本記事では、ASUSのゲーミングシリーズ、TUF(タフ)から登場したTUF Gaming AX6000をレビューします。Amazon専売モデルとして登場し、5GHzで最大4,804Mbps、2.4GHzで1,148Mbpsというトップクラスの通信性能を実現しています。
オンラインゲームに勝ちたいという方は多いですが、ゲームの敗因が自分の実力ではなく通信の遅延だったら悔しくありませんか?有線接続で限りなく通信の遅延を抑えるのもいいですが、最近では無線でも通信の遅延が少ない機種が増えています。
ASUS TUF Gaming AX6000は、当ブログの検証結果で無線でも最低4msというかなりの低遅延を実現しており、Wi-Fiルーターの中でもトップクラスの性能を誇ります。機材を言い訳にせず、自分の実力を存分に発揮してオンラインゲームができる製品です。
TUF Gaming AX6000をしばらく使ってみましたので、外観や機能を含めたレビューや魅力、デメリットまで紹介していきます!
- ロゴのLEDをカスタマイズできる
- Wi-Fi6で高速な通信ができる
- モバイルゲームモードやポートフォワーディングなどゲーム特化の機能がある
- 通信遅延が少ない
- ゲームに特化した2.5GbpsのLANポートを内蔵
- アプリが使いやすい
- 壁掛けはできない
ASUS TUF Gaming AX6000の特長
ASUS TUF Gaming AX6000の特長・仕様・付属品を下記のタブにまとめました。見たい項目をタップしてみてください。
- 超高速WiFi 6
160MHz帯域と1024-QAM(802.11ax)に対応した4x4デュアルバンド高速WiFi6ルーターが、WiFiをさらに加速させます。最大で6000Mbpsのスピードを実現します。 - マルチ2.5 Gbpsポート
2つの2.5Gbpsポート搭載で、柔軟性の高い高速ネットワークの構築が可能です。 - 高速&安定の有線接続
ゲーミングLANポート(LANポート1)を利用することでゲーミングパケットが優先的に処理され、さらに快適なゲーミングを楽しむことができます。 - 3ステップポートフォーワディング
Open NAT機能で簡単にポートの開放が可能です。もう複雑な設定は必要ありません。 - ASUS AiMesh対応
複数のAiMesh対応ルーターと組み合わせる事により、柔軟で家全体をシームレスにカバーするメッシュネットワークの構築が可能です。 - ASUS APPでAiMeshの多様な接続設定が可能。
- 高耐久な筐体
様々な耐久テストをクリアし、コネクター部分にもメタルプロテクターを採用するなどまさに ”TUF(タフ)” 仕様の筐体です。
パッケージで推奨利用環境が分かるので、購入の際に決めやすいですね。ちなみにTUF Gaming AX6000は推奨値で3階建て、4LDKとなっており、70台までなら快適に同時接続できます。
TUF Gaming AX6000本体の外観
TUF Gaming AX6000はゲームやSF映画に出てくる宇宙船のようなデザインをしており、いかにもゲーミングデバイスという見た目です。
本体上部のロゴはLEDライトになっており、アプリで色の変更が可能です。
6本のアンテナは垂直方向に90°、水平方向に180°回転し、比較的柔軟にアンテナの向きを変更できます。
底面はメッシュ構造になっており、放熱性に優れた構造です。メッシュからうっすら見えている金属製のパーツがアルミヒートシンクで、基盤の上下をヒートシンクで挟み込むことで熱による通信性能の低下を抑えています。
TUF Gaming AX6000の各ボタンとポート
ポートは下記の3種類のものが揃っています。
- 2.5ギガビットWAN x 1
- ギガビットLAN x 4
- 2.5ギガビットLAN x 1
- USB 3.2 x 1
無線接続に対応していない機種でも5つまで有線接続できますので、便利ですね。1ポートだけ2.5ギガビットLANになっており、大容量の通信でもより高速に通信可能です。TUFシリーズのルーターはポート部分が金属製になっており耐久性も高くなっています。USBポートはUSB3.2に対応し、HDDやSSDを接続すればNASとしても利用可能です。
