近年グラボや半導体の価格が高騰し、円安傾向でゲーミングPCやコンソール機が軒並み高価格化しています。そうなると、本来その性能を最大限に活かすためのモニターやコントローラーに回すための予算確保も難しくなってきます。
今回紹介するKTC H27S17は、そんな悩めるゲーマーにとってゲームチェンジャーになりうる高コスパモニターです。2万円台で、sRGB132%の高色域、AMD FreeSync・G-Sync対応・応答速度1ms、フレームレート最大180Hzという一昔前ではありえないほどの高性能が手に入ります。
KTC自体は聞き馴染みのない方が多いかもしれませんが、東京ゲームショウで出店するほど日本でも積極的に展開しているブランドです。
見せてもらおうか、この高コスパモニターの性能とやらを。
KTC H27S17の魅力
まずはKTC H27S17の魅力を機能を紹介しながら解説していきます。
ソリッドかつ狭額縁のクールなデザイン
2万円という価格の安さから、質感の心配をされる方も多いと思いますのでデザインをじっくりと見ていきます。まずKTC H27S17のスタンドですが、ゲーミングモニターらしい放射状に伸びたソリッドな足がかっこいいです。支柱部分を含め触れるとひんやりとし、「あっ、これ鉄製なんだ!」とその剛性に感心しました。
傾きは前後に-5〜15°の範囲で角度調整できます。デザイナーズモニターを使っている方からすればピボットやスイーベルの調整も欲しいと感じる方も多いかもしれませんが、湾曲モニターで縦向き使用することはほぼないですし、ゲーム中に頻繁にモニターを動かすこともないので不便さは感じていません。
モニター本体のデザインを見ると、LEDによる派手なライティングはないですがゲーミングモニターらしい赤のラインが背面に入っています。かつてゲーミングモニターのEIZO FORISを使っていましたが、赤色をアクセントにする点は近い感じでした。また、背面にはアラミド繊維のような柄も見られ、細かなデザインのこだわりが見えます。
上から見るとしっかり分かるほど曲がっており、1500R(半径1.5mの円を描く弧)の湾曲率です。奥行きは25cmとスペースを取るので、モニター台の選定には注意が必要です。
ここまでは結構個性的な部分が目立ちますが、いざモニター正面を見るとかなり無骨でシンプルです。ベゼル幅は約8mmほどと薄く、狭額縁なのでかなりかっこよく見えます。
デザイン面で見れば2万円だからといって安っぽさは感じず、鉄製で個性的なデザインのスタンドやゲーミングモニターらしさを演出する背面のレッドラインなど個人的に満足できる仕様でした。
HDMI・DPが2系統で複数のゲーム機と接続できる
KTC H27S17は、HDMI2.0が2系統、DisplayPortが2系統ありますので、例えばPlayStation 5やNintendo Switchといったコンソールのゲーム機が2つ、ゲーミングPCが2つ同時に接続可能です。これは複数台ゲーム機を持っている方には嬉しいですね。HDMIの規格が2.1対応ではないですが、価格を抑えるのとAMD FreeSync・G-Sync対応で十分という判断によるものでしょう。
ちなみにUSBポートはファームウェア更新用で、入力ポートではありません。オーディオは3.5mmのステレオミニですので、一般的なアクティブスピーカーやヘッドホンで使用可能です。このあたりは一般的ですね。
シンプルで分かりやすい操作性
モニターをいざ設定調整しようとすると、ボタン操作でかなり迷ったことはありませんか?僕はあります(笑)メニューの出し方や決定操作のミスで、イライラしたこともありました。KTC H27S17は、なんとジョイスティックだけというかなりシンプルかつ直感的な操作系になっています。ガラケーの十字キー操作に慣れてた方なら速攻で直感的な操作が可能です。
ジョイスティックの長押しで電源のオンオフ、短押しでメニュー表示・決定、あとはジョイスティックの上下左右で項目の選択ができるので、複数ボタンある他社のモニターより圧倒的に操作しやすいです。
設定画面のUIも項目ごとに分かりやすくまとまっているので、調整したい項目に早くたどり着けました。
ゲームプレイ画質で価格破壊を実感
所持しているXBOX Series Xを使って、KTC H27S17で実際にゲームをプレイしてみました。XBOX Series Xなら、WQHD解像度で120Hzのフレームレート、AMD FreeSyncでティアリングやカクつきのない滑らかな画面描画を実現させることが可能です。
AMD FreeSync テクノロジは、AMD Radeon グラフィックスと連動してティアリングやちらつきのないゲーミング エクスペリエンスとスムーズな動画再生を実現します。HDMI® と DisplayPort™ の対応で接続も手軽です。
