音楽にこだわるすべての人へ、エントリークラスとは思えない完成度で登場したiBasso Audio DX180。上位モデルの技術を惜しみなく注ぎ込んだ、iBassoの意欲作を徹底レビューしていきます。

iBasso Audio DX180の特徴

iBasso Audio DX180の主な特徴は下記の5点です。
- CS43131クアッドDAC搭載 Cirrus Logic製「CS43131」を4基搭載し、繊細かつパワフルな高音質再生を実現。
- FPGA-MASTER 2.0&FIRフィルター対応 上位機種DX260と同じFPGA技術を採用し、DAC間の誤差を抑えて歪みを低減。
- Snapdragon 665+Android 13搭載 4GB RAMと最新OSにより、アプリ操作やUIがスムーズで快適。
- 最大15.5時間の長時間再生 4.4mmバランス接続時でも約15.5時間の連続再生が可能な省電力設計。
- 3.5mm/4.4mm出力&USB-DAC対応 同軸デジタル出力やUSB-DAC機能も備え、幅広い接続性を確保。

個人的にCirrus Logic搭載機は音にメリハリがあって好きなんですよね。
iBasso Audio DX180の主な仕様はこちらです。
項目 | 仕様 |
---|---|
DACチップ | Cirrus Logic CS43131 ×4(クアッドDAC) |
OS / SoC | Android 13 / Snapdragon 665(RAM 4GB) |
内蔵ストレージ | 128GB(microSDカード対応) |
ディスプレイ | 5インチ IPS(1920×1080)タッチパネル |
対応フォーマット | MP3, FLAC, AAC, ALAC, WAV, AIFF, DSD, MQA など |
出力端子 | 3.5mmステレオ / 4.4mmバランス / 同軸デジタル出力 |
USB端子 | USB 3.1 Type-C(USB-DAC機能対応) |
Bluetooth | Ver 5.0(SBC, AAC, aptX, aptX HD, LDAC対応) |
Wi-Fi | 対応(2.4GHz / 5GHz) |
連続再生時間 | 最大約15.5時間(4.4mm Low Gain時) |
サイズ / 重量 | 75 × 123 × 16 mm / 約206g |
カラー | グリーン / ブラック / ブルー |
付属品や外観チェック
まずは付属品や外観チェックをしていきます。
ボディはメタルフレームと曲線ガラスを組み合わせた高級感ある仕上がり。手に馴染むサイズ感と約203gの適度な重量で、持ち歩きも快適です。




本体上部にはUSB-Cポートとmicro SDカードスロット、下部には3.5mmと4.4mmのジャックを搭載しています。




右サイドにはボリュームノブと3つのボタンを搭載しています。カチカチとしたクリック感のある操作で、回していて気持ちがいいです。背面デザインもかなりかっこよく、エントリー機とはいえ上位モデルの佇まいです。




画面は5インチ IPS(1920×1080)タッチパネルを採用しています。iPhone 16 Proと並べてみると、コンパクトなのが分かりますね。発色はかなり鮮やかで若干暖色寄りです。個人的にはiPhoneと比較しても遜色ないほど綺麗です。


付属品は下記のものが揃っています。
- 専用TPUケース 本体を保護する柔軟なクリアケース。装着したまま操作可能です。
- USB-C to USB-A 充電ケーブル 充電やデータ転送に使用する標準ケーブル。
- クイックスタートガイド 初期設定や基本操作を説明した簡易マニュアル。
- スクリーンプロテクター ディスプレイを傷や汚れから守る保護フィルム。
- 製品保証書


クリアケースは内部に細かな凹凸があり、本体に張り付かないようになっています。スクリーンプロテクターとケースが最初から付属しているのはかなり嬉しいですね。


iBasso Audio DX180のサウンドインプレッション
早速、iBasso Audio DX180の音質を検証します。まずはKiwi Ears Atheiaをアンバランス接続して聴いてみました。音源はサブスクリプションサービスのQobuzでハイレゾ音源を使っています。Android搭載機なので、アプリで直接再生できるのはいいですね。


