本記事では、Wi-Fi6対応のエントリー機ASUS RT-AX1800Uをレビューします。エントリー機ながらWi-Fi6やIPv6 IPoEなど最近のトレンドに対応し、手軽に高速な通信環境を得られます。
Wi-Fiルーターを初めて購入するとき、価格の安さで選ぶ方も多いですよね。ただ、「安い=性能が良くない」はその通りで、しかも長く使えない場合が多いです。
今回紹介するRT-AX1800Uは、1万円前後という比較的手に入れやすい価格帯でありながら高性能で長く使えるWi-Fiルーターです。
- Wi–Fi6対応エントリーモデル
MU-MIMO and OFDMA 技術を使用した次世代 802.11ax Wi-Fi6対応ルーターのエントリーモデル。 - 3G/4Gドングル対応
USBポート接続した 3G/4G ドングルでテザリングの使用も可能。 - 高速Wi-Fi6
1024QAMでさらに高速化した WiFiスピードを提供。
2.4GHz で最大574Mbps、5GHz で最大 1201Mbps、合計で最大 1800Mbps のネットワークスピードを実現。 - 高効率で広範囲
MU-MIMOとOFDMA 技術によりチャンネルをより効率的に利用し、複数デバイスとの同時通信を可能に。 - 4ギガビットポート
1×1G WANポートと3×1G LAN ポートを搭載。柔軟な接続に対応。 - AiProtection&ペアレンタルコントロール
AiProtection がネットワークを安全に保ち、ペアレンタルコントロール機能でお子様を脅威から守ります。 - IPv6 IPoE(IPv4 over IPv6)対応
v6プラスに対応。IPv6/IPv4共にインターネット接続可能。 - 複雑な設定は一切なし!アプリで簡単設定
ASUS専用アプリから手順にしたがって操作するだけで簡単に初期設定が完了します。
ASUS APPによるフレキシブルなメッシュ化設定がとても簡単。
特に他社のWi-Fiルーターではあまり見ない3G/4Gドングル対応や、中継機ではなくWi-Fiルーター同士を接続してメッシュ化できるAiMeshはASUSのWi-Fiルーターならではです。
次章からは、RT-AX1800Uの外観や機能を含めたレビューを魅力やデメリットも含めて紹介していきます!
- Wi-Fi6などトレンドに対応している
- 3G/4Gドングル対応で固定回線もモバイル回線も使える
- Wi−Fiルーター同士でメッシュ化できる
- アプリで設定が簡単で分かりやすい
- エントリー機で1万円超えの価格設定
- 固定回線がないけどモバイル回線でテザリングを使っている人。
- 3階建てで3LDKぐらいの広さの家に住んでいる人。
- 同時接続する機器が32台前後の人。
ASUS RT-AX1800Uの概要
まず、RT-AX1800Uの概要を紹介します。
価格
市場想定価格は11,520円(税込)です。Wi-Fi6対応のエントリー機として1万円を超えるのは若干高く感じますが、それでもこれから紹介するASUSのWi-Fiルーターならではの機能を考えると妥当な価格かなと感じます。
例えば一般的なWi-Fi6対応のメッシュWi-Fiは2台で3万円前後しますが、RT-AX1800Uを2台購入すれば2万円前後で高性能なWi-Fi6対応のメッシュ環境が構築できます。
単体でのコストパフォーマンスは並ですが、メッシュ化前提ならかなりコスパがいいです。
その他にも、3G/4Gドングル対応で固定回線を引かなくてもモバイル回線で通信可能なので、固定回線しか対応していないWi-Fiルーターより汎用性が高いです。
スペック概要
RT-AX1800Uのスペック概要は下記のとおりです。
インタフェース | ギガビット WAN x 1 ギガビット LAN x 3 USB 2.0 x 1 |
アンテナ | デュアルバンド対応 外付けアンテナ x 4 |
メモリー | 128MB フラッシュ 256MB DDR3 RAM |
周波数帯域 | 2.4GHz帯・5GHz帯 |
サイズ | 190 x 126 x 188 mm |
質量 | 364g |
データ転送速度(規格値) | 802.11b:最大11Mbps 802.11a/g:最大54Mbps 802.11n:最大300Mbps 802.11ac:最大867Mbps 802.11ax(2.4GHz):最大574Mbps 802.11ax(5GHz):最大1201Mbps |
IPv6 IPoE(IPv4 over IPv6) | 対応 |
エントリー機なので、Wi-Fi6対応ルーターとしては最低限のスペックですね。
ASUS RT-AX1800Uの開封・外観チェック
まずは開封しながら、本体や付属品のチェックをしていきます。
パッケージで推奨利用環境が分かるので、購入の際に決めやすいですね。ちなみにRT-AX1800Uは推奨値で3階建て、4LDKとなっており、32台までなら快適に同時接続できます。
同梱品は下記のものが揃っています。
- 本体
- イーサネットケーブル
- クイックスタートガイド
- 電源アダプター
- 保証書
LANケーブルはカテゴリー5Eの高速な通信に対応したものが入っています。
RT-AX1800U本体の外観
本体は4本のアンテナが特徴的なデザインです。アンテナの向きを変えることで、電波の届く方向性を調整できます。
電波はアンテナに対して同心円状に出るので、写真のように立てて使うのがおすすめです。
アンテナは水平方向に180°、垂直方向に90°可動します。壁掛けや直置きでルーターの向きが変わるので、それに応じて柔軟にアンテナんの方向を合わせられます。
Wi-Fiルーターは24時間365日稼働し続けるので、放熱性も重要です。そのため、サイドから上部にかけて放熱用の穴(ベント)が空いています。
底面は4個のゴム足と、壁掛け用の穴があります。こちらも放熱用のベントが空いており、熱によりルーターのCPUの処理能力が落ちないように工夫されています。
RT-AX1800Uの各ボタンとポート
ポートは下記の3種類のものが揃っています。
- ギガビットWAN x 1
- ギガビットLAN x 3
- USB 2.0 x 1
無線接続に対応していない機種でも3つまで有線接続できますので、便利ですね。USBポートは3G/4Gドングルを接続すればテザリングも可能です。
つまり固定回線がなくてもモバイル回線で通信できるようになります!
