この記事では、Appleから2023年9月22日に発売したAirPods Pro(第2世代)をレビューします。昨年発売されたAirPods Pro(第2世代)から、充電ケースがUSB-Cに対応するなどマイナーチェンジしました。
僕の場合はAirPods Pro(第1世代)からの買い替えということで、良い部分はそのまま引き継ぎつつより使い勝手が良くなった印象を感じました。見た目の変化は少ないものの、性能が2倍に向上したノイズキャンセリング性能や会話感知機能といった先進的な機能など、とにかく第1世代からの進化が目覚ましいです。
実際にAirPods Pro(第2世代)を使ってみましたので、使用感やメリット・デメリットなど徹底レビューしていきます!
- カナル型完全ワイヤレスイヤホン最高峰の装着感で快適
- USB-Cケーブルの充電に対応し外出先で便利
- 高いノイズキャンセリング性能で作業に集中できる
- 自然な外音取り込み機能でAirPods Proを外さなくても快適に外の音が聴ける
- ノイズキャンセリングを解除しなくても自分が話せば自動で解除されるので手間が省ける
- 音量操作がAirPods Proだけで可能なのでiPhoneを取り出す手間がない
- ケースもIP54等級の防塵・防滴性能に対応したのでよりスポーツで使いやすくなった
- Apple製品以外のデバイスでは使いづらい
- 光沢感があるのでケースの細かい傷が気になる
AirPods Pro 2の特徴
AirPods Pro 2の特徴を、第1世代のAirPods Proからの進化点を中心に紹介していきます。
それぞれの特徴について、詳しく説明していきますね!
充電ケースがUSB-Cに対応し、Lightningケーブルを持ち歩かなくても良くなった。
2023年モデルのAirPods Pro 2から充電ケースがUSB-Cに対応し、これまでLightningケーブルじゃなければできなかった有線充電がUSB-Cケーブルで可能になりました。
従来どおりQiのワイヤレス充電に対応していますので、無線で充電していた方には恩恵が少ないかもしれません。しかし、USB-Cに対応したiPhone 15シリーズではiPhone側から給電可能になったので、もしもの時にiPhoneとUSB-CケーブルがあればAirPods Proを充電できるようになります。
USB-C対応により、屋外でより使い勝手が上がりましたね。
H2チップ搭載で、H1チップ比で2倍のノイズキャンセリング性能を実現。
AirPods Pro 2はH2チップを搭載し、AirPods Pro(第1世代)に搭載されていたH1チップ比で2倍のノイズキャンセリング性能を実現しています。
ノイズキャンセリング性能だけではなく、下記のような機能もH2チップで向上していますよ。
- 連続再生時間はH1チップよりも1.5時間長い最大6時間に向上
- 適応型環境音除去では毎秒48,000回の処理で不快感な騒音を低減
- iPhoneと連携して、ユーザーごとのチューニングが可能に
H2チップのトランジスタ(電気信号をコントロールする脳細胞のようなもの)の数はH1チップの2倍にあたる約10億個なので、ハード面でかなり性能が上がっていることは納得ですね。
U1チップ搭載でAppleの「探す」アプリから正確な場所を見つけられる。
AirPods Pro 2に、iPhoneにも搭載されているU1チップ(「Ultra Wide Band」、UWBといわれる無線通信が使えるチップ)を搭載し、「探す」アプリからAirPods Proの正確な位置を特定できるようになりました。これまでのAirPods Proでも「探す」アプリから大まかな位置を特定することはできましたが、U1チップ搭載によりみつけやすくなりました。
また、充電ケースにスピーカーがついたことで「探す」アプリから音を出して場所を特定しやすくなりました。
イヤホンのケースは滑りやすく落としやすいので、「あれっ、どこに落としたっけ」となった際にiPhone上で位置を特定できるのは嬉しいですね。
適応型オーディオ機能の追加で歩きながらでも適度なノイズキャンセルが可能に
適応型オーディオ機能は、iOS17からAirPods Proに提供された機能です。騒音を低減するノイズキャンセリングモードと、周囲の音を聞き取りやすくする外部音取り込みモードを状況に応じて自動で切り替えることができます。
これにより、例えばうるさい電車の中ではノイズキャンセリングをしっかりと効かせ、外を歩いている時は周囲の音を聞き取りやすくするために外音を取り込むといったことが可能になりました。
SONYのアダプティブサウンドコントロールに似ていますね。
パーソナライズされた音量機能で聴力保護ができる。
iOS17から追加された新機能で、周囲の環境ノイズのレベルに合わせて、イヤホンで聞くメディアの音量をAirPodsが自動調整してくれる「パーソナライズされた音量機能」に対応しました。
