XGIMIのフラグシップモデル、HORIZON Ultraが発売してちょうど一年になりました。HORIZON Ultraを購入してから今もほぼ毎日のように使っているのですが、画質がかなりよくほぼ部屋の定位置を陣取るほど気に入っています。
そして今回、そのHORIZON Ultraを上回る性能を持つXGIMI HORIZON S Max、そしてHORIZON S Proの2機種をお借りしてレビューする機会をいただくことができました。
今回はXGIMI HORIZON S MaxとHORIZON S Proを比較しつつ、共通の魅力などを徹底解説していきます!
XGIMI HORIZON S Max / HORIZON S Proの違い
まず、XGIMI HORIZON S MaxとHORIZON S Proの違いを解説していきます。仕様表で確認できる範囲では、下記の違いがありました。
仕様項目 | HORIZON S Max | HORIZON S Pro |
---|---|---|
輝度 | 3100 ISOルーメン | 1800 ISOルーメン |
IMAX Enhanced | 対応 | 非対応 |
ストレージ | 64GB | 32GB |
重量 | 約4.81kg | 約4.75kg |
プロジェクターの輝度がHORIZON S Maxの方がより明るく、さらにIMAX Enhancedという1.90:1の拡大アスペクト比で映画が楽しめる規格に対応しています。また、ストレージがHORIZON S Maxの方が64GBと多めなので、より多くのアプリやゲームをインストールできたりします。逆に言えば、それ以外の部分でほぼ機能的な差はありません。
以前のHORIZONシリーズではフルHDか4Kかという解像度の大きな差がありましたが、HORIZON Sシリーズ間では明るさに差が出ています。それでいて以前までのフラグシップモデル、HORIZON Proの1500ISOルーメンより両者とも明るいので、どちらを選んでも後悔は少ないと思います。
個人的に見つけた違いは電源アダプターで、大きさが全然違います。HORIZON S Maxは最大300W、HORIZON S Proは最大179.93Wに対応したアダプターで、輝度がより明るいHORIZON S Maxの方が必要とする電力が多いため差があります。プラグの口径も違うので、両者で互換性はありません。
ちなみにHORIZON Ultra用の電源アダプターも300W仕様のため、HORIZON S Maxでも使えました。
XGIMI HORIZON S Max / HORIZON S Proのレビュー
明るさ以外で違いもほぼない両者ですので、XGIMI HORIZON S Maxを中心に使いながらレビューをしていきたいと思います。
便利なスタンドに様々な環境に溶け込むデザイン
初期のXGIMIといえば、メタリックでとにかくかっこいいデザインでした。XGIMI HORIZON Sシリーズでは、昨年発売したXGIMI HORIZON Ultraのデザインを引き継ぐようなゴールドミストカラーに仕上がっています。
電動スライディングカバーはウール生地のような柔らかい質感を再現し、ぬくもりを感じられます。本体のデザインは全体的にカーブを描いたようなしなやかさを持っており、ハーマン・カードンのキラッとしたロゴと共にエレガンスに感じるデザインです。
特筆すべきは角度調整可能なスタンドを搭載しているところで、上下に135度、水平方向に360度回転するようになっています。
僕は私物でXGIMI HORIZON Ultraを所有していますが、別でスタンドを併用していますのでこの仕様が本当に羨ましいです。
入力端子はeARC対応のHDMIが一つ、USB2.0が二つ、DCが一つ搭載されています。サイズの割には入力端子の数は控えめな印象です。
スタンドの底には1/4インチネジに対応した穴が空いており、三脚に取り付け可能です。スタンド搭載とはいえ、高さまでカバーしきれるわけではないので重宝しますね。底はゴムのような素材で、滑りにくくなっています。斜めに細かく溝が掘ってありますので、滑りにくくなっています。
映画館のような圧巻の画質を楽しめる
