10月30日発売の「Noble Audio FALCON2」が発売日に届きました。私は今完全ワイヤレスを2種類所有しています。「Airpods Pro」と「WF-1000XM3」です。
いわゆる昨年発売された完全ワイヤレスイヤホン界のツートップと言っても過言ではない組み合わせですが、今回新しく「Noble Audio FALCON2」を購入した決め手は下記のサイトでした。
実は前機種の「FALCON」をe☆イヤホンで試聴したことがあったのですが、かなり自然な音質で響きもあり気に入っていました。しかも20万円以上するラインアップを揃えているような高級イヤホンメーカーが、1万円台の完全ワイヤレスイヤホンを出すということはかなり期待できそうということで「FALCON2」を購入しました。
「FALCON」とは訳すと「鷹」を表します。鷹は「鷹匠」のように扱いに難しいイメージがありますが、FALCON2はかなり言うことを聞いてくれる素直な「鷹」でした。
まずは開封の儀と外観チェック
「WF-1000XM3」のケースと並べてみました。コンパクトですね。しかも艶出し加工が高級感を漂わせています。
FALCON2の魅力
では次に、FALCON2の魅力を使用感も交えつつご紹介します。
バッテリーが単体で10時間持つ
まず、完全ワイヤレスイヤホンとしては圧倒的に長持ちなバッテリーが魅力的です。「AirPods Pro」は体感として3時間前後、「WF-1000XM3」は4時間前後のバッテリー持続時間ですが、その約3倍は持つことになります。連続再生時間10時間は音量を70%にしたときなので、音量をもっと下げればもっと持つということでしょうか。
ちなみに「連続通話時間」は最大11時間(70%音量時)と、1時間余分に持ちます。
また、ケースにいれて充電することで40時間持つということで、最新の完全ワイヤレスイヤホンとしてはかなり上出来だと感じています。
私事ですが、最近は4時間を超えるようなミーティングもあり「Airpods Pro」ではバッテリーが持たないことが多くなってきました。そういうこともあり、このFALCON2には長時間のミーティングにも耐えうるバッテリー持続時間を期待しています。
ワイヤレス充電に対応
FALCON2は、qi対応のワイヤレス充電に対応しています。もしスマートフォンをワイヤレスで充電している場合は、今お使いのワイヤレス充電器に載せるだけで充電可能です。
私もSeneoのワイヤレス充電器に載せてみましたが、しっかり充電してくれました。このイヤホンより高価な「WF-1000XM3」には搭載されておらず、1万円台の価格帯でワイヤレス充電も搭載しているモデルはなかなか少ないです。
置くだけで充電できるとかなり楽なので、FALCON2で新たに搭載されて魅力的な点の1つです。
なお、端子はUSB Type-Cを採用していますので、最近のAndroid機種やMacbookなどを使っている方はそのままそのケーブルが流用できます。
完全ワイヤレスイヤホン中最強のIPX7の防水性能
高い防水性能もFALCON2の魅力です。「AirPods Pro」は「IPX4」相当で耐水・耐汗なので、水中に入れてしまうと駄目です。また、「WF-1000XM3」は何も防水性能がついていません。
このIPX7という規格に対応していると、「水没」にも耐えることができます。
水面下15cm~1mで、30分間沈んでいても大丈夫、というもので、常時水に使っていても大丈夫といったものではないのでご注意ください。ここまでくると、水滴とか、水流とかではなく、ちょっと方向性の違う規格になります。
https://e-earphone.blog/?p=1343766
このイヤホンをつけて30分間沈んでいても大丈夫?
すごいですよね。ちなみに8級対応のイヤホンはありませんので、現状完全ワイヤレスイヤホン中最強の防水性能を持っています。
防水なのに音のヌケがいい、まさに魔法!