ボタンはリセットボタンと電源ボタン、WPSボタンの3つがあります。
RT-AX1800Uのインジケーターランプ
天板に設けられたインジケーターランプは、左から下記の役割があります。
- 電源ランプ
- 有線LANランプ
- インターネットランプ
- 2.4GHz Wi-Fiランプ
- 5GHz Wi-Fiランプ
- USBランプ
有効になっていると、それぞれ青色に光ります。
RT-AX1800Uの大きさと重量
RT-AX1800Uの大きさは190 x 126 x 188 mmです。片手に収まるほどコンパクトです。
iPad miniと比較しても、アンテナを除けばほぼ同じぐらいのサイズ感ですね。
重量は実測値で354.14gで、かなり軽いです。壁掛けをする時に重すぎると重みで外れそうで不安になりますが、この軽さなら安心ですね。
ASUS RT-AX1800Uの魅力
ここからは、ASUS RT-AX1800Uの魅力を紹介していきます。
充実した高速化技術
RT-AX1800Uは、快適な通信を実現するために複数の高速化技術を組み合わせています。
対応する高速化技術
- Wi-Fi6/OFDMA
- デュアルバンドハイゲインアンテナ×4とAiRader(ビームフォーミング技術)
- IPv6 IPoE対応
1つ目のWi-Fi6は、これまでの規格にくらべて「高速・省エネ・高効率」の3点が優れています。
iPhoneやAndroidスマホなど、身近な機器も対応しています。特に、Wi-Fi6の中でもOFDMAという技術がこれまでのWi-Fi5より優れています。
OFDMAは「Orthogonal Frequency Division Multiple Access」のことで、OFDMをベースにした無線通信⽅式の⼀種で、複数Userがサブキャリアを共有し、それぞれのUserにとって最も伝送効率のよいサブキャリアを割り当てる技術です。ざっくりいうと、通信の順番待ちが発生しない技術です。
例えると、今までは1つのケーキを食べるのに1ホールまるごと回しながら食べていたのに対して、OFDMAはホールを人数分に等分して同時に食べられるようになったということです。
2つ目のデュアルバンドハイゲインアンテナ×4とビームフォーミング技術は、より電波を遠くに届かせるのに役立っています。ASUSでは、ビームフォーミング技術をAiRaderと称しています。
ビームフォーミングではWi-Fiに接続しているデバイスの場所や距離を検知して、それに見合った強さの電波を発信します。デバイスの環境に合わせて電波が届くので、従来の無線LANルーターを使うよりもWi-Fiが繋がりやすい状態になるのです。
ビームフォーミング対応機種の通信速度は、非対応機種より20%も速くなるとされています。
3つ目のIPv6 IPoE対応ですが、対応する光回線を利用すれば混雑の少ないより高速にインターネットを使用することが可能です。
IPv6 IPoEは、電話回線の時代からある通信方式をイーサネットに対応させたPPPoEと違い、イーサネットの利用を前提としています。
そのため、「生え抜き」という意味を込めて「ネイティブ方式」とも呼ばれることがあります。
PPPoE | IPoE | |
接続可能なWebサイト | IPv4のみ | IPv6のみ |
---|---|---|
通信速度 | △ | 〇 |
ネットワーク輻輳 | × | 〇 |
電話回線前提の方式から、純粋なインターネット接続専用規格になったイメージですね。
下記のリンクより、IPv6 IPoE対応のプロバイダーが確認できます。
IPv6 IPoEだと100Mbps以上下りが速くなる印象です。
AiMeshでWi-Fiルーター同士をメッシュ化できる
ASUSは、AiMeshという機能を使ってWi−Fiルーター同士をつないで簡単に通信範囲を広げることができます。普通のWi−Fiルーターなら中継機を使うことが多いですが、それだと親機を中心としたネットワークの広げ方しかできません。
AiMeshなら、一般的なメッシュWi-Fiのようにシームレスなローミングができるうえにどのように中継させるかというノードも制御できるので家の広さに最適なメッシュWi-Fi環境を組めます。
Wi−Fiルーター同士でつないでメッシュ化できるのは、ASUSのWI-Fiルーターの強みですね。