TUF Gaming AX6000のインジケーターランプ
前方に設けられたインジケーターランプは、左から下記の役割があります。
- インターネットランプ
- 有線LANランプ x 5
- Wi-Fiランプ
- 電源ランプ
有効になっていると、それぞれ白色に光ります。
インジケーターランプは本体の奥にあり、目立ちにくくなっています。ロゴのLEDを際立たせる役割かもしれません。
TUF Gaming AX6000の大きさと重量
TUF Gaming AX6000の大きさは301 x 216 x 174 mm、重量は696gです。アンテナを除いたサイズ感は、iPad Pro 11インチモデルに近いです。
TUF Gaming AX6000の魅力・メリット
カスタマイズできるRGBライティング機能
TUF Gaming AX6000は、アプリを使用してロゴ部分のLEDの色やライトのパターンをカスタマイズできます。
常時点灯、ゆっくり点滅、ウェーブ、レインボーの4つの点灯パターンが設定でき、デスク周りをゲーミング仕様にライトアップしている方にぴったりなルーターです。
ルーター自体のLEDライトの色をここまでカスタマイズできるルーターは同社のTUF Gaming AX5400やROGシリーズのルーターしかなく、ゲーミング部屋のトータルコーディネートを極めたいならASUSのゲーミングルーターがベストです。
1つのルーターに3つのゲームモードを搭載
TUF Gaming AX6000は、ゲーミング用途に特化したWi-Fiルーターということでゲームをする際に便利な機能が多数搭載されています。その中でも代表的な3つの機能を紹介します。
- 3ステップポートフォワーディング
- モバイルゲームモード
- アダプティブQoS
1つ目の3ステップポートフォワーディングとは、オンラインゲームプレイ時に接続ポートのアクセス制限(NAT)が影響してゲームに接続できなかったり、ホストとしてプレイできない状況が発生した時にスムーズにオンラインゲームのプレイを再開できるようにする機能です。下記の3ステップでOpen NATを使用できます。
- ゲームを選択
- デバイスを選択
- チームを選択
オンラインゲームのマルチプレイがより快適になりますよ!
2つ目のモバイルゲームモードは、ASUS Routerアプリからモバイルゲームモードを有効化するだけで、モバイルゲームのパケットが優先的に処理される機能です。例えばTUF Gaming AX6000に接続している他のデバイスで4K動画を観たり大きなファイルのやり取りをしている場合でも、スマートフォンの通信が重くならないのでゲームに限らず動画配信など通信を安定させたい時に有効です。
3つ目のアダプティブQoSは、先ほど紹介したモバイルゲームモードと同じことを機器や用途単位で設定できる機能です。例えば、TUF Gaming AX6000では下記の6つの用途を指定できます。
- ゲーム
- メディアストリーミング
- ブラウジング
- 在宅学習
- テレワーク
- カスタマイズ
例えば僕が家でテレワークをしている間に、定年の父がYouTube動画を観ていることが多いのですが、そんな時に「テレワーク」に設定しておけば通信が重くなったり切れたりせず安定してオンラインミーティングができるようになります。オンラインゲームをする時は、「ゲーム」に設定しておけば自動で判別して優先的に通信速度を保証してくれるので、ゲーマーにも嬉しい機能です。
これらの機能によって、ゲームをする上で大事なオンラインゲームの安定接続、通信速度の高速化が実現できるので、ゲーム好きには嬉しいです。
充実した高速化技術
TUF Gaming AX6000は、快適な通信を実現するために複数の高速化技術を組み合わせています。
対応する高速化技術
- Wi-Fi6/OFDMA
- デュアルバンドハイゲインアンテナ×6とAiRader(ビームフォーミング技術)
- IPv6 IPoE対応
1つ目のWi-Fi6は、これまでの規格にくらべて「高速・省エネ・高効率」の3点が優れています。