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まず画質ですが、2万円台であることを忘れさせてくれるほど鮮やかです。sRGB132%の高色域で、もはやデザイナー向けモニターのスペックということでしたが発色の良さを見て納得しました。KTC H27S17はVAパネルということで、一般的に普及しているIPSパネルより黒の表現が優秀です。HDR10という明暗差を10bitで表現できる規格にも対応し、5000:1というハイコントラストで明るい部分はより明るく、暗い部分はより暗く表現できる点はまさにゲームプレイにうってつけに感じました。
応答速度1ms(モニターの画面に表示されている映像が切り替わるまでに1msかかる)という仕様に今までよくピンときていませんでしたが、確かに残像感がほぼなく映像がヌルヌルと動くさまに快感を覚えます。MPRT(モニターの色が黒→白→黒まで変化する際の速度を表した物)での計測なのでゲームの場合はGTG(モニターの色が中間色から中間色へと変化する速度)の方が望ましいのですが、2万円台のモニターにそこまで求めるのは酷ですね。ただより高価格な60Hzモニターよりは確実に残像感が少ないです。
湾曲モニターによる没入感ですが、ウルトラワイドではないので思ったよりほどほどな感じです。ただ平面モニターより画面の端がやや近い分、全体を見渡しやすいという点では確実にゲーム向きと感じました。
総じてこの画質で2万円台は満足度かなり高いです。
ゲームのアシスト機能も充実
KTC H27S17は、ゲームプレイをアシストしてくれる機能も充実しています。
まずタイマー機能ですが、15分から90分まで5段階で設定可能です。時間を決めてゲームをプレイするときに便利そうですね。
次にクロスヘアー機能(FPSで銃を構えていない時に出てくる十字線)ですが、6種類の中から設定が可能です。
また、FPSカウンター機能で現在のフレームレートを把握することも可能です。3つともすべて表示させた画像がこちらです。左上にタイマー、真ん中にクロスヘアー、右上にFPSカウンターが表示されています。
個人的にFPSカウンター機能は現在のフレームレートが気になる時に重宝しますね!
KTC H27S17の欠点
KTC H27S17を使ってみて個人的に気になった欠点を解説していきます。
ケーブルマネジメントしにくい
KTC H27S17の欠点は、ケーブルマネジメントしにくいことです。スタンドの支柱部分にケーブルをまとめるオーガナイザーがないため、接続したケーブルが乱れやすいのは欠点に感じました。そもそもケーブルについてシビアではないなら気になりませんし、気になるならバンドを購入してまとめたりモニターアームに換装するのもありかなと思います。VESA規格に対応しモニターアームへの換装も容易なので、試してみると良いでしょう。
視野角はIPSモニターより狭い
VAパネルのパネルで心配していたことですが、IPSパネルに比べるとやはり角度をつけて画面を見ると色褪せが目立ちますね。ただTN液晶よりは確実に視野角による色褪せは少ないですし、そもそもゲームをやっていて湾曲モニターの正面以外から画面を見ることはほぼないと思いますので使用上大きな欠点とは感じていないです。
3ピンの電源コードは少し扱いにくい
KTC H27S17に付属する電源コードは3ピン仕様で、日本の一般的なコンセントのような2ピンではありません。ポータブル電源や電源タップでよく3ピンのコンセントは見かけますが、ここは2ピンの方が使いやすかったかなという印象です。
ただ、KTCに上記のことを問い合わせればなんと2ピンへの変換アダプターを無償で送ってもらえます。気になる方は購入後に問い合わせてみましょう。
結論:KTC H27S17は倍の価格でも文句言えないほどデキが良い
これまで紹介した内容で、何度も強調していますがこの性能を2万円台で買えるのはかなり衝撃的でした。2024年11月時点で4,000円OFFクーポンが出ていて割引も含め約21,300円で買えるのですが、利益が出ているのか心配になるほど太っ腹な価格設定です。普段は27インチ4Kモニターを使っていますが、WQHD解像度でも距離を離してみれば遜色ないほどきれいに感じました。
XboxやPlayStationでモニターを安く済ませたい方は、ぜひ一度お試しください!
- ソリッドかつ狭額縁のクールなデザイン
- HDMI・DPが2系統で複数のゲーム機と接続できる
- シンプルで分かりやすい操作性
- 2万円とは思えないゲームプレイ画質
- ゲームのアシスト機能も充実
- ケーブルマネジメントしにくい
- 視野角はIPSモニターより狭い
- 3ピンの電源コードは少し扱いにくい