一聴して感じたのは、小ホールで聴いているかのような広い音場と、メリハリのある聴いていて心地の良い音質です。冒頭で「個人的にCirrus Logic搭載機は音にメリハリがあって好きなんですよね。」と話しましたが、iBasso AudioのDACでCirrus Logic搭載機を使っておりかなり気に入っていたからです。本機ではさらに昇華されていました。
YOASOBIの「アイドル」では、派手なBGMとボーカルの分離がうまくされており、奥行き感が出てきます。テンポの良いビートは深くかつ疾走感のある雰囲気で、据え置き用のヘッドホンアンプを使っているかのような力強さがあります。0.79μVという驚異的な低ノイズフロアということでしたが、無音の状態からスッと音が立ち上がっていく感覚はまるで上位モデルを使っているかのような錯覚を覚えます。
次に、audio-technica ATH-R70xで4.4mmバランス接続で聴いてみました。ヘッドホン自体を変えているのでもちろん音の傾向も変わるのですが、モニターヘッドホンで聴いていると広い音場はそのままに、音一つ一つが整理されて丁寧に再現されている感覚があります。





3.5mmアンバランスではメリハリのある派手さを感じましたが、4.4mmバランス接続では真面目さを感じました。
デジタルフィルターやゲインの変更もホーム画面で切り替え可能で、なんとNOS (Non-Oversampling) に対応していますので、音のダイナミックレンジを損なうことなくよりきめ細かな音楽再生が可能になっている点も見逃せません。


ライバル機SHANLING M3 Plusと比較
iBasso Audio DX180とほぼ同価格帯のエントリー機で、SHANLING M3 Plusがあります。両者を比較してみました。


SHANLING M3 PlusとiBasso Audio DX180の比較表はこちらです
項目 | iBasso Audio DX180 | SHANLING M3 Plus |
---|---|---|
DAC構成 | CS43131 ×4(クアッドDAC) | CS43198 ×4(クアッドDAC) |
アンプ構成 | 独自設計(FPGA-MASTER 2.0) | OPA1612+SGM8262 フルバランス回路 |
出力端子 | 3.5mm / 4.4mm / 同軸デジタル | 3.5mm / 4.4mm |
最大出力 | 不明(4.4mm High Gain 約13時間再生) | 800mW @32Ω |
OS / SoC | Android 13 / Snapdragon 665 / RAM 4GB | Android 13 / Snapdragon 665 / RAM 4GB |
内蔵ストレージ | 128GB(microSD対応) | 64GB(microSD対応) |
ディスプレイ | 5インチ(1920×1080) | 4.7インチ |
連続再生時間 | 最大約15.5時間(4.4mm Low Gain) | 最大約11時間(4.4mm) |
Bluetooth | Ver 5.0(LDAC, aptX HD対応) | Ver 5.0(LDAC, aptX HD対応) |
重量 | 約206g | 約205g |
価格帯(参考) | 約75,000円前後 | 約62,000円前後 |
仕様に出てこない部分では、まず画面の色味は個人的にiBasso Audio DX180の方が鮮やかできれいに感じました。SHANLING M3 Plusは若干ホワイトバランスに青みがあり、彩度が控えめです。アルバムアートワークを眺めて楽しむ趣味がある場合は、iBasso Audio DX180の方がより大きく表示されますし鮮やかなのでおすすめです。
また、ジャックの位置がiBasso Audio DX180では下部に、SHANLING M3 Plusでは上部に搭載されています。これは完全に好みの問題なのですが、例えばデスク上でUSB DACとして使用する場合は上部にUSBポート、下部にオーディオジャックがあったほうが配線が綺麗になるので自宅での仕様メインならiBasso Audio DX180の方が使いやすいと感じました。逆に、ポケットに入れたままの状態で聴く場合は上部にオーディオジャックがあったほうがスムーズに出し入れできますので外出先メインならSHANLING M3 Plusの方がサイズも小型で使いやすいと感じました。




まとめ:エントリーの皮を被った実力派DAPはすごかった
iBasso Audio DX180をレビューしました。
7万円とエントリー機としては少しハードルが高い価格ですが、音を聴いて、実際に触れて納得の価格でむしろ安いとさえ感じました。個人的にライバル機のSHANLING M3 Plusより音の傾向が好きで、アニソンやEDMなどノリノリで音楽を聴きたい方にはiBasso Audio DX180を強くおすすめします。



かなり快適な操作感で音質もいいので、気になった方はぜひチェックしてみてください!

