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KEF LSX Ⅱ LTをレビュー!約10万円差のLSX Ⅱとの違いは?メリットやデメリットも徹底解説

この記事では、イギリスの老舗オーディオブランドKEFから登場したスピーカー、LSX Ⅱ LTをレビューしていきます。LTは「LITE」の略で、すでに販売されている同社のLSX Ⅱの廉価版になります。オーディオ製品は物価高で値上がりが激しく、なかなか手の届きにくいものになっています。そんな中で、少しでも多くの人にKEFの音を楽しんでほしいとの思いで生まれたのがLSX Ⅱ LTです。

たいしょん

実はこのスピーカーを購入するために、事前にKEF Music Gallery Tokyoの試聴会に参加していました。その時の体験も踏まえ、徹底レビューしていきます。

KEF Music Gallery TokyoのLSX Ⅱ LTの展示の様子
KEF Music Gallery TokyoのLSX Ⅱ LTの展示の様子
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LSX Ⅱ LTとLSX Ⅱの違い

LSX Ⅱ LTを語る上で無視できないのが、LSX Ⅱとの違いです。なにせ価格は10万円差と、無視できないほどのバーゲンセールになっています。両者の主な違いを、表にまとめました。

機種名LSX Ⅱ LTLSX Ⅱ
ワイヤレス
ストリーミング
AirPlay
Chromecast built-in
UPnP Compatible
Bluetooth 5.0
AirPlay
Chromecast built-in
UPnP Compatible
Bluetooth 5.0
Roon Ready
推奨フォーマット
(ネットワーク)
DSD, FLAC, WAV, AIFF, ALAC, AAC,
WMA, MP3, M4A, LPCM and Ogg Vorbis
MQA, DSD, FLAC, WAV, AIFF, ALAC, AAC,
WMA, MP3, M4A, LPCM and Ogg Vorbis
入力HDMI ARC
USB Type C
TOSLINK光入力
HDMI ARC
USB Type C
TOSLINK光入力
アナログ3.5mm AUX
システム構成プライマリーアクティブ
セカンダリアクティブ (プライマリースピーカーから電源を供給)
プライマリーアクティブ
セカンダリアクティブ
左右スピーカー間接続USB-Type Cによる有線スピーカー間接続RJ45によるワイヤレスまたは有線スピーカー間接続
塗装キャビネットはなしあり
希望小売価格137,500円231,000円
LSX Ⅱ LTとLSX Ⅱの比較表
たいしょん

仕様では上記の違いにとどまっており、DSPやスピーカーユニットは共通です。

それ以外では、例えば同じ音量設定にした場合LSX Ⅱの方が音が大きめに聞こえる、LSX Ⅱ LTは若干マイルドに聴こえるといった感覚的な違いがあります。

なぜ価格を下げられたのか?

KEFのスタッフさんに聞いたところ、価格を下げるためにかなり企業努力をされたとのことでした。

まず仕様について、ユーザーにアンケートを取ったところAUXを使うユーザーがほぼいなかったため省いたそうです。Roon ReadyやMQAについても、ライトに音楽を楽しむユーザーには不要ということで省かれました。これにより、各社へのライセンス料を支払わなくても良くなるので実質価格を下げられたとのことです。

また、公式サイトに記載はありませんが実はLSX Ⅱ LTはキャビネットの塗装をしていません。つまり素材そのものの色で仕上げているということですね。

上記のような仕様によるコストダウンだけではなく、「この価格ならかなり売れるだろう」というボリュームディスカウントも考慮した価格設定になっているとのことでした。

たいしょん

つまりKEFとしてはかなりの期待を持って送り出された製品ということですね。

価格を下げられた理由
  1. 機能を省くことでライセンス料を払わなくても良くなった
  2. キャビネットの塗装をしないことで素材のコストダウンができた。
  3. たくさん売れることを期待したボリュームディスカウントがされている。

KEF LSX Ⅱ LTのパッケージ・外観レビュー

KEF LSX Ⅱ LTを実際に購入してみましたので、付属品や本体の外観をレビューしていきます。

付属品のチェック

まず、KEF LSX Ⅱ LTに同梱されている付属品をチェックしていきます。

同梱品
  • LSX II LT 
  • 電源コード 
  • 左右スピーカー接続ケーブル(3m) 
  • 赤外線リモコン 
  • クイックスタートガイド 
  • 保証書、製品安全情報
KEF LSX Ⅱ LTの付属品

