TP-Linkから6年ぶりに登場したゲーミングルーター、Archer GXE75をレビューします。以前Archer GX90という同社のゲーミングルーターをレビューしましたが、アンテナが多数あり奇抜なデザインでいかにもゲーミングガジェットという感じがありました。Archer GXE75は、デザインを一新しアンテナを内蔵型に、そして縦置き対応になったためよりスリムに設置性が高く仕上がっています。
- 最大5400Mbpsの超高速Wi-Fi : 2402Mbps (6GHz) + 2402Mbps (5GHz) + 574Mbps (2.4GHz) のトライバンドWi-Fiで、ゲームの世界を駆け抜けよう。6GHzバンドによるWi-Fi 6E デバイス専用のチャンネルで、混雑を回避してゲームをお楽しみいただけます。
- 2.5Gbpsマルチギガポート搭載:超高速2.5Gbps WAN/LANポート×1 + 1Gbps LANポート×4を備えているので、マルチプレイでもライバルに後れを取る心配がなくなります。
- 高性能アンテナ×4: 内蔵アンテナ・Wi-Fi最適化・ビームフォーミング技術で、途切れないWi-Fiを家じゅうにお届けします。
- ゲームブースト機能:ゲームアプリ・ゲーム機・モバイルゲーム・ゲームサーバーをブーストして、ジッター・ラグ・Pingを最小化。超低遅延で安定したゲーム体験をお届けします。
- 便利なゲームパネル:シンプルで使いやすい管理パネルで、リアルタイムのインサイトデータ取得や各種設定が可能です。
- 機能と外観を兼ね備えた設計:最適なアンテナ配置や冷却をもたらす外観デザインは、ロケットの発射台をイメージしています。
- TP-Link HomeShield:強力なウィルス対策機能でデバイスや個人情報をしっかりと保護。セキュリティリスクを気にせず、ゲームの世界に没入できます。
- EasyMesh互換:EasyMesh対応ルーターや中継器と組み合わせて、お家全体をカバーする広範囲なメッシュWi-Fiを構築すれば、快適なオンライン体験が可能に。
結論から言うと、1G回線ではより高価なBE550と同等の通信速度を実現しており、ゲーミング用途のみでなく普段遣いにもかなり使い勝手の良いルーターに仕上がっていました。
過去に20台以上のWi-Fiルーターをレビューしてきた僕が、TP-Link Archer GXE75の外観や実際の使用感、実際の通信速度まで徹底レビューしていきます。
Archer GXE75の開封・外観チェック
まずは開封しながら本体や付属品をチェックしていきましょう。
付属品は下記のものが揃っています。
- ルーター本体
- 電源アダプター
- RJ45 LANケーブル
- 説明書
- リセット用ツール
付属のLANケーブルはカテゴリ5e(最大通信速度1Gbps)対応のものが入っていました。
電源アダプターはケーブルが若干平型になっており、絡まりにくくなっています。
リセット用ツールも同梱されており、押しにくかったリセットボタンを簡単に押して初期化できるようになっています。
Archer GXE75本体の外観
ロケットの発射台をイメージしてデザインされたというArcher GXE75は、従来のゲーミングルーターの派手なイメージを覆すかのようなシンプルかつオシャレさを感じさせてくれます。ライティングがなかったらゲーミングルーターって言っても分からないぐらい無骨ですね。
デザインだけではなく放熱性も考えられており、上部にスリットを設けて熱を逃がしやすくしています。内部に大型のヒートシンクを内蔵しており、下からの空気の流れをキャッチし効率的に基盤の熱を逃がす構造になっているとのことでした。
下部にもスリットがあります。四角に滑り止めがありますので、設置したときに滑りにくく倒れにくくなっています。
サイズ
Archer GXE75のサイズは、237 x 129.5 x 193mmです。高さは大体漫画の単行本と同じぐらいのサイズですね。
