この記事では、215mmというコンパクトな筐体にHDMI、USB-Cなど豊富なインタフェースを搭載したプリメインアンプ、TEAC AI-303をレビューします。
パッシブスピーカーを使っていると、テレビやPCで使うのにパワーアンプが必要ですよね。普通のプリメインアンプだと接続性が乏しいですし、AVアンプだとサイズが大きくて設置場所に気を遣ってしまいます。
そんなプリメインアンプとAVアンプのいいとこ取りをした製品が、今回紹介するTEAC AI-303です。
コンパクトなのに欲しい機能ほぼ全部載せで、7万円台という比較的手に取りやすい価格設定なので非常に魅力に感じ購入しました。
結果的に僕があまりにTEAC AI-303を気に入ってしまい、ブラックを購入後シルバー(AI-303-S)も買い足しました。
そんなTEAC AI-303を、メリットやデメリットも含め徹底レビューしていきます!
- コンパクトなのでデスクに置きやすい。
- USB-C搭載でMacやiPadとの接続もしやすい。
- HDMI ARC/eARC対応でテレビやプロジェクターとの連携が便利。
- クロスフィード機能でセンターの定位を強調できるのでセリフなど聴きやすい。
- LDAC、Qualcomm® aptX™ HDなど高音質転送に対応。
- デジタルアンプなので発熱対策がしやすい。
- ヘッドホンジャックを挿すと本体が軽すぎて後ろに下がってしまう。
- イコライザー機能がない。
TEAC AI-303の特徴
TEAC AI-303を実際に使いながら、特徴を解説していきます。
各特徴について、実機を使いながら解説していきますね。
制振性と高級感を両立するフルメタル筐体
TEAC AI-303でまず注目すべき特徴は、ボディです。PCなどから発せられるノイズに強い金属パネルで構成されており、限りなくノイズの少ない内部環境を実現しています。両サイドを挟み込むように8mm厚のアルミパネルが搭載されており、ボディのねじれや歪を防いでいます。
あとヘアライン加工されててめっちゃ高級感ありますよ。
デジタルアンプとはいえ熱が発生するため、上部に放熱用のベントを設けて効率的に放熱できるようになっています。金属は熱伝送性が高いので、ボディ自体もヒートシンクの役割を果たしています。
また、支持フットは3点支持のStressless Footを採用し、床面の僅かな歪にも影響されることなく安定した設置を実現しています。フットは半固定されており、スパイクフットのような定位感と自然な響きを実現しているので別途インシュレーターを使わなくても良さそうです。
幅215mmで設置がしやすい
TEAC AI-303は、幅215mm、高さ61mm、奥行き257 mmとかなりコンパクトなので、設置がかなりしやすいです。僕は主にデスクトップ上で使用していますが、モニタースタンドのAnker 675の下にMac miniと一緒に並べてちょうどいい大きさでした。
AVアンプのSONY STR-AN1000と一緒に並べても幅は半分ほど、高さは三分の一とかなりコンパクトです。そのため、例えばテレビのラックが小さくてAVアンプが入らなかった方でも、TEAC AI-303なら難なく設置できます。
このコンパクトさは嬉しい!
USB-CやHDMI接続に対応
TEAC AI-303は、下記の接続に対応しています。
- 同軸デジタル
- 光デジタル
- USB-C
- HDMI(eARC/ARC)
- アナログ音声入力(RCAピン端子2系統)
そう、USB-CとHDMI接続にも対応してるんです!