iPhoneやAndroidスマホなど、身近な機器も対応しています。特に、Wi-Fi6の中でもOFDMAという技術がこれまでのWi-Fi5より優れています。
OFDMAは「Orthogonal Frequency Division Multiple Access」のことで、OFDMをベースにした無線通信⽅式の⼀種で、複数Userがサブキャリアを共有し、それぞれのUserにとって最も伝送効率のよいサブキャリアを割り当てる技術です。ざっくりいうと、通信の順番待ちが発生しない技術です。
例えると、今までは1つのケーキを食べるのに1ホールまるごと回しながら食べていたのに対して、OFDMAはホールを人数分に等分して同時に食べられるようになったということです。
2つ目のデュアルバンドハイゲインアンテナ×6とビームフォーミング技術は、より電波を遠くに届かせるのに役立っています。ASUSでは、ビームフォーミング技術をAiRaderと称しています。
ビームフォーミングではWi-Fiに接続しているデバイスの場所や距離を検知して、それに見合った強さの電波を発信します。デバイスの環境に合わせて電波が届くので、従来の無線LANルーターを使うよりもWi-Fiが繋がりやすい状態になるのです。
ビームフォーミング対応機種の通信速度は、非対応機種より20%も速くなるとされています。
3つ目のIPv6 IPoE対応ですが、対応する光回線を利用すれば混雑の少ないより高速にインターネットを使用することが可能です。
IPv6 IPoEは、電話回線の時代からある通信方式をイーサネットに対応させたPPPoEと違い、イーサネットの利用を前提としています。
そのため、「生え抜き」という意味を込めて「ネイティブ方式」とも呼ばれることがあります。
PPPoE | IPoE | |
接続可能なWebサイト | IPv4のみ | IPv6のみ |
---|---|---|
通信速度 | △ | 〇 |
ネットワーク輻輳 | × | 〇 |
電話回線前提の方式から、純粋なインターネット接続専用規格になったイメージですね。
下記のリンクより、IPv6 IPoE対応のプロバイダーが確認できます。
IPv6 IPoEだと100Mbps以上下りが速くなる印象です。
AiMeshでWi-Fiルーター同士をメッシュ化できる
ASUSは、AiMeshという機能を使ってWi−Fiルーター同士をつないで簡単に通信範囲を広げることができます。普通のWi−Fiルーターなら中継機を使うことが多いですが、それだと親機を中心としたネットワークの広げ方しかできません。
AiMeshなら、一般的なメッシュWi-Fiのようにシームレスなローミングができるうえにどのように中継させるかというノードも制御できるので家の広さに最適なメッシュWi-Fi環境を組めます。
Wi−Fiルーター同士でつないでメッシュ化できるのは、ASUSのWI-Fiルーターの強みですね。
VPNフュージョン機能
TUF Gaming AX6000は、便利なVPNフュージョン機能が使えます。VPNフュージョン機能とは、デバイスごとに異なるVPNサーバへの同時接続を可能とする機能です。
VPNを使うと仮想的に専用回線が引けるので、プライバシーやセキュリティが保護され安全に通信ができます。
例えば家で使う分には他の人の端末から傍受されにくいので一部の機器ではVPNを切ったり、海外のVPNに接続して海外の国内でしか閲覧できないようなサイトを見る場合はPCのみVPNをオンにしておくなど、ルーター側でできます。
フル活用するにはネットワークの知識が必要ですが、ASUSのルーターはPPTP、L2TP/IPsec、OpenVPN、IKEv2/IPsecのプロトコルに対応しておりコンシューマー向けのWi-Fiルーターの中でもトップクラスの対応数です。
例えばNECやエレコムのWi-Fiルーターはいずれにも対応していません。
3G/4Gドングルを使ってテザリングが可能
TUF Gaming AX6000は、背面のUSBポートに3G/4Gドングルを挿せばテザリングが可能です。つまり、固定回線を持っていなくてもドコモや楽天モバイルなどのSIMカードを使って通信できるようになります。
例えば下記のようなドングルを使えばテザリングできます。