これにより、例えば周囲の音がうるさければ音量が上がり、静かな場合音量を小さくするといった自動化が可能になりました。
ノイズキャンセリングを常時効かせているので僕はあまり使っていません。
会話感知機能でノイズキャンセリングを解除しなくても会話しやすくなる。
iOS17から追加された新機能で、会話感知機能をオンにすれば自分が話した瞬間にノイズキャンセリングが自動で解除されますので、会話がしやすくなりました。「自分が話したとき」に解除されるので、誰かから話しかけられて意図せずノイズキャンセリングが解除されることはありません。
これにより、会社などで仕事中に使っているときも、わざわざノイズキャンセリング機能を解除しなくても良くなったので使いやすくなりました。
地味に便利な機能です。
本体もケースもIP54等級の防塵性能と耐汗耐水性能
AirPods Pro 2は、本体だけではなく充電ケースもIP54等級の防塵性能と耐汗耐水性能に対応しました。
それぞれの性能を下記にまとめました。
- 第1特性の5・・・塵埃の侵入を完全に防止できないが電子機器の動作には問題がない
- 第2特性の4・・・あらゆる方向からの水の飛まつによって機器が影響を受けない
AirPods Pro 2を水に沈めてしまうと壊れてしまいますが、運動など通常使用に伴う汗や雨ぐらいなら耐えられますね。
水濡れに強くなったので、ケースを雨に濡らしても壊れる心配がなくなりました。
ちなみに一度AirPods Proを洗濯機にいれて洗濯したことがありましたが、水を乾かせば普通に使えていたのでかなりタフな完全ワイヤレスイヤホンだと感じています(絶対にマネをしないでください)
新しい肌検出センサーを採用し精度が向上
AirPods Pro 2から、新しい肌検知センサーを採用しより精度が向上しました。AirPods Proは、本体を耳から外すと音楽の再生が止まり、再び耳に装着すると音楽が再生するといったスマートな機能が搭載されています。
従来のAirPods Pro(第1世代)でも光の差分を検知するセンサーで着脱を判定できていましたが、ポケットに入れたときなど肌以外にも反応してしまうため誤検知が多かったです。
AirPods Pro 2は、耳への装着をほぼ正確に検知できるようになりましたので、以前より誤検知が大幅に減りました。
AirPods Pro 2の開封レビュー
では、AirPods Pro 2のパッケージを開封しながら付属品のチェックやAirPods Pro 2の外観デザインなどをレビューしていきます。
パッケージ内容
同梱物は下記の物が揃っていました。
- AirPods Pro
- スピーカーを搭載したストラップループ付きMagSafe充電ケース(USB-C)
- シリコーン製イヤーチップ(4サイズ:XS、S、M、L)
- USB-C充電ケーブル
- マニュアル
AirPods Pro(第1世代)はイヤーチップが3サイズだったので、1サイズ分増えました。
デザイン
AirPods Pro 2をパッと見た感じでは、ケースの開き方や形状を含めデザインがかなり近いと感じました。
AirPods Pro 2の本体デザインですが、ひと目見て違うと感じたのは集音マイクの位置です。AirPods Pro(第1世代)では耳の外側と内側の2箇所にマイクがありましたが、AirPods Pro 2からは本体の上部と軸の側面にマイクが移動しています。
実はAirPods Pro(第1世代)で2回マイク関連で修理をしたのですが、おそらく内側のマイクに耳垢などゴミが入ることで不具合を引き起こしていた可能性があり、それを回避するためにマイクを移動したと考えられます。
ただマイクの位置を変えた一番の理由は、集音能力の向上かなと思ってます。
充電ケースはストラップ穴が追加され、キーホルダーやストラップといったアクセサリーの取り付けが可能になりました。これまでもケースカバーを取り付ければキーホルダーやストラップが使えましたが、ケースカバーなしでも使えるのは嬉しいですね。
また、ケースの底はUSB-C端子になり、スピーカーも追加されています。
ケース・本体のサイズ
AirPods Pro 2のサイズは、高さが30.9 mm、幅が21.8 mm、厚さが24.0 mmです。充電ケースのサイズは、高さが45.2 mm、幅が60.6 mm、厚さが21.7 mmです。
本体と充電ケースのサイズを前作のAirPods Pro(第1世代)と比較すると、ほぼ同じサイズです。
もしかしたらと思い、AirPods Pro(第1世代)用のケースカバーをAirPods Pro 2に取り付けてみましたが、ほぼぴったり装着できました。すべてのアクセサリーを試したわけではありませんが、周辺機器の互換性もありそうですね。
ケース・本体の重さ
AirPods Pro 2本体の重さは、片耳で5.3gです。
充電ケースの重さは、50.8g(イヤホンを含めると62.02g)です。
AirPods Pro 2の使用感レビュー