なのでMacとの接続はUSB-Cケーブル1本ですみますし、テレビとの接続もHDMIケーブルに接続してテレビのリモコンでアンプの電源のオンオフ・音量調節も連動します。
まるでAVアンプみたいですね。
同軸デジタルやRCAなど一般的なプリメインアンプに必要な端子も揃っているので、とにかく汎用性の高い仕様に仕上がっています。
ただHDMI CECでの電源連携は、たまにTEAC AI-303がスリープに入っちゃうと効かない時がありました。※最新ファームウェアでかなり改善されました
LDACやaptX HDなどハイレゾコーデックに対応
TEAC AI-303はBluetooth接続に対応し、下記のコーデックに対応しています。
- LDAC(ハイレゾ級)
- LHDC(ハイレゾ級)
- Qualcomm® aptX™ HD audio(ハイレゾ級)
- Qualcomm® aptX™ audio
- AAC
- SBC
なんとLDACを含む3種類のハイレゾ級コーデックに対応し、Apple製品で採用されているAACにも対応しています。有線だけではなく、無線接続の使用も妥協がありません。
Bluetooth接続する際は、下記の手順で行います。
接続後は、TEAC AI-303のLEDランプでコーデックを確認できます。今回はiPhoneで接続したので、「AAC」の項目に緑色のランプが点灯していますね。
また、Bluetoothのマルチポイント接続に対応していますので、iPhoneとiPadをAI-303に同時に接続してシームレスに切り替えが可能です。わざわざ新しく機器をペアリングし直す必要がないので、よく無線接続で音楽を聴いている方は嬉しい仕様ですね。
クロスフィード機能でセンターの定位が調整できる
TEAC AI-303は、ステレオとモノラルをシームレスに切り替えることができるクロスフィード機能を搭載しています。この機能により、ヘッドホンリスニング時にスピーカーのような自然な定位を得ることができます。また、スピーカー使用時は中抜けの改善やボーカル、ナレーション、セリフを明瞭にする効果があります。
AVアンプから買い替えた身としては、クロスフィード機能はかなり助かっています。例えばスピーカー同士の距離が離れていたり、近かったりすれば当然定位は変わってきますよね。AVアンプなら自動音場補正で調節できますが、プリメインアンプでは音の定位を補正できない機種が多いです。クロスフィード機能なら、音を聴きながらリアルタイムで定位を調整できるのでむしろAVアンプの自動音場補正より微調整可能で好みの定位に調整できました。
特に声がくっきり聴こえるようになりますよ。
スピーカーやヘッドホンの特性を素直に出す音質
では、肝心の音質はどうか、TEAC AI-303で実際に音を聴いてみました。まずはスピーカーで、下記の構成で聴いてみました。
- スピーカー:Polk Audio R100
- プレイヤー:Mac mini(M1チップ)
- スピーカーケーブル:CANARE 4S6G
TEAC AI-303の音質を一言で表現すると、スピーカーやヘッドホンの特性を素直に出す音質です。
DENON AVR-X580BTから乗り換える形で使ってみたのですが、アナログアンプからデジタルアンプに切り替わったという変化なのか特に高音域の情報量が圧倒的に増えました。映画では刀と刀が交わったときの「キーーン」という音の余韻がリアルで、かといって耳に刺さるようなエグみがない透き通った音で心地よかったです。
低音域はボワつかないタイトな音で、AVアンプほどの迫力はありませんが映画も音楽もバランスよく楽しめるほどに出ていました。個人的にはTEAC AI-303と合わせるスピーカーは欧州製の解像度高めのスピーカーより、Polk AudioやJBLのような音の押し出しが強いスピーカーと相性がいいと感じました。
普段圧縮音源しか聴かないので宝の持ち腐れにならないか心配でしたが、NetflixやU-NEXTでのアニメ・映画鑑賞がさらに楽しくなりました。
audio-technica ATH-R70xでも音楽を聴いてみましたが、ヘッドホン出力もAVアンプとは比較にならないほどクリアでクセのない音質に仕上がっていました。インピーダンス470Ωのaudio-technica ATH-R70xでも、ボリュームダイヤルを12時の方向に回せば十分な音量が取れるほどパワーがあります。スピーカーで大きな音が出せない夜でも、ヘッドホンでも満足のいく音でコンテンツを楽しめるので嬉しいです。
ヘッドホン出力には4極ジャックを採用していますので、より高音質化が実現できます。僕は3極のケーブルしかなく、早く4極も試したいです。
フィルターやアップコンバート機能で音質の調整が可能
TEAC AI-303は、フィルターやアップコンバート機能で音質の調整が可能です。特に圧縮音源ばかり聴いている僕のような方にぴったりな機能です。フィルターは、下記の2種類に対応しています。
- RDOT フィルター・・・RDOT はフルエンシー理論による類推補完技術です。自然な音色と音場の再現性があります。アップコンバートで 4 通りの設定が可能です。
- FIR フィルター・・・ショートディレイスローロールオフ特性のFIR フィルターです。響きのある、アコースティックな音になります。アップコンバートは無効です。
