本記事では、ASUSのゲーミングシリーズ、TUF(タフ)から登場したTUF Gaming AX4200をレビューします。通常のWi-Fiルーターと異なり、3ステップポートフォワーディング、モバイルゲームモード、アダプティブQoSなどゲームに特化した機能が満載の製品です。
オンラインゲームをするなら、通信の遅延が少ない有線でのインターネット接続をするのがセオリーですよね。ただ最近はスマートフォンや携帯ゲーム機でも気軽にオンラインゲームをプレイできるようになり、家にいても自由な場所でゲームをプレイする機会が増えました。そうなると無線の状態でもできる限り高速で遅延の少ない通信が求められてきます。
今回紹介するASUS TUF Gaming AX4200は、そんな無線でのゲームプレイも快適に行えるWi-Fiルーターです。ゲーミングルーターは高機能なため価格も3万円台が多いですが、ASUS TUF Gaming AX4200は18,000円と比較的手頃な価格で手に入ります。
TUF Gaming AX4200をしばらく使ってみましたので、外観や機能を含めたレビューや魅力、デメリットまで紹介していきます!
- モバイルゲームモードやQoSなどゲームに特化したモードを搭載
- Wi-Fi6による高速通信を実現
- ゲーミングルーターで2万円を切るコストパフォーマンス
- アプリが分かりやすい
- 見た目がかっこいい
- 幅広いVPNプロトコルに対応
- 若干派手なデザインなので置き場所を選ぶ
ASUS TUF Gaming AX4200の特長
ASUS TUF Gaming AX4200の特長・仕様・付属品を下記のタブにまとめました。見たい項目をタップしてみてください。
- 高速 WiFi 6
次世代高速WiFi 6対応デュアルバンドルーター。160 MHz帯域幅に対応し、最大4200Mbps高速通信を実現します。 - 2Gbps有線&無線通信
2.5G WANポートとリンクアグリゲーションを組み合わせる事により、有線、無線接続ともに2 Gbpsでの通信が可能です。 - ゲーミングに特化したルーター
Open NAT、モバイルゲームモード、ゲームブースト機能でゲーム機やPC、モバイル端末と全てのゲーム環境での通信を改善します。 - VPN Fusion
VPNと通常のインターネットの同時接続を可能にします。VPNを必要とするネットワークと通常のネットワークを切り分けることにより、VPNが速度のボトルネックとなりません。 - ASUS AiMesh 対応モデル
他のAiMesh対応ルーターと組み合わせる事により、柔軟で家全体をカバーするメッシュネットワークの構築が可能です。 - プライバシーをどこでも
インスタントガードを利用することにより、公共WiFi環境でもワンクリックで安全なインターネット環境を構築します。 - 商用レベルのセキュリティーを
セキュリティー大手Trend Micro ™ の技術を採用した、AiProtectionがあなたのホームネットワークを保護します。新暗号化方式であるWPA3にも対応し、さらなるセキュリティーを提供します。
パッケージで推奨利用環境が分かるので、購入の際に決めやすいですね。ちなみにTUF Gaming AX4200は推奨値で3階建て、4LDKとなっており、64台までなら快適に同時接続できます。
TUF Gaming AX4200本体の外観
TUF Gaming AX4200は、ロゴマークを含めオレンジのアクセントが印象的なデザインです。ゲームやSF映画に出てくる戦闘艦のようなかっこいい見た目で、ゲーム好きの心を動かすような奇抜さがあります。
外部アンテナは4本あり、それぞれ垂直方向に90°、水平方向に180°曲がります。
底面はメッシュ構造になっており、放熱性に優れています。基盤の上部にアルミヒートシンクがあり、内部からも熱を逃がす工夫がされているので長時間ゲームをして高負荷でも通信が遅くなりにくいです。
壁掛け用の穴も空いていますので、設置場所の自由度が高いです。
TUF Gaming AX4200の各ボタンとポート
ポートは下記の3種類のものが揃っています。
- 2.5ギガビットWAN x 1