USB-Cに対応したAirPods Pro 2を実際に使ってみたので、音質や使用感を中心にレビューしていきます。
ペアリングはケースを開いて「接続」を押すだけの簡単さ
AirPods Pro 2は、充電ケースを開いただけでiPhone側にペアリングの画面が出てきますので接続がかなり簡単です。普通のワイヤレスイヤホンであれば、設定画面を開いてBluetoothの項目からペアリングをしないといけないので面倒ですが、AirPods ProはApple純正ということもありさすがですね。
ちなみに、AirPods Pro 2はiOS17前提のため、iOS16以前のバージョンのiPhoneでペアリングをしようとするとソフトウェアアップデートを促されます。
ちなみにiPhoneにだけAirPods Pro 2をペアリングしたのですが、なんと他のiPadやMacBookにも自動でペアリングされていました。実はAirPods Proは、同じApple IDに紐づくiPadやMacにも瞬時にペアリングされる仕様なので、新しく購入したiPhoneなどでもペアリングし直さなくてもいいんです。
この機能に初めて気づいたとき感動しました。
カナル型トップクラスの快適な装着感
個人的にAirPods Pro 2に感じている一番の魅力は、快適な装着感です。イヤピースを耳の中に入れるカナル型イヤホンは、僕の場合9割以上が2時間ぐらい装着すると痛くなります。それぐらいシビアな僕の耳でも、AirPods Pro 2なら何時間装着しても痛くないと感じるほど快適です。
快適な装着感を得られる一番の理由は、ステムレスデザインです。耳の穴に向けて伸びるステム(音導管)を排除し、イヤピースが耳の穴に合わせてフィットしてくれるので痛みがありません。
性能がいくら高くても、耳に合わないのであれば意味がありません。Apple自身は大きく装着感についてPRしていませんが、AirPods Pro 2の装着感は満点と言っていいほどです。
AirPods Proだけで音量操作ができて快適
AirPods Proはこれまで音量操作はiPhone側から操作する必要がありましたが、AirPods Pro 2では軸の部分を上下にスワイプすることで音量の調整ができるようになりました。iPhoneを持っている時は気になりませんが、iPhoneをバッグに入れたままの状態で音量調整する時にAirPods Pro側で調整できるのは便利ですね。
音量以外にも、下記の操作に対応しています。
操作 | 機能 |
---|---|
上下にスワイプ | 音量のコントロール |
1回タップ | 音楽再生・一時停止、通話中の消音と消音解除 |
2回タップ | 通話の終了 |
長押し | 再生モードの切替 |
ジェスチャー操作の割当は変更できませんが、必要十分です。
ノイズキャンセリング性能が高い
AirPods Pro 2は第1世代より2倍のノイズキャンセリング性能ということで、まずは電車内で性能をテストしてみました。アナウンスの声はしっかり聞こえますが、電車の「ゴーーー」や「ガタンゴトン」という音がほとんど聴こえないほど強力です。声まで消さないので、アナウンスを聞き逃して駅を過ぎてしまうことも防げそうですね。
次に、とあるアイドルのドームコンサートにも連れていきました。ライブ中はかなり重低音が鳴り響きうるさいのですが、AirPods Proを装着すると身体に響くような不快な重低音は消えて歌声やファンの声援が聴こえやすくなりました。
僕はライブに行くと毎回大音量で耳を痛めてしまうため、今後はAirPods Proをできるだけ装着して参加しようと思いました。
ちなみにノイズキャンセリングを効かせていても何回か解除されることがあったのですが、どうやら会話検知機能が僕の「超絶かわいい」コールに反応したみたいです。大音量の中でも僕の声を聴き取ってくれるとはさすがAirPods Pro 2だと感じました。
自然な外音取り込み機能で違和感なし
AirPods Proは第1世代から外音取り込み機能が自然でしたが、AirPods Pro 2も同様にかなり自然に聴こえました。
実はコンサート中に外音取り込み機能もテストしたのですが、AirPods Pro 2のスピーカー性能以上の重低音は再生できないからか「ドンドン」という騒音が抑えられ相対的に声や他の楽器の音が聴こえやすく感じました。
AirPods Proをまるで装着していないかのような自然さで、完全ワイヤレスイヤホンでトップクラスの性能です。
3Dオーディオの精度が高い
AirPods Proは以前から3Dオーディオという音を立体的に聴かせる機能がありましたが、AirPods Pro 2からはH2チップになり精度がより向上しました。iPhoneのコントロールセンターから「オフ」「固定」「ヘッドトラッキング」の3つを選択できます。
実際に聴いてみましたが、例えば「ヘッドトラッキング」の場合は音が正面に固定され、顔を上下左右に振っても正面から聴こえるようになりました。まるで目の前にスピーカーを設置したかのような感覚なので、iPhoneで動画を観る際にAirPods ProでもiPhoneから音が鳴っているかのような錯覚を味わえます。