対応する入出力端子
Archer GXE75の入出力端子は下記の物が揃っています。
- 2.5Gbps WAN/LANポート × 1
- 1Gbps LANポート × 4(うち1ポートはWANも併用)
- USBポート × 1
契約している回線に応じて、1Gbpsと2.5GbpsのWANを選べるのはいいですね。とはいえ1Gの回線を契約していても、2.5GbpsのWANポートを使って問題ありません。USBポートは、接続したストレージ(SSDなど)をNASとして使えるようにするもので、Macの場合Time Machineのバックアップの保存先としても使用可能です。
有線のポートが充実していますね。
Archer GXE75の特徴・使用感レビュー
実際にArcher GXE75を使ってみて感じた特徴や使用感をレビューしていきます。
スリムなサイズでデスクに置きやすい
個人的にかなりありがたみを感じたのが、スリムでデスクに置きやすいことです。従来のゲーミングルーターは平置きで、かつアンテナが多く広い設置スペースを必要としていました。しかしArcher GXE75の場合、アンテナをボディに内蔵し、かつ縦置き仕様にしたことで設置面積の削減を可能にしています。
また、僕の場合デスク横のラックが若干デスク上にせり出した構造なのですが、Archer GXE75が上部に向かってスリムになっていくデザインなので干渉することなく設置できました。
今まで
RGBライティングでゲームを演出
シンプルなデザインとお伝えしましたが、ゲーミングルーターといえば鮮やかに派手に光るライティングが魅力です。Archer GXE75は、雰囲気を演出するために様々なRGBライティング効果が用意されています。
iOS・Androidに対応したTetherアプリを使用すると、WaveやRainbowといった8つの発光パターンを選択できます。また、「カスタム」の項目を選ぶと自分の好きな色に固定できるなど、かなり柔軟にライティングの設定が可能になっていました。
とはいえPlayStationなど、そもそもゲーミングPCのように派手に発光しないコンシューマー向けゲーム機もあります。そのような場合は発光をしない設定にすることで、落ち着いたシンプルな使い方もできますので安心です。特に寝室にルーターを置かなければいけないという方でも、光に邪魔されず寝られますよ。
部屋の雰囲気に合わせたライティングは魅力ですね
充実した高速化技術
Archer GXE75は、快適な通信を実現するために複数の高速化技術を組み合わせています。
- Wi-Fi 6E/OFDMA
- 6ストリーム高性能アンテナ×4とビームフォーミング技術
- IPv6 IPoE対応
1つ目の「Wi-Fi 6E」は、従来の「高速・省エネ・高効率」に優れている「Wi-Fi 6」の規格に新しい周波数帯の6GHz(5.925GHz~7.125GHz)が加わったことで、最大でさらに1,200MHzの周波数帯域が利用可能になりました。
今までのルーターは2.4GHz/5GHz対応がほとんどでしたが、例えば2.4GHz帯は電子レンジの発する電波と。5GHz帯は気象レーダーの電波と干渉するなど電波干渉の問題がどうしても発生していました。しかし今回6GHz帯に対応したことで、そのような電波干渉を回避できるようになりました。また、集合住宅で様々な電波が飛び交っていても、6GHz帯の電波を使用すれば快適なネット環境を構築できます。
つまり高速化が期待できるということです。
6GHz帯に対応した機種はまだ少ないですが、Appleなら下記の機種が6GHz帯に対応しています。
- MacBook Pro (14-inch, 2023以降) または MacBook Pro (16-inch, 2023以降)
- Mac mini (2023)
- iPad Pro 11 インチ (第 4 世代以降) または iPad Pro 12.9 インチ (第 6 世代以降)