3G/4Gドングルを使ってテザリングが可能
RT-AX1800Uは、背面のUSBポートに3G/4Gドングルを挿せばテザリングが可能です。つまり、固定回線を持っていなくてもドコモや楽天モバイルなどのSIMカードを使って通信できるようになります。
例えば下記のようなドングルを使えばテザリングできます。
転勤や移動が多かったりして固定回線を契約していない方もいらっしゃると思いますが、そういった方でも高性能なルーターで通信できるようになるので便利ですね。
アプリで設定が簡単で分かりやすい
RT-AX1800Uは、iOS、Androidに対応した「ASUS Router」アプリで簡単に設定できます。
わざわざPCのブラウザから管理画面にアクセスしなくても、見やすいダッシュボードで情報がひと目で分かるので初めての方でも設定がしやすくなっています。
ものすごく細かいところですが、アプリ内の言葉の表現もかなり分かりやすいです。例えばセキュリティの項目では「就学前」や「学生」など直感的にわかりやすい表現を使っています。なかなか他社のルーターでここまで分かりやすく配慮されているアプリは見ません。
日本語に完全対応しており、初期設定を含め他社のアプリより情報が見やすく、分かりやすく、使いやすいと感じました。
ASUS RT-AX1800Uのデメリット
ASUS RT-AX1800Uのデメリットも紹介します。
エントリー向けで1万円超えの価格設定
気になったのは、エントリー向けのWi-Fiルーターにもかかわらず1万円を超える価格設定です。「AX1800」で検索いただくと分かるのですが、他社では7〜8,000円で同等クラスのWi-Fiルーターが購入できるので、コストパフォーマンスが良いとは言えません。
しかし、冒頭でお話したASUSのWi-Fiルーターの独自性に魅力を感じるならかなりコストパフォーマンスがいいです。
- 2台購入でメッシュWi-Fi化できる・・・普通のメッシュWi-Fiなら3万円ぐらいする構成を2万円前後で揃えられる。
- 3G/4Gドングル対応・・・固定回線用にもモバイル回線のテザリング用にも対応可能。
他社のエントリー機より機能が豪華なので、そこに魅力を感じるならありですね。
電波強度と速度の検証
では、ここからは実際にRT-AX1800Uの通信速度、範囲を検証していきます。
- 使用端末:iPhone 14 Pro(Wi-Fi6対応機種)
- 大垣ケーブルテレビ(IPv4)使用
- 木造建築
- 混みやすい昼間の12時に計測
- fast.comで計測(https://fast.com/ja/)
- 同時接続:30台
今回は5GHz帯で検証しました。昼間の計測結果はこちらです。
場所 | 下り | 上り |
---|---|---|
自室 | 320Mbps | 310Mbps |
ルーターのある部屋 | 460Mbps | 420Mbps |
トイレ | 130Mbps | 110Mbps |
ルーターのある部屋は、下りも上りも300Mbps以上出ており実用上問題のない速度が出ていました。
1階のトイレで測定した結果、100Mbps台でかなり通信速度が落ちたのでエントリー機として普通ぐらいの性能です。
通信速度も範囲もエントリー機にしては頑張ってる方だと思います。
まとめ
エントリー向けのWi-Fi6ルーター、ASUS RT-AX1800Uをレビューしました。エントリー機ながら、Wi-Fi6やIPv6 IPoEなど最近のトレンドを押さえた機種です。
3G/4Gドングルに対応し、モバイル回線でも使えるので汎用性が高いです。また、2台購入すればAiMesh機能でメッシュWi-Fiを構築できるので、コストパフォーマンスの高いネットワーク環境の構築も可能です。
初めてWi-Fiルーターを購入される方はこの機種から始めるとオーバースペックにならないと思うので、おすすめです!
- 固定回線がないけどモバイル回線でテザリングを使っている人。
- 3階建てで3LDKぐらいの広さの家に住んでいる人。
- 同時接続する機器が32台前後の人。
- Wi-Fi6などトレンドに対応している
- 3G/4Gドングル対応で固定回線もモバイル回線も使える
- Wi−Fiルーター同士でメッシュ化できる
- アプリで設定が簡単で分かりやすい
- エントリー機で1万円超えの価格設定