防水対応ということは音がこもりがちになるイメージがあると思います。「WF-1000XM3」も音質重視で防水性を排除しているでしょうし、防水性を優先して穴を少なくすれば必然的に音のヌケが悪くなります。
結論から言いますと、ヌケの良い非常に上品な音色を奏でてくれます。WF-1000XM3のような音の緻密さ、派手さはないのですが、聴き疲れのしにくいバランスの取れた音です。例えば「米津玄師」の「Lemon」や「King Gnu」の「白日」などボーカルものと非常にマッチします。
いわゆる有線イヤホンで感じる音の生々しさがFALCON2でも感じられ、完全ワイヤレスでさらに防水機能があることを忘れるぐらいです。男性ボーカルが前に出る、女性ボーカルはもう少し後ろに引っ込む感じでした。デバイスがiPhone XSですので、Android端末であればまた違ってくるかもしれません。また、推奨エージングは30時間以上、最終的には50時間ほどで音が安定してくるみたいです(エミライの島さん情報)。
逆に音数が多いJ-POP(アイドルソングなど)は苦手な印象で、音がダマになってしまいます。イコライジングで変わってくるかもしれませんが、いわゆる重低音はそこまで深く出ないのでEDMの重低音やベースの音は少し聞き取りづらいですね。
音場はステムが長く確保されていることもあり、Airpods Proよりも若干広い印象です。
どこかの記事で音場がかなり広くてどこまでも突き抜けていくような音と表現されていましたが、「WF-1000XM3」よりは狭く頭の中で常に定位する感覚です。「WF-1000XM3」はアプリで音場の調整が可能なので、当たり前といえば当たり前ですね。
ちなみにこのイヤホンは「Wizard」と呼ばれている「ジョン・モールトン」氏によるチューニングが施されています。
https://nobleaudio.jp/noble-audio/
オーディオロジスト(難聴の診断や補聴器の調整などを行う聴覚専門家)のジョン・モールトン博士が手掛けるイヤホンはその造形的な美しさから『あなたはWizard(魔法使い)だ』と話題になったことから「Wizard」と呼ばれています。
聴覚を知り尽くした専門家がプロデュースする完全ワイヤレスイヤホン、音も本格派です。
動画を見た際の音の遅延が皆無に近い
技術の進歩はすごいもので、2年前の完全ワイヤレスイヤホンであればハイエンドモデルでも動画を見た際の音の遅延がひどかったです。遅延の少ないモデルは「Airoha」という台湾製メーカーのチップを搭載したモデルがほとんどでした。
このFALCON2は最新QUALCOMM製SoC「QCC3040」を採用し、接続安定性はもちろんのこと動画を見た際の音声の遅延もほとんど感じられないぐらい抑えられていました。
YoutubeやAmazonプライムビデオなど、よくスマートフォンで動画を見る方には強くおすすめできます。
ちなみに「High Precision Connect2 Technology」という電波が途切れにくくなる機能が搭載されていますが、これは2.4GHz帯の電波を通しにくい人間の性質に着目し、アンテナ類をなるべく身体の外側に適正配置を行うことで途切れにくさを実現した技術です。
快適な装着感はいつまで装着していても疲れにくい
FALCON2は良い音、高い防水性、音の接続安定性の高さという強みを持ちつつ、装着感にも非常にこだわっていると感じました。イヤホンの形状は、通勤・通学などの移動中や長時間の装着を想定しているようで、ここは聴覚の専門家である「Wizard」の研究しつくされた設計が活きていると思います。今までハイエンドイヤホンを開発してきたノウハウが存分に発揮されていると思います。
2時間ほど装着しっぱなしでも、特に痛みは感じなかったです。ユニバーサルイヤホンでここまで装着感がいいイヤホンは「AirPods Pro」以来です。「WF-1000XM3」は1時間30分が限界なので、価格差を考えても装着感はFALCON2に軍配が上がります。
イヤピースには、イヤーピースブランドePro audiosの特許技術を使用したイヤーチップが採用されています。具体的には、高耐久素材の「グラフェン」を配合することで長期間使えるタフさを追求し、かつホーン形状で高音、低音を伸びやかにする技術が採用されています。
https://www.eproeartips.jp/horn-shaped-eartips/
ただし、耳垢は付着しやすいので耳の掃除は定期的にしたほうが良さそうですね。
また、イヤホンの中でもステムが長いので、耳の奥に入れる感覚が嫌な方は向かないかもしれません。そのような方は、「AirPods Pro」のようにステムレスでイヤピースが耳穴にフィットしやすいイヤホンが向いています。
FALCON2専用コールセンターがある
FALCON2の使い方が分からない、修理をお願いしたいとき用に、実はFALCON2専用のコールセンターがあります。
電話番号は説明書に書いてあり、午前11時から午後17時まで受付しています。このFALCON2をいかに安心して使っていただきたいかというメーカーの熱意が伝わってきますね。
ペアリングがめちゃくちゃ簡単
完全ワイヤレスイヤホンを試聴するとき、ペアリングの仕方に悩んだことはありませんか?例えば片側のイヤホンだけを取り出してボタンを長押ししたり、ケースの蓋を開けてボタンを長押しするなど、結構分かりづらいです。
FALCON2はどうするかといいますと、ケースから本体を取り出すだけでペアリングが始まります。
これはFALCON2のサイトでもピックアップされている部分で、蓋から本体を取り出すだけで自動的にペアリングモードに移行するのが人間工学的に一番望ましいと考えつくされた結果だと考えています。
完全ワイヤレスイヤホンで今まで不満に感じていた細かいことが、数々のフィードバックが反映されたことにより解消されていることが伝わってきました。
FALCON2のあと一歩なところ
では、こんなに絶賛せざるを得ないFALCON2にも欠点はあるのでしょうか?