左右のスピーカーを繋ぐケーブルはUSB-Cで、PD(Power Delivery)給電に対応したKEFオリジナルのものです。普通は汎用ケーブルで済ます部分ですが、自社開発で線材を選定しているとのことでした。USB3.0に対応するケーブルの最長が3mだったということで、この長さになっているそうです。USB2.0のケーブルなら8mのものもありますが、LSX Ⅱ LTで使ってみたところ動作しなかったようで使うならこの純正ケーブルがベストですね。

KEF LSX Ⅱ LTのUSBケーブル
KEF LSX Ⅱ LTのUSBケーブル
端子部分にはKEFのロゴ付き

電源コードはLSX LSX Ⅱと異なりプライマリー側の1本のみです。セカンダリーへの給電はUSBケーブルを通じてできるので1本で十分ですね。ケーブル径は太めですが、比較的しなやかで取り回ししやすいです。

KEF LSX Ⅱ LTの電源ケーブル

赤外線リモコンは、ボタンが9つとかなりシンプルな仕様です。というかスピーカーにリモコンが付属してるってさすが高級機ですね。電池は単4で駆動します。電池は付属していますので、別途用意する必要がありません。スマホでもリモコン操作でき、特にボリュームの数値はスマホでしか確認できないのでこちらのリモコンは電源のオンオフメインで使っています。

KEF LSX Ⅱ LTのリモコン

本体の外観チェック

では、LSX Ⅱ LTの本体もチェックしていきましょう。本体サイズや重量は下記の仕様です。

本体サイズ(幅×高さ×奥行)mm155×240×180
本体重量6.8kg
LSX Ⅱ LTのサイズと重量
KEF LSX Ⅱ LT

最も特徴的なのが、KEF独自のLSX IIと同じ第11世代UniQドライバーですね。KEFは伝統的にツートンカラーを採用してきましたが、LSX Ⅱ LTの統一感のある配色もめちゃかっこいいです。一見フルレンジドライバーに見えますが、実は19mmのアルミドームツィーター115mmのマグネシウム/アルミニウム合金製ウーファーが同軸に配置されているという特殊な構造です。

KEF LSX Ⅱ LTのドライバー

実際にKEFのスタッフさんから聞いたところ、ドライバーの周りの溝がディフューザーの役割を果たし音を拡散させているということでした。ツィーター部分も高音を拡散させるためのウェーブガイドが搭載されています。機能性もデザインの良さも兼ね備えているなんて、素晴らしいですね。

キャビネットは冒頭で紹介したように塗装されていません。塗装されていないといっても仕上げはつや消しマットな落ち着いた感じで、一体感のあるデザインは健在ですね。

KEF LSX Ⅱ LTの側面

背面には各端子が揃っています。

  • HDMI ARC
  • TOSLINK光入力
  • USB Type C
  • RJ45 イーサネット(ネットワーク)
  • USB Type C (左右スピーカー間)
  • RCAサブウーファー出力
KEF LSX Ⅱ LTの背面
プライマリースピーカーの背面
KEF LSX Ⅱ LTの背面
セカンダリースピーカーの背面

LSX ⅡからAUX端子が省かれた他、セカンダリーのスピーカーはUSBケーブルの端子のみというかなりシンプルな構造ですね。バスレフポートが背面にあり壁との距離を気にする必要がありそうですが、実はアプリで補正できますので後ほど紹介します。

スピーカーの底は4点に滑り止めがありますので、デスクに設置しても共振を抑えながら使用可能です。KEFのスタッフさんに確認したところ、デスクに設置する時は10°の角度に傾けてあげると天板に反射する音を軽減できるのでいいとのことでした。

三脚ネジもあり汎用のスタンドでも使える
たいしょん

デスクに置いただけでもインテリアとして映えるデザインなので、かなり気に入っています。

ちなみにLSX Ⅱ LTはカラーがセージグリーン、グラファイトグレー、ストーンホワイトの3色がありますが、セージグリーンは公式サイトの写真より実物は明るめのグリーンで、ストーンホワイトは若干グレーが入った白色でした。カーキほどの濃い色を期待しているとがっかりするかもしれませんが、爽やかでいい色味です。