- ギガビットLAN x 4
- USB 3.0 x 1
無線接続に対応していない機種でも4つまで有線接続できますので、便利ですね。エントリーモデルのRT-AX1800Uと違いポートが金属製になっており耐久性も高くなっています。USBポートはUSB3.0に対応し、HDDやSSDを接続すればNASとしても利用可能です。
ボタンはリセットボタンと電源ボタン、WPSボタンの3つがあります。
TUF Gaming AX4200のインジケーターランプ
天板に設けられたインジケーターランプは、左から下記の役割があります。
- 電源ランプ
- 2.4GHz Wi-Fiランプ
- 5GHz Wi-Fiランプ
- 有線LANランプ
- インターネットランプ
TUF Gaming AX4200の大きさと重量
TUF Gaming AX4200の大きさは、265 x 177 x 189 mmです。幅や奥行きは、iPad Pro 11インチモデルに近いです。
重量は実測値で552.56gで、ルーターとしては普通ぐらいです。壁掛けをする時に重すぎると重みで外れそうで不安になりますが、この軽さなら安心ですね。
TUF Gaming AX4200の魅力・メリット
1つのルーターに3つのゲームモードを搭載
TUF Gaming AX4200は、ゲーミング用途に特化したWi-Fiルーターということでゲームをする際に便利な機能が多数搭載されています。その中でも代表的な3つの機能を紹介します。
- 3ステップポートフォワーディング
- モバイルゲームモード
- アダプティブQoS
1つ目の3ステップポートフォワーディングとは、オンラインゲームプレイ時に接続ポートのアクセス制限(NAT)が影響してゲームに接続できなかったり、ホストとしてプレイできない状況が発生した時にスムーズにオンラインゲームのプレイを再開できるようにする機能です。下記の3ステップでOpen NATを使用できます。
- ゲームを選択
- デバイスを選択
- チームを選択
オンラインゲームのマルチプレイがより快適になりますよ!
2つ目のモバイルゲームモードは、ASUS Routerアプリからモバイルゲームモードを有効化するだけで、モバイルゲームのパケットが優先的に処理される機能です。例えばTUF Gaming AX4200に接続している他のデバイスで4K動画を観たり大きなファイルのやり取りをしている場合でも、スマートフォンの通信が重くならないのでゲームに限らず動画配信など通信を安定させたい時に有効です。
3つ目のアダプティブQoSは、先ほど紹介したモバイルゲームモードと同じことを機器や用途単位で設定できる機能です。例えば、TUF Gaming AX4200では下記の6つの用途を指定できます。
- ゲーム
- メディアストリーミング
- ブラウジング
- 在宅学習
- テレワーク
- カスタマイズ
例えば僕が家でテレワークをしている間に、定年の父がYouTube動画を観ていることが多いのですが、そんな時に「テレワーク」に設定しておけば通信が重くなったり切れたりせず安定してオンラインミーティングができるようになります。オンラインゲームをする時は、「ゲーム」に設定しておけば自動で判別して優先的に通信速度を保証してくれるので、ゲーマーにも嬉しい機能です。
これらの機能によって、ゲームをする上で大事なオンラインゲームの安定接続、通信速度の高速化が実現できるので、ゲーム好きには嬉しいです。
充実した高速化技術
TUF Gaming AX4200は、快適な通信を実現するために複数の高速化技術を組み合わせています。
対応する高速化技術
- Wi-Fi6/OFDMA
- デュアルバンドハイゲインアンテナ×4とAiRader(ビームフォーミング技術)
- IPv6 IPoE対応
1つ目のWi-Fi6は、これまでの規格にくらべて「高速・省エネ・高効率」の3点が優れています。
iPhoneやAndroidスマホなど、身近な機器も対応しています。特に、Wi-Fi6の中でもOFDMAという技術がこれまでのWi-Fi5より優れています。