RDOTフィルターはアップコンバートで補完する、FIRフィルターは素の音のままより響きを出すイメージですね。
実はRDOTフィルターを選択している時はNOS(Non Over Sampling)モードとして機能し、デジタルアンプでもアナログアンプに近い音の滑らかさを再現できるようになっています。
基本的にRDOTフィルターの4段階中1の設定を使っているのですが、アナログアンプからの乗り換えでも違和感がないほどなめらかな音質になりかなり実用的に感じました。
TEAC AI-303のメリットとデメリット
TEAC AI-303を実際に使ってみて感じたメリットとデメリットをまとめます。
TEAC AI-303のメリット
TEAC AI-303のメリットは下記の5点です。
- コンパクトなのでデスクに置きやすい。
- USB-C搭載でMacやiPadとの接続もしやすい。
- HDMI ARC対応でテレビやプロジェクターとの連携が便利。
- クロスフィード機能でセンターの定位を強調できるのでセリフなど聴きやすい。
- LDAC、Qualcomm® aptX™ HDなど高音質転送に対応。
- デジタルアンプなので発熱対策がしやすい。
まず、今まで大きなAVアンプをメインで使ってきたのでTEAC AI-303を使ってみて「コンパクトさは正義だ」と感じました。テレビで使うなら大きさはさほど気になりませんが、デスクトップ上で使うならTEAC AI-303のようなコンパクトなプリメインアンプがいいですね。
また、プリメインアンプの中でも外部機器との連携にかなり強いのもTEAC AI-303のメリットです。有線ではHDMIやUSB-Cなど、テレビやプロジェクター、PCやタブレットとの接続がしやすいインタフェースが揃っています。しかも無線ではLDACやaptX HDといったハイレゾコーデックにも対応し、同価格帯のプリメインアンプを寄せ付けない魅力があります。
汎用性の高さがめっちゃいいですね。
TEAC AI-303のデメリット
TEAC AI-303のデメリットは下記の2点です。
- ヘッドホンジャックを挿すと本体が軽すぎて後ろに下がってしまう。
- イコライザー機能がない。
実際に使っていないと分からないデメリットなのですが、TEAC AI-303は本体重量がかなり軽いのでヘッドホンジャックを挿そうとすると後ろに下がってしまいます。付属していた滑り止めをフット部分に取り付けても滑るので、僕はニトリで別途滑り止めを購入して使っています。ヘッドホンでの利用を考えている方は、別で滑り止めを用意したほうがいいですね。
耐震用の滑り止めや、ソルボセインのようなインシュレーターに使われている素材がおすすめです。
また、アップコンバートやフィルター機能はありますが、イコライザー機能はありません。映画を観ているとたまに「もう少し重低音ほしいかな」と感じることがあり、できれば高音と低音だけでも調整できると嬉しいです。ただ、TEAC AI-303はサブウーファーが接続できるので低音域が不足している場合はあとから足せます。
もし低音の量感が足りない場合は、サブウーファーを足しましょう!
WiiM Proのように、プレイヤー側でイコライザー設定ができるモデルもあるので組み合わせるのもいいですね。
TEAC AI-303をおすすめできる人
TEAC AI-303をおすすめできる人は下記のような方です。
- エントリー向けのプリメインアンプからのアップデートを考えている。
- デスクトップでもテレビでも使いやすい汎用性の高いアンプがほしい。
- ある程度定位の調整ができるアンプがいい。
TEAC AI-303の一番の強みは「汎用性の高さ」です。TEAC AI-303より高額で音がいいアンプはいくらでもあると思いますが、コンパクトかつデスクトップでもテレビでも使える汎用性の高さは上位の機種でもかないません。
また、AVアンプの音場補正ほどではありませんがクロスフィード機能のおかげで定位の調節はできますので、スピーカーでもヘッドホンでも自然な聴き心地を体験できます。
7万円台でこの機能性は現時点で唯一無二です。
結論:TEAC AI-303は最高に使い勝手のいいプリメインアンプ
TEAC AI-303をレビューしました。
AVアンプを売り払ってTEAC AI-303を2台購入したのですが、全く後悔がなく快適に使えています。コンパクトで設置しやすく、インタフェースも豊富でかつデジタルアンプなので省エネで発熱も少ないです。
個人的に最初からTEAC AI-303を買っておけばよかったと思うほど気に入っています。ぜひ一度お試しください!
- コンパクトなのでデスクに置きやすい。
- USB-C搭載でMacやiPadとの接続もしやすい。
- HDMI ARC/eARC対応でテレビやプロジェクターとの連携が便利。
- クロスフィード機能でセンターの定位を強調できるのでセリフなど聴きやすい。
- LDAC、Qualcomm® aptX™ HDなど高音質転送に対応。
- デジタルアンプなので発熱対策がしやすい。
- ヘッドホンジャックを挿すと本体が軽すぎて後ろに下がってしまう。
- イコライザー機能がない。