KEF LSX Ⅱ LTのセージグリーン、グラファイトグレー、ストーンホワイトの3色を並べた画像
左からセージグリーン、ストーンホワイト、グラファイトグレーが並んでいる。

KEF LSX Ⅱ LTの魅力・メリット

実際にKEF LSX Ⅱ LTを使ってみて感じた魅力やメリットを、紹介していきます。

UniQドライバーが奏でる正確かつ一体感のある音がいい

KEF Music Gallery Tokyoの視聴会でも感じたのですが、原音を誇張しない素直で正確な音、かつ一般的な2Wayスピーカーでは感じられない音の一体感が良いと感じました。

一般的なスピーカーは上部にツィーター、下部にウーファーが基本ですが、実は視聴位置によっては微妙に両者の音がずれることがあります。ウーファーの音が先の場合は少しこもったような音に感じ、ツィーターの音が先に出る場合はハイ上がりな軽い音に聞こえることもありました。しかしKEF LSX Ⅱ LTはそれがありません。これは同軸ユニットの強みですね。

僕はアニメや映画を主に視聴するのですが、その視点で見るとまずセリフの立体感が格段に良いです。スピーカー内の吸音効果が優れているからか余計な残響感がなく、静寂の中からすうっと声が浮かんでくるのでかなりセリフが聞き取りやすくなっています。音離れがよく、スピーカーから音が鳴っているというよりもモニターから声が聞こえる感覚がなんとも心地良いです。

実は当初家で初めてLSX Ⅱ LTを視聴した際に「音の広がりが狭い」と感じたことがあったのですが、以前KEFののショールームにお邪魔した際に「このスピーカーは内振りしなくても大丈夫ですよ」とスタッフさんから説明を受けたことを思い出しました。その言葉を参考にほぼデスクに対して正面にスピーカーを向けたところ、音の定位が安定し広い音場を作ることに成功しました。

スピーカーを内振りした状態
スピーカーを正面に向けた状態
たいしょん

思ったより音の広がりがないと感じた方は、内向きにスピーカーを振らずに正面に向けることをおすすめします。

LSX Ⅱ LTの音質に関する評価を以下にまとめます。

音の広がり
狭い
広い
解像感
緩い
細かい
重低音
弱い
強い
音の響き
タイト
よく響く

アプリによる補正機能が充実している

僕が購入の決め手になった魅力の1つが、アプリによる補正機能が充実している点です。LSX Ⅱ LTはアプリからEQ設定ができるのですが、一般的なスピーカーでは搭載されていないほど細かい設定項目が用意されています。しかも音楽をライトに楽しむ方向けのノーマルモードと、より深く設定を追い込みたい方向けのエキスパートモードが用意されています。

たいしょん

一例としてノーマルモードの設定項目を一部紹介しますね。

ノーマルモードで設定できる項目(一部)
  • スピーカーの設置場所
  • テーブル前方エッジからの距離
  • 壁との距離
  • 部屋の残響感
  • 設置する部屋の広さ
ノーマルモードのEQ設定画面
エキスパートモードのEQ設定画面

東京のショールームでこの機能を紹介された瞬間に、13万円を出すだけの価値があると判断しました。一般的なプリメインアンプでもこれだけの設定はできませんし、AVアンプによる音場補正でも微調整が難しい項目をアプリで簡単に設定できるからです。バスレフポートが背面にある場合は一般的に1m以上離すことがベストと言われていますが、アプリで距離を設定すれば定在波や残響の制御を自動でやってくれるので音にこだわりたい人にぴったりです。エキスパートモードにするとさらにトレブルとベースの補正ができ、高音と低音を微調整できます。

たいしょん

個人的にノーマルモードよりエキスパートモードで調整したほうが好みの音に仕上げられたので、ぜひ挑戦してみてほしいです。

HDMI CECによるテレビとの電源連動が完全に機能している

LSX Ⅱ LTをテレビ用のスピーカーとして使ってみたいという方もいますよね。HDMIポートを搭載しており、ケーブル1本でボリューム調整から電源のオンオフまでテレビのリモコンで連動できるので便利です。