XGIMI HORIZON S MaxとHORIZON S Proは、それぞれ映画館のような映像体験を実現するために下記の機能を搭載しています。
- IMAX Enhanced認証(XGIMI HORIZON S Maxのみ)・・・1.9:1の拡張アスペクト比で画面サイズが26%拡大+これまでより鮮明で生き生きとした映像が楽しめる。
- Dolby Vision認証を取得・・・標準画質と比べて明るい部分の輝度を40倍、暗い部分の輝度を10倍にできる。
- 現行機種でトップクラスの明るさ・・・XGIMI HORIZON S Maxは3100ISOルーメン、HORIZON S Proは1800ISOルーメンで同社機種のトップ3の明るさ。
- デュアルライト2.0・・・三色レーザーとは別に、赤色レーザーと二色のLEDで高い輝度と色域を実現。
- 壁色適応機能・・・最近、日本のご家庭ではカラー付きの壁紙が多く使われています。HORIZON S シリーズは、壁の色に応じて投影映像の色を自動的に調整します。
IMAX EnhancedとDolby Visionは対応するコンテンツがないと体験できないのですが、HORIZON Ultraユーザーからみても明らかに高いコントラストと輝度の高さを感じました。
ここからは実際に投影した画像をご覧ください。
三つの画像を見ていただきましたが、特に日差しなど明るい部分が眩しく感じるほどでした。最大3100ISOルーメンは伊達じゃありませんね。ちなみに投影サイズは93インチ、投影距離は2m70cmほどの間隔があります。
色の補正機能も充実しており、中でも壁色適応機能はかなり便利です。例えば部屋の壁の色は薄い赤色だったり、白色でも青みがかっているなど住宅事情で変わります。そんな時に壁色適応機能を使えば、最適なホワイトバランスにすぐ設定可能です。
実際に壁色適応をすると、プレビューで変更前と変更後が見られます。見比べると、圧倒的に壁色適応後のほうが正確な色味に見えますよね。
キャリブレーション機能がついているのはプロが使うカラーマネジメントモニターみたいですね。
XGIMI HORIZON S MaxとHORIZON S Proはデュアルライト2.0と三色レーザーでの切り替えができるので、それぞれ実際に切り替えて画質を確認しました。
三色レーザーは、デフォルトで設定されているデュアルライト2.0に比べ暗く感じました。また、三色レーザーに設定すると壁色適応で設定した数値が元に戻ってしまうので、個人的にはデュアルライト2.0がいいかなと思いました。
一台で光源を切り替えできるのは素晴らしいですね。
ちなみにXGIMI HORIZON S MaxとHORIZON S Proを並べて同一条件で投影した映像がこちらです。明らかにXGIMI HORIZON S Maxの方が明るいですね。個人的には、白に眩しさを感じるのはXGIMI HORIZON S Maxです。
臨場感あふれる音質
XGIMI HORIZON S MaxとHORIZON S Proは、共通してHarman Kardon監修の12Wスピーカーを二基搭載しています。しかもDolby AudioやDTS HDといったサラウンド規格に対応していますので、映画館に近いような迫力のある音で楽しめます。
実際に映画やアニメを見てみたのですが、エントリー向けのMoGoシリーズとは比べ物にならないほど音がいいです。セリフの聞こえやすさはもちろんのこと、爆発音の迫力や音の広がりを感じられるチューニングで個人的にこの内蔵スピーカー単体で十分満足できるクオリティでした。音の指向性は少ないので、360度どこに座っても安定して聴きやすいサウンドが楽しめました。
サウンド効果はHarman KardonオリジナルとDTS Virtual:Xの2つから選べ、クセのない自然な感じであればHarman Kardonオリジナル、広がりのあるサラウンド感を味わいたい場合はDTS Virtual:Xといった使い分けができます。
シチュエーションに合わせたサウンドモードが用意されていて便利です。
充実した画面調整機能
XGIMI HORIZON S MaxとHORIZON S Proは、ISA 5.0技術という下記の補正機能を搭載しています。