2日間だけ使ってみて、少し気になった部分がありましたのでご紹介します。
ヒアスルー機能はAirPods Proの足元にも及ばない
期待していただけにがっかりしたのはこの「ヒアスルー機能(外音取り込み機能)」です。FALCON2から新たに搭載された機能ということで楽しみにしていたのですが、「WF-1000XM3」と同様に機械的で不自然な聴こえ方がします。「サーーーッ」というホワイトノイズが耳障りで、これならつけなくても良かったのではと感じました。マイクの集音性能も低く、むしろヒアスルー機能を無効にしたほうが外音が聞こえやすいのではないかという感覚でした。
専用アプリが未対応
前機種の「FALCON」では、「Noble Sound Suite」というアプリが用意されイコライザーや各種ボタンの割当の変更などが行えるようになっています。
2020年10月31日現在試したところ、アプリが認識してくれませんでした。近日対応予定なので、今後に期待ですね。
ちなみにFALCON2からアプリ側でゲイン設定機能が追加されるようで、音量の調整幅が広がりますね。
イヤピースの選択肢が少ない
AirPods Proも独特のイヤーピース形状なので専用設計のイヤーピースが必要ですが、FALCON2も耳の奥に差し込む形状のため傘が浅く、イヤーピースを別のものに変えたい場合は注意が必要です。
ただし、デフォルトで付いているイヤーピースがかなり上質なものですので、よっぽどのこだわりがない限りは気にしなくて良さそうです。
ボタンが押しにくい
完全ワイヤレスイヤホンの宿命ですが、横から押し込むボタン形状ということで結構押しにくいです。
コツとしては親指と人差指で本体を挟むようにして押すと押しやすくなります。ここは「WF-1000XM3」のようにタッチするだけで再生停止ができたり、「AirPods Pro」のように柄の部分を押すと反応する方式がやりやすいですね。
FALCON2におすすめのイヤーピース
先程欠点としてイヤーピースの選択肢の少なさを挙げましたが、傘の低いイヤーピースであれば適しています。
というわけでいくつか試してみたところ、JVCケンウッドの「スパイラルドット」が非常に良かったです。
このイヤーピースは細かなくぼみをイヤピース内に複数配置することでイヤーピース内の反射音を拡散させ、直接音とのバランスを最適化することで、音のにごりを抑える効果があります。
交換したところ、音場が圧倒的に広くなったと同時により音の生々しさが増しました。スパイラルドットは一般的なイヤピースより音道が広めに取られていることも特徴ですね。また、音数の多い楽曲もいい具合に分解されている感じがします。これは僕も思わぬ誤算でした。Wizardもびっくりだと思います。
ちなみに僕は初代のスパイラルドットなので、「スパイラルドット++」という最新のイヤーピースはもっとすごいかもしれませんね。
FALCON2はこんな人にピッタリ!
FALCON2は、今まで完全ワイヤレスイヤホンをあえて避けていたという方にこそぜひ手に取ってほしいイヤホンです。例えば、今まで以下のようなイメージを持っていた方は一度ご検討ください。
- 完全ワイヤレスイヤホンはバッテリー持ちが悪い
- 完全ワイヤレスイヤホンは無線なので音質が悪い
- 完全ワイヤレスイヤホンは音声の遅延がひどい
- 完全ワイヤレスイヤホンは電波が弱く干渉しやすい
- 完全ワイヤレスイヤホンは本体が大きくて耳に入れたときに違和感がある
上記の5点がすべて解消されています。
Falcon Proも発売!
12月18日に、上位機種となる「Falcon Pro」が発売されます。
2BA+1DD構成となり、価格も32,000円と高価格になります。
私としてはそもそもハイブリッドドライバ構成の音があまり好きではなく、ドライバー構成以外の仕様があまり変わらないのでFalcon2で十分だと感じていますが、一度聴いてみたくなるような完全ワイヤレスイヤホンですね。