「固定」に設定した場合は、センターの定位が少し広くなりステレオ感がより強まりました。「オフ」に戻すと、頭の中心から声が聞こえるように感じたので楽曲によって使い分けると面白い機能だと感じました。
満員電車や人混みでも途切れない安定した通信
人がかなり密集している満員電車や、ライブ前のドームなどでAirPods Pro 2の接続安定性をテストしました。前作のAirPods Pro(第1世代)もそうでしたが、体感で一度も途切れないぐらい安定した接続安定性でした。
AirPods Pro 2が採用しているBluetooth5.3は「LE Audio」規格に対応しており、より低遅延、安定した接続性を実現しています。
他社の完全ワイヤレスイヤホンは人混みでよく途切れる機種も多いですが、AirPods Proは完璧な接続安定性を実現していました。
AirPods Pro 2のメリットとデメリット
AirPods Pro 2を使ってみて感じたメリットとデメリットをまとめます。
AirPods Pro 2のメリット
AirPods Pro 2のメリットは、下記の7点です。
- カナル型完全ワイヤレスイヤホン最高峰の装着感で快適
- USB-Cケーブルの充電に対応し外出先で便利
- 高いノイズキャンセリング性能で作業に集中できる
- 自然な外音取り込み機能でAirPods Proを外さなくても快適に外の音が聴ける
- ノイズキャンセリングを解除しなくても自分が話せば自動で解除されるので手間が省ける
- 音量操作がAirPods Proだけで可能なのでiPhoneを取り出す手間がない
- ケースもIP54等級の防塵・防滴性能に対応したのでよりスポーツで使いやすくなった
第1世代からの正当進化で、装着感など良い部分は継承しつつ音量調整のしやすさやUSB-Cへの仕様変更など、より使い勝手が増したと感じました。
AirPods Pro(第1世代)が故障しやすかったので耐久性は要検証ですが、第2世代になり壊れにくくなっているはずなので今後に期待です。
AirPods Pro 2のデメリット
AirPods Pro 2のデメリットは、下記の2点です。
- Apple製品以外のデバイスでは使いづらい
- 光沢感があるのでケースの細かい傷が気になる
そもそもAndroidを使っている人がAirPods Proを買うことはないと思いますが、多くの新機能がiOS17に依存していますのでApple以外の他のデバイスでAirPods Pro 2を使う場合はおすすめしません。
また、パッケージから開封したときからすでにケースに細かい傷がついていたので、光沢感がある分傷が目立ちやすいです。
できればAirPods Proを持っている方は第1世代用のものでもいいのでケースカバーを使うことをおすすめします。傷から守ることで、売るときの査定金額も下がりにくくなりますよ。
AirPods Pro 2をおすすめできる人・できない人
AirPods Pro 2をおすすめできる人・できない人をまとめました。
僕はすでに第1世代のAirPods Proを持っていて今回第2世代のAirPods Proを購入しましたが、すべての性能が向上してより使いやすくなりましたので買い替えてよかったと感じています。
また、今後発売されるApple Vision ProとAirPods Pro 2を組み合わせるとロスレスオーディオを利用できます。この組み合わせでは、20ビット、48kHzのロスレスオーディオが利用できより高音質で再生可能になるので、Apple Vision Proを購入予定の人も準備として購入をおすすめします。
AirPods Pro 2のレビューまとめ
AirPods Pro 2をレビューしました。僕は「AirPods Pro以外の完全ワイヤレスイヤホンは使えない」と言っていいほど装着感には絶大な信頼を置いています。
USB-Cの対応が注目されがちなAirPods Pro 2ですが、ノイズキャンセリング機能や外音取り込み機能など従来のモデルで高く評価された基本機能もレベルが上っていました。
AirPods Proに出戻りしようかなと考えている方は、ぜひ一度お試しくださいね!
- カナル型完全ワイヤレスイヤホン最高峰の装着感で快適
- USB-Cケーブルの充電に対応し外出先で便利
- 高いノイズキャンセリング性能で作業に集中できる
- 自然な外音取り込み機能でAirPods Proを外さなくても快適に外の音が聴ける
- ノイズキャンセリングを解除しなくても自分が話せば自動で解除されるので手間が省ける
- 音量操作がAirPods Proだけで可能なのでiPhoneを取り出す手間がない
- ケースもIP54等級の防塵・防滴性能に対応したのでよりスポーツで使いやすくなった
- Apple製品以外のデバイスでは使いづらい
- 光沢感があるのでケースの細かい傷が気になる