この記事では、自宅で映画館級のIMAXサウンドを楽しめるサウンドバー、Philips Fidelio FB1をレビューします。
自宅で本格的なサラウンド環境を整えるならAVアンプが一般的ですが、スピーカーを複数台設置する必要があるので高い費用、設置スペースの確保でハードルが高いですよね。
僕もサラウンドはスペースの関係で断念しました。
そんな中で、サウンドバー一台でIMAX Enhanced、7.1.2ch、Dolby Atomsに対応した環境が作れる製品が登場しました。それがPhilips Fidelio FB1です。
結論から言えば、5.1ch音源の時点で壁から音が聞こえるほどの立体感、IMAX Enhanced対応作品ならそれ以上の包まれ感を体感できました。下記のような方におすすめできます。
- テレビの音に不満がある。
- 映画やゲームを迫力のあるサラウンドで楽しみたい。
- 本格的なサラウンド環境は予算やスペース的に無理なので、1台で済ませたい。
- サウンドバー1台でIMAX Enhanced、7.1.2ch、Dolby Atomsに対応した環境が作れる。
- HDMIパススルーに対応し、ゲームやブルーレイプレイヤーの音の遅延を無くせる。
- アプリでイコライザー設定や音声サービス連携が手軽にできる。
- LEDライトやレザーでインテリアとしても映えるデザイン。
- ワイヤレスでの音があまり良くない。
- サラウンドAI以外のサウンドモードはいまいち。
Philips Fidelio FB1の特徴
Philips Fidelio FB1は、下記の特徴があります。
- IMAX Enhanced対応のサウンドバー
- 15基のスピーカーを搭載し7.1.2chのサラウンドサウンドを実現
- AirPlay・Alexaに対応
- Dolby Atomsに対応
- 自動キャリブレーション機能
- eARC対応のHDMI端子搭載でテレビやゲームで使いやすい
いきなり専門用語が並んでいてわかりにくいので、おさらいしておきましょう。
- IMAX Enhanced・・・IMAX Enhanced は、IMAX が定めた厳しい品質基準を満たした映像、音響機器、映像作品に与えられる認証システムのこと。VODではDisney+が対応している。
- 7.1.2ch・・・スピーカーが7つ、サブウーファーが1つ、イネーブルドスピーカー(上向き方向のスピーカー)が2つの構成。
- Dolby Atoms・・・頭上を含む方向から音が聞こえることで臨場感あふれるオーディオ体験を実現する最新立体音響のこと。
- eARC・・・Dolby AtmosやDTS:Xに対応したARCの強化版。
サウンドバーというより、AVアンプの仕様表で見るような用語が揃っていますね。さすがハイエンド。
チャンネル数 | 7.1.2ch |
対応音声フォーマット | Dolby Atmos. Dolby Digital. Dolby Digital Plus. Dolby TureHD, Dolby DigitalEX. DTS. DTS 96/ 24. DTS Digital Surround(5.1-ch). DTS:X. DTS-ES. DTS-HD High Resolution Audio. DTS-HD High Master Audio |
サウンドバー周波数範囲 | 40-20KHz |
HDMI、入出力関連 | HDMI入力 1 HDMI出力 1(ARC/eARC) HDMIコンテンツ保護 HDCP 1.4/2.3 USB MP3. WAV. FLAC |
ワイヤレス関連 | Bluetooth: 5.0 Bluetoothプロファイル:A2DP、 AVRCP、マルチポイント(マルチペア)サポート ストリーミング:SBC Wi-Fi: IEEE802.11 a/b/g/n/ac. 2.5GHz/5GHz スマートホーム:Chromecast、Spotify Connect. Alexa, Apple AirPlay2 |
寸法、重量 | メインユニット (幅X高さX奥行):1200✕73x125mm 本体重量:7.2kg |
Philips Fidelio FB1のパッケージ・外観レビュー
では、開封しながらパッケージや外観をレビューしていきましょう。
付属品は下記の物が揃っています。
- サウンドバー
- 電源コード
- マイク
- リモコン
- ウォールマウントキット
- 赤外線リモコンリピーター
- クイックスタートガイド/保証書
各付属品の写真はこちらです。
サウンドバー本体は一見すると一般的なサウンドバーと同じで黒く長いデザインです。
しかし横幅が約120cmと長く、サウンドバーとしては大きいです。
また、細かい部分で高級感を演出しています。例えばフレーム周りや上部のボタン部分は、スコットランドで高級レザーを作り続けている名門「ミュアヘッド社」のレザーを贅沢に使用しています。
インテリアとしてのおしゃれさも兼ね備えていますね。
本体の底には合計8箇所にゴム足があり、別途インシュレーターは必要なさそうです。
背面のインタフェースは下記のものが揃っています。
- マイク端子(音場補正用)
- 赤外線端子(リモコン用)
- USBポート
- Optical(光デジタル音声端子)
- HDMI出力(eARC/ARC対応)・入力