転勤や移動が多かったりして固定回線を契約していない方もいらっしゃると思いますが、そういった方でも高性能なルーターで通信できるようになるので便利ですね。
アプリで設定が簡単で分かりやすい
TUF Gaming AX6000は、iOS、Androidに対応した「ASUS Router」アプリで簡単に設定できます。
わざわざPCのブラウザから管理画面にアクセスしなくても、見やすいダッシュボードで情報がひと目で分かるので初めての方でも設定がしやすくなっています。
ものすごく細かいところですが、アプリ内の言葉の表現もかなり分かりやすいです。例えばセキュリティの項目では「就学前」や「学生」など直感的にわかりやすい表現を使っています。なかなか他社のルーターでここまで分かりやすく配慮されているアプリは見ません。
日本語に完全対応しており、初期設定を含め他社のアプリより情報が見やすく、分かりやすく、使いやすいと感じました。
TUF Gaming AX6000のデメリット
壁掛けはできない
TUF Gaming AX6000は、底面に穴が空いていないため壁掛けができません。
もし壁掛けで使用したい方は、同社のゲーミングルーターのTUF Gaming AX4200であれば壁掛け可能ですのでこちらを選びましょう。
電波強度と速度の検証
では、ここからは実際にTUF Gaming AX6000の通信速度、範囲を検証していきます。
- 使用端末:iPhone 14 Pro(Wi-Fi6対応機種)
- 大垣ケーブルテレビ(IPv4)使用
- 木造建築
- 混みやすい昼間の12時に計測
- fast.comで計測(https://fast.com/ja/)
- 同時接続:30台
今回はモバイルゲームモードにして5GHz帯で検証しました。昼間の計測結果はこちらです。
場所 | 下り | 上り | レイテンシ |
---|---|---|---|
自室 | 720Mbps | 510Mbps | 5ms |
ルーターのある部屋 | 760Mbps | 720Mbps | 4ms |
トイレ | 430Mbps | 310Mbps | 7ms |
ルーターのある部屋は、下りも上りも700Mbps以上出ており実用上問題のない速度が出ていました。遅延も同じ階の部屋であれば5ms前後で無線通信にしては少ない部類なので、オンラインゲームでも十分でしょう。
1階のトイレで測定した結果300Mbps台で、下位モデルのTUF Gaming AX4200より100Mbpsほど良好な数値でした。
中継機なしで1台で済ませたいならTUF Gaming AX6000がベストですね。
TUF Gaming AX6000をおすすめできる人
TUF Gaming AX6000をおすすめできる人は、長時間のゲームプレイでも通信の安定感を重視したい方におすすめです。
下位モデルのTUF Gaming AX4200と比べてヒートシンクが上下の2枚構成にアップグレードされており、熱による処理の低下が起きにくくなっています。2.5Gポートが二つ(WANとLAN)搭載されているので、無線より安定した有線接続で高速通信させたい方はTUF Gaming AX6000が向いています。
また、アンテナが増えたことでWi-Fiストリーム数が5GHz帯、2.4GHz帯ともに4×4(TUF Gaming AX4200は5GHz帯が3×3、2.4GHz帯が2×2)となっており、複数の機器を接続してもより安定して通信できるようになっています。
ストリーム数=車で言う道路の数なので、多いと通信が渋滞しにくいメリットがあります。
TUF Gaming AX6000のレビューまとめ
TUF Gaming AX6000をレビューしました。ゲーミングルーターということで遅延も少なく、モバイルゲームモードやアダプティブQoSなど快適にゲームをプレイできる機能が満載です。
TUFシリーズの中では最も高性能なモデルで、個人的に下位機種のTUF Gaming AX4200を選ぶならもう数千円を出してでもTUF Gaming AX6000を選んだほうが後悔が少ないと感じます。
ルーターは24時間365日使うものなので、ぜひTUF Gaming AX6000でゲームも仕事も快適な1日をすごしましょう!