OFDMAは「Orthogonal Frequency Division Multiple Access」のことで、OFDMをベースにした無線通信⽅式の⼀種で、複数Userがサブキャリアを共有し、それぞれのUserにとって最も伝送効率のよいサブキャリアを割り当てる技術です。ざっくりいうと、通信の順番待ちが発生しない技術です。
例えると、今までは1つのケーキを食べるのに1ホールまるごと回しながら食べていたのに対して、OFDMAはホールを人数分に等分して同時に食べられるようになったということです。
2つ目のデュアルバンドハイゲインアンテナ×4とビームフォーミング技術は、より電波を遠くに届かせるのに役立っています。ASUSでは、ビームフォーミング技術をAiRaderと称しています。
ビームフォーミングではWi-Fiに接続しているデバイスの場所や距離を検知して、それに見合った強さの電波を発信します。デバイスの環境に合わせて電波が届くので、従来の無線LANルーターを使うよりもWi-Fiが繋がりやすい状態になるのです。
ビームフォーミング対応機種の通信速度は、非対応機種より20%も速くなるとされています。
3つ目のIPv6 IPoE対応ですが、対応する光回線を利用すれば混雑の少ないより高速にインターネットを使用することが可能です。
IPv6 IPoEは、電話回線の時代からある通信方式をイーサネットに対応させたPPPoEと違い、イーサネットの利用を前提としています。
そのため、「生え抜き」という意味を込めて「ネイティブ方式」とも呼ばれることがあります。
PPPoE | IPoE | |
接続可能なWebサイト | IPv4のみ | IPv6のみ |
---|---|---|
通信速度 | △ | 〇 |
ネットワーク輻輳 | × | 〇 |
電話回線前提の方式から、純粋なインターネット接続専用規格になったイメージですね。
下記のリンクより、IPv6 IPoE対応のプロバイダーが確認できます。
IPv6 IPoEだと100Mbps以上下りが速くなる印象です。
AiMeshでWi-Fiルーター同士をメッシュ化できる
ASUSは、AiMeshという機能を使ってWi−Fiルーター同士をつないで簡単に通信範囲を広げることができます。普通のWi−Fiルーターなら中継機を使うことが多いですが、それだと親機を中心としたネットワークの広げ方しかできません。
AiMeshなら、一般的なメッシュWi-Fiのようにシームレスなローミングができるうえにどのように中継させるかというノードも制御できるので家の広さに最適なメッシュWi-Fi環境を組めます。
Wi−Fiルーター同士でつないでメッシュ化できるのは、ASUSのWI-Fiルーターの強みですね。
VPNフュージョン機能
TUF Gaming AX4200は、便利なVPNフュージョン機能が使えます。VPNフュージョン機能とは、デバイスごとに異なるVPNサーバへの同時接続を可能とする機能です。
VPNを使うと仮想的に専用回線が引けるので、プライバシーやセキュリティが保護され安全に通信ができます。
例えば家で使う分には他の人の端末から傍受されにくいので一部の機器ではVPNを切ったり、海外のVPNに接続して海外の国内でしか閲覧できないようなサイトを見る場合はPCのみVPNをオンにしておくなど、ルーター側でできます。
フル活用するにはネットワークの知識が必要ですが、ASUSのルーターはPPTP、L2TP/IPsec、OpenVPN、IKEv2/IPsecのプロトコルに対応しておりコンシューマー向けのWi-Fiルーターの中でもトップクラスの対応数です。
例えばNECやエレコムのWi-Fiルーターはいずれにも対応していません。
3G/4Gドングルを使ってテザリングが可能
TUF Gaming AX4200は、背面のUSBポートに3G/4Gドングルを挿せばテザリングが可能です。つまり、固定回線を持っていなくてもドコモや楽天モバイルなどのSIMカードを使って通信できるようになります。
例えば下記のようなドングルを使えばテザリングできます。
転勤や移動が多かったりして固定回線を契約していない方もいらっしゃると思いますが、そういった方でも高性能なルーターで通信できるようになるので便利ですね。
アプリで設定が簡単で分かりやすい