LSX Ⅱ LTをテレビ用のスピーカーとして使っている様子

結論から言えば、HDMI CECによるテレビとの電源連動が完全に機能しているので安心してお使いいただけます。

HDMI CEC(Consumer Electronics Control)とはテレビやレコーダーなどの機器間で制御信号をやり取りすることにより、お互いを操作するリンク機能の事です。

事前にKEFのショールームで「テレビとの電源連動ってちゃんと機能しますか?」と質問したことがあるのですが、「実はテストでテレビとの電源連動がうまくいかず、過去の機種でHDMIポートの搭載を見送ったこともありました。今販売されている機種はしっかりテストしてテレビとの連動も問題なく動作していることを確認した上で搭載していますので安心してください。」と聞いていたのでこちらも購入の決め手になりました。

たいしょん

プリメインアンプでHDMIによる電源連動がうまくいかない機種が多いので、しっかり機能しているLSX Ⅱ LTは使いやすく感じました。

テレビの電源をオンにした状態
テレビの電源をオフにした状態

もし電源の連動がうまくいかない場合は、アプリのスピーカー設定の「2番目のウェイクアップソース」で「TV」を選択してあげるとうまくいきます。

KEF LSX Ⅱ LTのデメリット

気に入っている部分が多い反面、しばらく使ってみて気になった部分もありましたので紹介します。

映画を観るには重低音の迫力が足りない

ウーファーの口径が小さいので仕方ないのですが、例えば映画を観る時に爆発音や飛行機が通り過ぎる轟音など、迫力のある重低音を期待するなら向いていないと感じました。

実は秋葉原のヨドバシカメラでLSX Ⅱ LTとサブウーファーのKC62を使った視聴環境があったのですが、この時に聴いた音があまりにも迫力があって映画に向いていると感じていました。KC62は24万円するアクティブスピーカーなのでそりゃいい音なのは間違いないですが、LSX Ⅱ LTは名前にもあるようにそもそもLITEに楽しむスピーカーなのでウーファーをつなげるぐらいならLS50 Metaなど大型のスピーカーにした方がいい気もします。

パッシブラジエーターを搭載した1万円クラスのスピーカーのほうが迫力があるという方も出そうなほど原音忠実で控えめなので、購入する際は必ず試聴をおすすめします

たいしょん

ただ不思議なことに、今では誇張しない自然な音のLSX Ⅱ LTがいいって感じています。

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スピーカー間をつなぐケーブルが若干邪魔

LSX Ⅱ LTはLSX Ⅱと違いスピーカー間を3mのUSBケーブル繋いでいるため、若干ケーブルが邪魔に感じました。元々分かっていたことなのでバンドで留めるなど工夫をすればいいのですが、背面をスッキリさせたいという理由でLSX Ⅱを選択肢に入れるのもありな気がしてきました。

3mの長さのUSBケーブルは若干邪魔
たいしょん

ちなみに僕の場合はサンワサプライのケーブル配線トレーを使ってまとめています!

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まとめ:LSX Ⅱから10万円引きはバーゲンセールすぎる

KEF LSX Ⅱ LT、しばらく使ってみましたがめっちゃいいです。当初は音のスケールが狭いとか重低音が控えめとか感じていましたが、スピーカーの向きを変えてみたり設定を調整することでかなり自分好みの音に近づきました。

冒頭で紹介したようにLSX Ⅱと音の心臓部となるDSPやスピーカーユニットは変えておらず、約10万円のディスカウントがされている本機はかなりバーゲンセールと言えます。補正機能も充実し、外付けアンプがいらない手軽さはパッシブスピーカーしか使っていない僕も常用したくなるほど便利に感じています。

たいしょん

10万円超えのスピーカーですが、憧れのLSX Ⅱの音が手の届く価格で実現できていますのでぜひ一度お試しください!

LSX Ⅱ LT
総合評価
( 4.5 )
メリット
  • LSX Ⅱの音が13万円で楽しめる
  • 補正機能が充実しており環境に合わせて音を最適化できる
  • HDMI CECによる電源の連動が完璧に機能している
  • AirPlayやChromecast built-inなど無線で手軽に音楽を楽しめる
  • KEFでは珍しくワントーンの配色なので部屋に馴染みやすいデザイン
デメリット
  • 映画を観るには重低音の迫力が足りない
  • スピーカー間をつなぐケーブルが若干邪魔

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