インタフェース類はサウンドバーでもトップクラスの揃いっぷりです。HDMI入力端子があるので、音声の遅延が気になりそうなゲーム機を接続するのにぴったりですね。
背面にはバスレフポートがあり、重低音はパッシブラジエーターではなくサブウーファーが担っていることが分かります。つまり、低音域の階調がより豊かに表現できる構成ということですね。
フロント部分はLEDディスプレイとインジケーターランプが内蔵されており、ステータスを確認できます。簡易的でもサウンドバーの限られたスペースで情報が表示されていると、見やすくていいですね。
Philips Fidelio FB1のレビュー
ここからは、実際にPhilips Fidelio FB1を使ってみた感想や使用感をレビューしていきます。
映画視聴は圧巻の一言
自宅のBRAVIAにHDMIケーブルを繋げて早速Philips Fidelio FB1を使ってみました。僕はNetflixのスタンダードプランを使っているので5.1chの作品が中心なのですが、5.1chでも立体感が半端ないです。
まず、Netflix作品で5.1chサラウンドに対応しているアニメの「極主夫道」を視聴しました。冒頭で料理を作るシーンがあるのですが、ドス(短刀)で料理を作るシーンの鋭い金属音のリアルさには感動しました。「バシッ」「カキン」というサウンドエフェクトも家の壁の向こうから聞こえるような錯覚を覚え、スピーカーは目の前にあるのにテレビの真横や奥にもスピーカーがあるように感じました。
サウンドバーでここまで広がりのある音が出せるのかと感動しました。
PS5などサラウンドに対応したゲームは迫力十分
PlayStation 5は3Dオーディオに対応しているので、Fidelio FB1でも試してみました。PlayStation 5の3Dオーディオは2ch構成でも機能するバーチャルなものなのでそこまで大きく変わらないだろうと思ったら全然違いました。
まず声の定位がとにかく自然で、画面で話している人の口元から聞こえるような正確性を感じました。これはフロントとセンターに合計9基、両サイドに1基ずつスピーカーを搭載したことによるものだと思います。
また、爆音や銃撃時の迫力がテレビスピーカーとは段違いで、サブウーファーのパワフルさが際立っていました。アクション系のゲームとかなり相性がいいですね。
それ以外では、街のざわざわとした喧騒や車の走っていく音など、テレビ内蔵のスピーカーでは埋もれてしまうような細かな音をしっかり表現してくれます。RPGゲームやオープンワールドゲームなど、街を探索するゲームでより雰囲気を楽しめそうです。
ちなみにPlayStation 5を使用する時は、「HDMI in」というHDMI入力端子に差し込んで使用します。こうすることで、PlayStation 5の電源をつけると同時に音声入力が自動で切り替わります。また、音声の遅延も限りなく0にすることができます。
HDMIの入力端子があるので、ゲームプレイにもぴったりです。
IMAX Enhancedはもっとすごかった
Fidelio FB1の凄さをより体感するために、移動してeARCに対応したBRAVIA X9500Hに接続してみました。こうしてみると、55インチのテレビの下にちょうど収まるサイズ感ですね。ディズニープラスの場合、アベンジャーズなどマーベル作品でIMAX Enhancedを体感できるようになっています。
著作権の都合上画面を映したり実際の音声を紹介することはできないのですが、Netflixで5.1chを体験したときよりも音の包まれ感が強く、自分が作品の世界に入り込んだかのような錯覚を覚えるほど強いサラウンド感を得ることができました。特にヘリコプターが頭上を通り過ぎる音や、左から右に車が通っていく音は画面を越えて聴こえてくるので「おおっ!」となります。
ちなみにDolby Atmosモードは00から03までの4段階あり、体感上数字が上がると高さ方向の広がりが増していきます。
これは実際に体験して感じていただきたいです。
BluetoothとWi-Fi経由で音質が変わる
iPhoneを使って、BluetoothとWi-Fi経由で音楽を流して音質の傾向を検証してみました。まずBluetoothですが、重低音をかなり強調したチューニングで若干こもったような音になります。サラウンド感は少なく、定位はしっかりしているのでBGM用途にはピッタリそうです。
次にWi-Fi(AirPlay)経由で音楽を鳴らしてみました。こちらはかなりサラウンド感が強く、その分ボーカルの定位が少し散ったような感覚になります。2ch音源を、無理やりサラウンドにしようとしているからでしょうか。
いずれも個人的に音質的には微妙といったところです。ARCでテレビのYouTubeアプリから音楽を鳴らした時はかなり立体的で素晴らしい音質に感じたので、スマホ経由での音楽再生はオマケ機能ぐらいに考えたほうがいいかもしれません。
音場補正で音の広がりや質が変わる
Fidelio FB1は音場補正用のマイクを使って自動キャリブレーションができるので、実際に使ってみました。使い方は簡単で、マイクをFidelio FB1に挿してマイクを自分の視聴位置に近い場所に置いて計測用の音声を1分ほど音を聴かせるだけです。