TUF Gaming AX4200は、iOS、Androidに対応した「ASUS Router」アプリで簡単に設定できます。
わざわざPCのブラウザから管理画面にアクセスしなくても、見やすいダッシュボードで情報がひと目で分かるので初めての方でも設定がしやすくなっています。
ものすごく細かいところですが、アプリ内の言葉の表現もかなり分かりやすいです。例えばセキュリティの項目では「就学前」や「学生」など直感的にわかりやすい表現を使っています。なかなか他社のルーターでここまで分かりやすく配慮されているアプリは見ません。
日本語に完全対応しており、初期設定を含め他社のアプリより情報が見やすく、分かりやすく、使いやすいと感じました。
TUF Gaming AX4200のデメリット
若干派手なデザインなので置き場所を選ぶ
TUF Gaming AX4200のデザインはゲーム好きな男性の僕から見ればかっこいいのですが、外部アンテナやオレンジの配色が目立つため明るめのリビングなどに設置すると派手で目立ちます。そのため設置場所は選ぶかなという印象です。色もブラックのみなので、特に家電を白系に統一されている方は気になるかもしれません。
ただどのメーカーもゲーミングルーター=派手なデザインが通説なので、かなりこだわりのある方しか気にならないかなと思います。
電波強度と速度の検証
では、ここからは実際にTUF Gaming AX4200の通信速度、範囲を検証していきます。
- 使用端末:iPhone 14 Pro(Wi-Fi6対応機種)
- 大垣ケーブルテレビ(IPv4)使用
- 木造建築
- 混みやすい昼間の12時に計測
- fast.comで計測(https://fast.com/ja/)
- 同時接続:30台
今回はモバイルゲームモードにして5GHz帯で検証しました。昼間の計測結果はこちらです。
場所 | 下り | 上り | レイテンシ |
---|---|---|---|
自室 | 520Mbps | 410Mbps | 8ms |
ルーターのある部屋 | 560Mbps | 520Mbps | 7ms |
トイレ | 280Mbps | 210Mbps | 9ms |
ルーターのある部屋は、下りも上りも500Mbps以上出ており実用上問題のない速度が出ていました。遅延も同じ階の部屋であれば8ms前後と無線通信にしては少ない部類なので、オンラインゲームでも十分でしょう。
1階のトイレで測定した結果、200Mbps台でかなり通信速度が落ちました。階数が異なりかつ壁に囲まれた場所なので、できれば中継機もあるといいかなと感じました。
通信速度も遅延もオンラインゲームをするには十分だと感じました。
TUF Gaming AX4200をおすすめできる人
TUF Gaming AX4200をおすすめできる人は、リーズナブルな価格でゲーミングルーターを手に入れたい方です。
ゲーミングルーターをAmazonやGoogleで検索すると、ほとんどの製品が2万円を超えています。その時点で、TUF Gaming AX4200の18,000円という価格はゲーミングルーターの中では安価な部類です。
また、上位機種のTUF Gaming AX6000と同等のゲーミング機能(3ステップポートフォワーディング、モバイルゲームモード、アダプティブQoSなど)を使えるため、オンラインゲームをする方やテレワークをされる方にはかなり便利なWi-Fiルーターです。
TUF Gaming AX4200のレビューまとめ
TUF Gaming AX4200をレビューしました。2万円以上するゲーミングルーターがほとんどな中、2万円を切る価格で十分な通信性能を持っているTUF Gaming AX4200はコストパフォーマンスに優れています。
Wi-Fiルーターは一度購入すれば長く使うものなので、できれば最新規格に対応していて大好きなゲームプレイも快適にできるモデルを選んでおきたいところ。もっと安いルーターはありますが、誰よりもゲーム好きな方であればTUF Gaming AX4200であれば後悔がないと思います。
TUF Gaming AX4200で、ぜひゲームも仕事も制しましょう!