Wi-Fi 6Eの詳細については、TP-Linkの公式サイトでも解説されています。
また、Wi-Fi 6の目玉機能であるOFDMAも高速通信には欠かせない技術です。
OFDMAは「Orthogonal Frequency Division Multiple Access」のことで、OFDMをベースにした無線通信⽅式の⼀種で、複数Userがサブキャリアを共有し、それぞれのUserにとって最も伝送効率のよいサブキャリアを割り当てる技術です。ざっくりいうと、通信の順番待ちが発生しない技術です。
例えると、今までは1つのケーキを食べるのに1ホールまるごと回しながら食べていたのに対して、OFDMAはホールを人数分に等分して同時に食べられるようになったということです。
ちなみにデフォルトではOFDMAが無効化されていますので、ブラウザで管理画面にアクセスしてOFDMAの設定を有効化しておく必要があります。
2つ目の6ストリーム高性能アンテナ×4とビームフォーミング技術は、より電波を遠くに届かせるのに役立っています。
アンテナは6GHz/5GHz/2.4GHzにそれぞれ4ストリームに対応し、そのパフォーマンスを最大化する独自の設計を採用しています。従来は外付けアンテナの方が指向性を決められて有利と言われてきましたが、僕の検証結果では外付けアンテナのルーターとほぼ変わらないほどの性能に仕上がっていました。
ビームフォーミング技術についても解説しますね。
ビームフォーミングではWi-Fiに接続しているデバイスの場所や距離を検知して、それに見合った強さの電波を発信します。デバイスの環境に合わせて電波が届くので、従来の無線LANルーターを使うよりもWi-Fiが繋がりやすい状態になるのです。
ビームフォーミング対応機種の通信速度は、非対応機種より20%も速くなるとされています。
3つ目のIPv6 IPoE対応ですが、対応する光回線を利用すれば混雑の少ないより高速にインターネットを使用することが可能です。
IPv6 IPoEは、電話回線の時代からある通信方式をイーサネットに対応させたPPPoEと違い、イーサネットの利用を前提としています。
そのため、「生え抜き」という意味を込めて「ネイティブ方式」とも呼ばれることがあります。
PPPoE | IPoE | |
接続可能なWebサイト | IPv4のみ | IPv6のみ |
---|---|---|
通信速度 | △ | 〇 |
ネットワーク輻輳 | × | 〇 |
電話回線前提の方式から、純粋なインターネット接続専用規格になったイメージですね。
下記のリンクより、IPv6 IPoE対応のプロバイダーが確認できます。
IPv6 IPoEだと100Mbps以上下りが速くなる印象です。
ゲーミングに特化した通信機能
Archer GXE75は「ゲーミング」に特化したルーターで、もちろん普通のルーターよりもゲームプレイが快適になる機能を有しています。
1つ目が、ゲーミングポートです。冒頭でLANポートの仕様を紹介しましたが、実は1箇所だけ「GAMING PORT」とマークされているポートがあります。このポートを使うと、他の有線LANポートよりも優先的に通信を処理するようになりますので、他の機器が莫大な通信をしていても通信速度を落とすことなくゲームプレイが可能になります。
2つ目がQoSです。QoSとは、インターネットのトラフィックに順位をつけて安定して接続できるようにするものです。QoS自体は他のルーターにも搭載されていることが多いですが、Archer GXE75は例えばPlayStation 5やSteamを使ってゲームをしていることを自動で検知して優先的に通信を割り振ってくれます。つまり有線だけではなく、無線でもゲーミングポートのような機能を実現できます。
家族が動画を観ていてもオンラインゲームの通信が優先されるで快適にプレイできますよ!