- 障害物自動回避機能: 障害物を検知し、自動で避けて投影します。
- 自動台形補正機能: 動画を中断することなく、自動で台形補正を行います。
- オートフォーカス機能: 中断せずに自動で焦点を調整します。
- 自動アジャスト機能: スクリーンにぴったり合わせるための自動調整機能です。
- 目の保護機能: 投影範囲に人を検知した場合、光源を落として目を保護します。
- ビックスクリーンモード: 通常の画面比率よりも広い視野を提供する機能です。
障害物自動回避機能は、例えば投影面にわざと窓が入るように設置するとその窓をギリギリ避けて投影するような補正機能です。どの家でも壁一面をスクリーンにできるわけではないので、この補正機能があれば自動台形補正もしつつ投影可能な範囲のみを使うことができます。
ちなみに障害物自動回避機能はデフォルトで有効になっていないので、台形設定の項目から有効化する必要があります。
目の保護機能は、スクリーン前を通り過ぎようとした時に光源を落として目を保護する機能です。XGIMI HORIZON S MaxとHORIZON S Proは強力なレーザー光源を使用していますので、この機能があれば光を直視せず横切れます。
プロジェクターとスクリーンの間が通路でも安心ですね。
XGIMIの台形補正の精度は、過去に試してきたどのメーカーよりも精度が高いので信頼できます。
圧倒的な静音性
XGIMI HORIZON S MaxとHORIZON S Proを試してみてかなり驚いたのが、静音性です。圧倒的に明るいXGIMI HORIZON S Maxで輝度を10+の最も明るい設定にしても、20dB前後という不快に感じないほどの静かさでした。
あまり触れられていませんが、本体の背面と底面に空気が通るベントがあり、放熱性にはかなり力を入れていました。放熱は確かにある程度あるのですが、放熱時のファンによる不快なノイズに悩まされずコンテンツに集中できるのはかなりのアドバンテージです。
Android TV 11.0を搭載しVODに幅広く対応
XGIMI HORIZON S MaxとHORIZON S Proは、Android TV 11.0を搭載しVODに幅広く対応しています。Netflixには残念ながら公式対応していないのですが、U-NEXTやAmazonプライム・ビデオなど人気のVODをドングル無しで楽しめるので便利です。
また、Googleアシスタントが使えるのも強みとなっています。Googleアシスタントは、リモコンにあるGoogleアシスタントボタンを押してマイクに話しかけるだけで使えます。
例えば「明日の東京の天気を教えて」と話すと、明日の東京の天気を画面に投影してくれます。映像を見ている途中でも起動できますので、気軽に使えて便利です。
また、動画を探す時も「YouTubeで焚き火の動画を流して」と話すだけで焚き火の動画の一覧を表示してくれます。リモコンで文字を打ち込むのが面倒な方は、マイクを積極的に使っていきたいですね。
遅延の少ないゲーミング性能
XGIMI HORIZON S MaxとHORIZON S Proは、ゲーミングモードを搭載し20ミリ秒以下の遅延に抑えてゲームをプレイできます。ということで、早速PlayStation 5をつなげて原神を遊んでみました。
ゲームモードへの切り替えは、PlayStation 5を起動した瞬間に自動的に設定してくれます。なのでわざわざ設定画面に入って切り替える必要はありません。
ゲーム表示に関しては、とにかく圧巻の一言ですね。冒頭でお話した高画質機能がうまく作用し、色鮮やかに表示してくれます。遅延に関してですが、普段ゲーミングモニターを使っている僕からするとほんの少し遅延を感じるかな程度で、オープンワールドゲームやRPGなら十分許容できる範囲だと感じました。
4Kという高解像度なので、ご覧の通り画面右側の小さな文字でもぼやけずにはっきりと見えます。
特にHDRの良さを実感できたのは夕焼けのシーンで、茜色に染まる空の幻想的な様子がリアルに描かれていました。色域が広く明るい分、ゲームの世界観をより楽しめます。
壁に投影しているので、斜めから見ても色褪せることなくくっきり見れます。もし大勢でゲーム大会をするような場合でも安心ですね。
大画面でゲームも楽しみましょう!