キャリブレーション前でも特に不満のない音質でしたが、自動キャリブレーション後はぼやっとしていた低音域がよりタイトでくっきりとした音になったり、より声がハリのある音になりました。
今回はFidelio FB1のみでしたが、別途対応するサブウーファーやサラウンドスピーカーを足せば1つのマイクで同時に音場補正できるので便利です。この仕組みはAVアンプで採用されているもので、サラウンドの正確な立体感を出すのに必須の機能です。
サラウンド音源を聴きたいなら、音場補正機能は必須ですね。
アプリによる設定が便利
Fidelio FB1は、下記の2種類のアプリで操作が可能です。
- Philips Sound・・・Fidelio FB1の連携設定
- PS Fine Tune・・・Fidelio FB1の音質設定
例えばPS Fine Tuneを使えば、8バンドのイコライザーで直感的に音質設定が可能です。サウンドスタイルで「音楽」や「映画」といったプリセットの設定も選択できますし、自分好みの音質に簡単に設定できます。
それぞれイコライザーの特徴は下記のようになっています。
イコライザー設定 | 特徴 |
---|---|
音声 | 人の声が強調されて聞き取りやすくなります。 |
音楽 | 息つぎから、ピアニッシモの音まで聴こえてきます。 |
映画 | 役者の声とBGMのバランスを整えます。 |
スタジアム | まるでスタジアムでスポーツ観戦をしているかのような臨場感。 |
カスタム | 自分好みにサウンドをカスタマイズできます。 |
Philips Soundアプリは下記のような画面で、Wi-Fi経由で音楽を流せるようにする設定やファームウェアのアップデート、Amazon Alexaといった音声サービスとの連携設定ができます。
アプリ自体は別れていますが、Philips SoundアプリからPS Fine Tuneアプリに遷移できるようになっていますので特に不便は感じませんでした。
ヨーロッパを代表する家電メーカーなだけあって、アプリもしっかり作り込まれていました。
夜はスピーカー周りのLEDリングがきれい
Philips Fidelio FB1、とにかく夜がきれいなんです。基本的に夜は睡眠導入のために暖色系の明かりを少し灯すだけなのですが、Philips Fidelio FB1はリング周りのLEDライトがふわっと光り綺麗です。
リング周りのLEDの色は調整できませんが、単なる音響機器としてではなくインテリアとして映えるような工夫もされています。
Philips Fidelio FB1のメリット・デメリット
Philips Fidelio FB1を使って感じたメリットとデメリットを下記にまとめます。
Philips Fidelio FB1のメリット
Philips Fidelio FB1のメリットはこちらです。
- サウンドバー1台でIMAX Enhanced、7.1.2ch、Dolby Atomsに対応した環境が作れる。
- HDMIパススルーに対応し、ゲームやブルーレイプレイヤーの音の遅延を無くせる。
- アプリでイコライザー設定や音声サービス連携が手軽にできる。
- LEDライトやレザーでインテリアとしても映えるデザイン。
最大のメリットは、Philips Fidelio FB1が1台あれば本格的なサラウンド環境が揃うということです。僕は一度AVアンプとスピーカーでサラウンド環境を構築しようとしましたが、スペースの関係で諦めてしまいました。Philips Fidelio FB1なら、テレビ下に1台設置するだけでIMAX Enhanced、7.1.2ch、Dolby Atomsに対応した環境ができるので、便利です。
音も良かったですし、さすがに映画館には負けますが迫力ある体験ができます。
Philips Fidelio FB1のデメリット
Philips Fidelio FB1のデメリットはこちらです。
- ワイヤレスでの音があまり良くない。
- サラウンドAI以外のサウンドモードは個人的にいまいち。
まず、そもそもサラウンドかつテレビでの使用前提だからかBluetoothやAirPlay経由の音質はあまり良いと感じませんでした。そもそもワイヤレスで使うような想定はないので気にならない方のほうが多いと思いますが、ワイヤレスで使いたいなら別途Bluetoothスピーカーを買ったほうが安上がりだと思います。
また、サウンドモードが「アップミックス」「スタンダード」「サラウンドAI」の3つがあるのですが、サラウンドAIを体感してしまうと他のモードの音がしょぼく感じます。逆に言えば、サウンドモードをサラウンドAIにすればかなり満足できる音で映像コンテンツや音楽を楽しめるということですので、サラウンドAIモードでぜひ体験していただきたいです。
Philips Fidelio FB1は1台で映画もゲームも楽しめるサウンドバー
Philips Fidelio FB1をレビューしました。実は以前13万円台のサウンドバーを使ったことがあるのですが、音に満足できず売ってしまいました。正直Philips Fidelio FB1も期待していなかったのですが、AVアンプ(SONY STR-AN1000)とスピーカー(Focal Chora 806)で20万円の構成を組んでいる僕でもかなり満足できる音に仕上がっていました。
映画館で映画を楽しむのもいいですが、家で好きな作品を思う存分楽しめればすぐに元がとれますのでぜひ!