安心の3年保証
Archer GXE75に限らず、TP-Linkのルーターは3年間の保証がついています。
ルーターはほぼ毎日稼働するため故障リスクが高く、1年保証としているメーカーがほとんどです。
保証の範囲は製品の購入価格の範囲内という条件がありますが、日本メーカーで3年間という保証期間を設けているルーターはほぼありません。
また、フリーダイヤルで窓口を設けているのも安心ですね。
固定電話:0120-095-156 (通話料無料)
携帯電話:0570-066-881 (有料ナビダイヤル)
※受付時間:平日9:00~18:00、土日祝10:00〜18:00(年末年始を除く)
電波強度と速度の検証
では、ここからは実際にArcher GXE75の通信速度、範囲を検証していきます。
- 使用端末:iPhone 16 Pro
- 大垣ケーブルテレビ(IPv4)使用
- 木造建築
- 混みやすい昼間の12時に計測
- fast.comで計測(https://fast.com/ja/)
- 同時接続:33台
今回は6GHz帯で検証しました。昼間の計測結果はこちらです。
場所 | 下り | 上り |
---|---|---|
自室 | 920Mbps | 480Mbps |
ルーターのある部屋 | 950Mbps | 460Mbps |
トイレ | 580Mbps | 310Mbps |
ワイヤレスで950Mbpsを叩き出す通信速度の高さはハイエンド級ですね。
次に同じ条件(周波数は5GHz)でM1 MacBook Proでも検証してみました。結果はこちらです。
場所 | 下り | 上り |
---|---|---|
自室 | 770Mbps | 470Mbps |
ルーターのある部屋 | 820Mbps | 560Mbps |
トイレ | 520Mbps | 360Mbps |
どちらの計測結果も、十分な速度が出ていました。個人的に6GHz帯の通信速度がかなり速く、iPhoneでオンラインゲームをプレイする方はかなりアドバンテージになりそうですね。
Archer GXE75のメリットとデメリット
Archer GXE75を実際に使ってみて感じたメリットとデメリットを紹介します。
メリット
Archer GXE75のメリットは下記の4点です。
- 従来のゲーミングルーターよりスマートなデザインで、設置しやすくインテリアに馴染みやすい。
- Wi-Fi 6Eや高性能アンテナなど、通信速度を快適にしてくれる機能が揃っている。
- RGBライティングで部屋の雰囲気を演出してくれる。
- ゲームに特化しており、QoSや有線ゲーミングポートで優先的に通信をゲームに回せる。
まずスタイリッシュな独特なデザインは、個人的に過去のゲーミングルーター中で一番好きなデザインです。アンテナが内蔵型でスリムなので設置性が高く、デスクにルーターを設置する方は省スペース化できます。
また、通信速度も下りで900Mbpsを超えるなど実力は十分です。ゲームプレイの場合は瞬間の速度よりは安定して速い通信速度を維持できるかがポイントになりますが、その点ではQoSなどで優先的にゲームに対して通信を回せますので快適にプレイできます。
デザインも機能もハイエンド級です。
デメリット
Archer GXE75のデメリットは下記の1点です。
- 壁掛けができない。
TP-Linkの過去のゲーミングルーター、例えばGX90の場合は壁掛け用の穴が空いていましたが、Archer GXE75では壁掛けができなくなりました。縦置きルーターではArcher AX23Vといった機種でも壁掛けができたので、これはデザインの都合上仕方ないかなと思います。
ただ、僕のようにデスクに置いて使う方には特にデメリットに感じない部分なので気にしなくても良いでしょう。
Archer GXE75のレビューまとめ
Archer GXE75をレビューしました。私物でより高機能なBE550を使っていますが、1Gbpsの回線であればほぼ遜色ない通信速度が出ますのでコスパもいいです。
スマホやPlayStationといったゲーム機でオンラインゲームをされる方は特におすすめできるモデルなので、ぜひチェックしてみてください!
- 従来のゲーミングルーターよりスマートなデザインで、設置しやすくインテリアに馴染みやすい。
- Wi-Fi 6Eや高性能アンテナなど、通信速度を快適にしてくれる機能が揃っている。
- RGBライティングで部屋の雰囲気を演出してくれる。
- ゲームに特化しており、QoSや有線ゲーミングポートで優先的に通信をゲームに回せる。
- 壁掛けができない。