XGIMI Wallアプリで窓や星空を映して楽しめる
個人的にXGIMI HORIZON S MaxとHORIZON S Proを使ってみて楽しかったのが、オリジナルアプリのXGIMI Wallです。このアプリを使えば、壁に窓を映したり天井に星空を映したりできます。
試しにアンビアンスにあった潜水艦の映像を観てみました。かなりリアリティのある窓の向こうに、ジンベイザメや他の魚が泳いでいてあたかも自分が潜水艦にいるような錯覚を楽しめました。
スタンドを使って上に向ければ、星空も楽しめます。
没入感を得たいなら天井まで2mはほしいところですが、デスク上に置いて投影してもかなりきれいで楽しめました。XGIMI MoGo 3 Proのようなマジカルレンズのオプションがあると個人的には嬉しいですね。
XGIMI HORIZON S Max / HORIZON S Proのメリット・デメリット
XGIMI HORIZON S MaxとHORIZON S Proを試して感じた、メリット・デメリットをまとめます。
メリット
- どんな部屋にも溶け込めるスタイリッシュなデザイン。
- 角度調整可能なスタンドで壁や天井に投影しやすい。
- 高色域・高輝度で映画館のような迫力を楽しめる。
- ISA 5.0の調整機能で手動調整の手間が省ける。
- Harman Kardon監修のスピーカーで単体でも迫力のある音で楽しめる。
- ファンノイズが静かで映像に集中しやすい。
- 遅延が少なく大画面で迫力のあるゲームプレイが楽しめる。
まずスタンドはかなり便利です。僕もHORIZON Ultraでスタンドに乗せて使っているのですが、天井投影はできないので少し不便に感じていました。XGIMI HORIZON S MaxとHORIZON S Proなら、水平にも垂直方向にも角度調整できるスタンドがありますので、位置の調整や星空を天井に映して楽しむといったことが気軽にできます。
また、HORIZON Ultraユーザーから見てもXGIMI HORIZON S Maxの画質は圧巻でした。HORIZON S Proもかなりいい出来ですが、一度XGIMI HORIZON S Maxの明るさを知ると若干暗く感じるほどです。
映画もゲームもかなり楽しめるプロジェクターでした!
デメリット
- 入力ポートが少ない。
- Netflixには公式対応していない。
個人的に、XGIMI HORIZON S MaxとHORIZON S Proは入力ポートが少ないように感じました。HORIZON Ultraでは、HDMIが2つ、有線LANポート、3.5mmステレオミニ、OPTICALなどかなり充実していました。
これはお客様の要望や、ケーブルが多いとスタンドを上に向けた時に干渉しやすいなどの要因でこの仕様になっているのかなといった印象です。できればHDMI端子をもう一つつけてほしかったですね。
HDMI端子がもう一つ欲しかった理由に、Netflixに公式対応していない点があります。正規ルートでアプリをダウンロードできないため、例えばAmazon Fire TV StickをつなげてNetflixを観るなどをしている方が多いです。ただ1系統だけだと、さらにPlayStationなどのゲーム機を追加で接続できないため不便に感じました。
MoGo 3 ProみたいにNetflix公式対応してくれると助かります。
XGIMI HORIZON S Max / HORIZON S Proの比較レビューまとめ
XGIMI HORIZON S MaxとHORIZON S Proをレビューしました。両者を比較すると下記の違いがありました。
仕様項目 | HORIZON S Max | HORIZON S Pro |
---|---|---|
輝度 | 3100 ISOルーメン | 1800 ISOルーメン |
IMAX Enhanced | 対応 | 非対応 |
ストレージ | 64GB | 32GB |
重量 | 約4.81kg | 約4.75kg |
数値上でも1300ISOルーメンの差ですが、実際に体感してみるといかにXGIMI HORIZON S Maxが明るいかが分かりました。個人的に昼間でも使いたいなら、XGIMI HORIZON S Maxの方が後悔がないと思います。
ただし、明るさ以外での違いは微々たるもので、優秀な補正能力や迫力ある音質など共通の良さは感じられました。
どちらも優秀なプロジェクターですので、明るさや価格で比較しながらぜひ選んでみてください!
XGIMI HORIZON S Max / HORIZON S Proの購入方法
XGIMI HORIZON S Max / HORIZON S Proの購入方法は、実店舗の場合下記の店舗で購入可能です。
ヤマダデンキ、ビックカメラ、ヨドバシカメラ、エディオン、ケーズデンキ、上新電機、ノジマ、蔦屋家電
*詳しい販売状況については、直接店舗にお問い合わせください。
オンラインストアの場合、下記のリンクからご購入いただけます。