ユニットに対応した電源アダプターが付属しています。
- イーサネットケーブル ×2 ユニット間の有線接続や、インターネット回線の接続に使用します。
- クイックインストールガイド セットアップ手順や初期設定方法が記載されたガイドです。
- 保証書・安全規格証明書 製品の保証や安全基準に関する書類が含まれています。


高性能で必要とする電力が大きいためか、電源アダプターは大きめです。


LANケーブルはCAT6ケーブルが付属しており、最大で1Gbpsの通信に対応しています。6GHz帯で10Gの通信を行う場合は役不足ですが、僕のように1G回線の場合は問題なさそうです。


付属のリセットピンは金属むき出しではなく持ち手部分が持ちやすく加工されており、好印象です。


搭載しているポート
Deco BE85は下記のポートを搭載しています。
- 10Gポート ×1(RJ45/SFP+コンボポート)
- 10G RJ45ポート ×1
- 2.5G RJ45ポート ×2
- USB 3.0ポート ×1


ハイエンド機らしく10Gbpsのポートを2つ備えており、高速かつ低遅延を求められるゲーミング用途でも活躍しそうです。
Deco BE75との比較


Deco BE85とDeco BE75でスペックを比較してみました。
仕様 | Deco BE85 | Deco BE75 |
---|---|---|
最大Wi-Fi速度 | 22 Gbps | 17 Gbps |
Wi-Fiストリーム数 | 12 | 8 |
6GHz帯帯域幅 | 320 MHz | 160 MHz |
5GHz帯帯域幅 | 320 MHz | 160 MHz |
2.4GHz帯帯域幅 | 40 MHz | 40 MHz |
10Gポート数 | 2 | 1 |
2.5Gポート数 | 2 | 3 |
USB 3.0ポート | 1 | 0 |
Wi-Fi 7機能 | 対応(MLO、Multi-RU、4K-QAM) | 対応(MLO、Multi-RU、4K-QAM) |
Deco BE85がBE75に比べて、より高速なWi-Fi速度、より多くのWi-Fiストリーム、広帯域の6GHzおよび5GHz帯域幅、複数の10Gポート、USB 3.0ポートの追加など、上位の仕様です。
特に、BE85は10Gポートを2つ搭載しており、10G対応のインターネット回線や高帯域幅を必要とするアプリケーションに最適です。一方、BE75は3つの2.5Gポートを搭載しており、複数の高速有線接続が可能です。


それ以外に差が出ているのは電源アダプターで、明らかにDeco BE85の方が大きいです。


Deco BE85の使用感レビュー
Deco BE85を実際に使ってみましたので、使用感をレビューしていきます。
どこに置いても馴染むシンプルデザイン
Deco BE85は、円筒形で白い外観が特徴的です。一般的なWi-Fiルーターは黒色が主流でリビングに置くと浮きがちですが、BE85はリビングに置いてもインテリアの一つとして映えるほどのシンプルさがあります。




サイズは128 × 128 × 236 mmで、メッシュWi-Fiとしてはかなり大きな部類です。ハイエンドですが、ひとつ下のDeco BE75と同じサイズに抑えたのは美点です。


Wi-Fi 7に対応し高速で安定した通信ができる
Deco BE85は、最新規格のWi-Fi 7に対応しています。Wi-Fi 7の主な特徴は下記のとおりです。
- 最大通信速度:Wi-Fi 6(6E)の9.6Gbpsに対し、Wi-Fi 7は最大36Gbps。
- 周波数帯域:2.4GHz、5GHz、6GHzの全てのバンドを利用可能。
- 帯域幅:最大320MHz幅の通信が可能で、これにより通信速度が向上。
- 変調方式:4096-QAMを採用し、データ伝送効率が向上。
- MLO(Multi-Link Operation):複数の周波数帯を同時に利用することで、通信の安定性と速度を向上
通信速度が速くなったというのはもちろんですが、帯域幅がWi-Fi 6の倍にあたる320MHz幅になったことはかなり大きいです。 道路に例えると、通信経路がこれまで2車線だったものが4車線になり一度により多くの同時送信が行えるようになっています。


また、MLOという新しい機能にも対応しました。これは従来は5GHz帯か2.4GHz帯のどちらかでしか通信できなかったのが、2.4GHz帯+5GHz帯のように同時にリンクして通信できるようになりました。これにより、より低遅延で途切れにくい安定した通信を可能としています。
メッシュWi-Fiにより広範囲で高速通信が可能に
BE85はメッシュWi-Fiということで、家の少し離れた場所でも高速通信を可能にしています。ユニット間は2.4、5,6GHz帯の無線、そして有線で接続できますので、強力なバックホールを担保可能です。
TP-Link独自のAIメッシュ機能も搭載しており、複数のユニットでも1つのSSIDで済む、場所を移動したらより接続性が高いユニットに自動接続するといった機能に対応しています。







1階と2階で移動する際に、自動でユニットが切り替わってくれるので便利です!
使い勝手の良いDecoアプリ
Deco BE85は、iOS・Androidに対応したDecoアプリを使って管理できます。接続している端末や、現在の通信速度などかなり見やすいです。今までBuffaloやエレコムなど、国内メーカーのルーターを使っていた方はあまりの使いやすさにびっくりするかもしれません。





スクロールしなくてもスマホで1画面で必要な情報が確認できるのはかなり助かっています!
安心の3年保証
Deco BE75に限らず、TP-Linkのルーターは3年間の保証がついています。
ルーターはほぼ毎日稼働するため故障リスクが高く、1年保証としているメーカーがほとんどです。



保証の範囲は製品の購入価格の範囲内という条件がありますが、日本メーカーで3年間という保証期間を設けているルーターはほぼありません。
また、フリーダイヤルで窓口を設けているのも安心ですね。
固定電話:0120-095-156 (通話料無料)
携帯電話:0570-066-881 (有料ナビダイヤル)
※受付時間:平日9:00~18:00、土日祝10:00〜18:00(年末年始を除く)
Deco BE85の気になったところ
Deco BE85の気になったところも正直にお話します。
電源アダプターが大きくかさばりやすい
冒頭でも紹介しましたが、Deco BE85の電源アダプターは過去のDecoシリーズの中で最も大きく、かさばりやすいと感じました。スマートさを求められているDecoシリーズとしては、少し気になりました。


僕の場合は、対策として3COINSで購入した安い電源ボックスにコードをまとめています。


これにより、BE85のデメリットであった電源アダプターがかさばりやすい問題を解決しています。





安く手に入って配線がスッキリ隠れるのでおすすめです!
ペアで揃えると10万円を超える
これは価格についてですが、BE85はペアで揃えると10万円を超えるモデルです。10G回線を契約しているなら最高の環境を手に入れられますが、1G回線の方はオーバースペックなので下位モデルの検討をおすすめします。



エントリーモデルのDeco BE25もWi-Fi 7対応で注目のモデルです。


Deco BE85の通信速度・範囲検証
では、ここからは実際に通信速度、範囲を検証していきます。
- 使用端末:iPhone 16 Pro
- 大垣ケーブルテレビ(IPv4)使用
- 木造建築
- 混みやすい昼間の12時に計測
- fast.comで計測(https://fast.com/ja/)
- 同時接続:38台


まずは、ルーター1台のみで計測しました。接続している周波数は6GHz、5GHz帯で計測します。
場所 | 下り | 上り |
---|---|---|
自室(2階) | 810Mbps | 720Mbps |
ルーターのある部屋(2階) | 980Mbps | 820Mbps |
トイレ(1階) | 480Mbps | 300Mbps |
場所 | 下り | 上り |
---|---|---|
自室(2階) | 700Mbps | 680Mbps |
ルーターのある部屋(2階) | 770Mbps | 690Mbps |
トイレ(1階) | 320Mbps | 280Mbps |
1パックのみの計測とはいえ、通信速度はかなり速いです。Archerのハイエンドモデルに迫ります。Deco BE75でも計測していましたが、上位モデルということで全体的に高めの数値でした。
次に、1階に1パック追加した状態で再度通信速度を計測してみました。


追加のルーターは、1階でもまんべんなく電波が広がるようリビングの中心付近(図でオレンジの場所)に設置しました。


計測結果はこちらです。
場所 | 下り | 上り |
---|---|---|
自室(2階) | 760Mbps | 690Mbps |
ルーターのある部屋(2階) | 970Mbps | 830Mbps |
トイレ(1階) | 820Mbps | 700Mbps |
場所 | 下り | 上り |
---|---|---|
自室(2階) | 750Mbps | 690Mbps |
ルーターのある部屋(2階) | 830Mbps | 780Mbps |
トイレ(1階) | 760Mbps | 620Mbps |
2階は1パックのときとあまり変わりませんでしたが、1階は上りも下りも400Mbps近く通信速度が向上していました。



2階建ての家なら2パックが必須ですね。
Deco BE85をおすすめできる人・おすすめできない人
Deco BE85をおすすめできる人はこちらです
- 最新のWi-Fi 7環境を導入したい人:最大22Gbpsの超高速通信に対応し、未来のネットワーク体験を先取りできます。
- 大規模な住宅や複数階の家に住んでいる人:トライバンドメッシュWi-Fiで広範囲をシームレスにカバー可能です。
- 多数のデバイスを同時に接続する家庭:OFDMAやMU-MIMOにより、100台以上の機器を安定して同時利用できます。
- 超高速有線接続を求める人:10Gbpsポートや2.5Gbpsポート搭載で、NASやゲーミングPCなどにも最適です。
- 動画編集や大容量データ転送を行うクリエイター:USB 3.0ポートやマルチギガ環境を活かして高速ファイル共有が可能です。
- セキュリティを重視する家庭:TP-Link HomeShieldでネットワークを安全に保護できます。



10G回線を契約していて妥協のない速度を求めるならおすすめです!


Deco BE85をおすすめできない人はこちらです
- 最新のWi-Fi 7を必要としない人:通常のインターネットや動画視聴、在宅ワーク程度ならWi-Fi 6/6Eルーターでも十分です。
- 小規模な住宅やワンルームに住んでいる人:広範囲カバーを活かせず、オーバースペックになってしまいます。
- 高速回線(10Gbpsクラス)を契約していない人:1Gbps程度の回線ではBE85の性能を活かしきれません。
- コストを抑えたい人:ハイエンドモデルゆえ価格が高いため、コスパ重視なら下位モデル(Deco BE75やXE75)が適しています。
- シンプルなWi-Fi環境だけ欲しい人:USB共有機能やマルチギガポートなどの拡張性が不要なら、より安価なモデルで十分です。



1G回線なら、XE75でもほぼ同等の高速性を実現しています。コストも下がるのでぜひ下記の記事も参考にしてください!

