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SONY STR-AN1000 レビュー|最新の自動音場補正機能「D.C.A.C. IX」が魅力の7.2chAVアンプ

SONY STR-AN1000

本記事では、SONYから6年ぶりに登場したAVアンプの新作、STR-AN1000をレビューします。HDMI規格「HDMI2.1」など最新の映像フォーマットに対応し、最新ゲーム機のPS5との相性も良いAVアンプに仕上がっています。最新の自動音場補正機能「D.C.A.C. IX」にも対応し、早く正確に音場補正ができるようになりました。

以前SONY STR-DH590を購入し、AVアンプの世界に初めて足を踏み入れました。今までアクティブスピーカーしか使ってこなかった自分にとって、Polk Audio ES15との組み合わせは圧巻の一言でした。PS5の購入で最新規格への対応が必要となりSTR-DH590を買い替えましたが、SONY独特なボーカルが浮き出るような立体感が忘れられず新作を待つことに。そして2023年、一時は「SONYがAVアンプから撤退か」と噂されてから6年ぶりとなるSONYの新作AVアンプSTR-AN1000が登場し発売日に購入しました。

購入から1ヶ月間、PS5やXbox Series Xでのゲームプレイやアニメ・映画鑑賞などじっくり使ってきましたが、今まで4台のAVアンプを使ってきてこれだけは言えます。

たいしょん

SONY STR-AN1000は一度使うと手放せなくなるAVアンプです。

音の臨場感だけではなく、操作性、機能、音場補正など、これまで使ってきたどのAVアンプより素晴らしいと感じました。メインで使っていたDENON AVR-X1700Hでも不満はありませんでしたが、SONY STR-AN1000は価格差以上の満足感です。

SONY STR-AN1000の特長やしばらく使ってみて感じたことをデメリットも含め徹底レビューしていきます!

STR-AN1000
総合評価
( 5 )
メリット
  • 日本語対応・高画質で見やすくなった設定画面
  • 最新の自動音場補正機能「D.C.A.C. IX」で音の定位がいい
  • ALLMやVRRに対応しPS5と相性がいい
  • LDACやDSEE Ultimate対応など音楽再生も楽しめる
デメリット
  • サウンドフィールドの種類は少なくなった
  • 背面の給電用のUSB端子がなくなった
タップできるもくじ

SONY STR-AN1000の特長

SONY STR-AN1000の特長・仕様・付属品は下記のタブにまとめました。

  • スピーカー(アンプ)は7チャンネル、サブウーファーは2出力の7.1ch対応 ソニー独自の立体音響技術「360 Spatial Sound Mapping」による臨場感のあるサラウンド
  • 最新の自動音場補正機能「D.C.A.C. IX」
    付属の測定マイクを使い、各スピーカー配置を3次元で測定し精密に補正
    (各スピーカーの「距離」「音圧」「周波数特性」「角度」を測定)
  • ブラビアとの接続でさらなる臨場感を再現する「アコースティックセンターシンク」
    センタースピーカーと組み合わせてブラビアからも音を出すことで映像と音が一致して、より臨場感のある体験が可能
  • 新たな臨場感を体験できる「360 Reality Audio」などさまざまな高音質な音楽コンテンツに対応
    ハイレゾ音源:最大DSD11.2MHz、192kHz/24bitの音源に対応(DSD:11.2MHz/2CH、5.6MHz/5.1ch、WAV:7.1ch、FLAC:5.1ch、AIFF:5.1ch)に対応
  • ソニーのワイヤレスリアスピーカー、ワイヤレスサブウーファーに対応
    ソニーのワイヤレスリアスピーカー「SA-RS5」「SA-RS3S」
    ワイヤレスサブウーファー「SA-SW5」「SA-SW3」に対応
  • 8K/60Hzと4K/120Hzの映像信号 HDMI規格「HDMI2.1」など最新の映像フォーマットに対応
    4K8K衛星放送や動画配信サービス、ゲーム機などの機器からの入力信号を高解像度、低遅延で楽しめる
    Ultra HD ブルーレイに採用されているHDR10や衛星放送などに採用されているHLG、 Dolby Vision(TM)やIMAX Enhancedに対応
    動きの速い激しいゲームに欠かせない、より低遅延でスムーズなゲームプレイ
たいしょん

iOSとAndroidに対応したSONY Music Centerアプリで、設定や音楽再生が可能です。

Sony | Music Center

Sony | Music Center

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外観デザイン

本体のデザインはAVアンプらしい黒い筐体で、過去のSONYのAVアンプと同様にダイヤルが本体右側に集中しています。サイズは430 x 156 x 331 mmで、テレビ台などAVラックに収めやすいサイズになっています。

SONY STR-AN1000のフロントパネル
左側にはヘッドホン端子、マイク端子、USB端子、右側はボリュームとソース切り替えのダイヤルがある
SONY STR-AN1000の上部
本体上部は熱を逃がすためにベントが空いている

背面に入出力ポートが集中しています。HDMI出力が2系統になったため、テレビとプロジェクターなど2台の機器に接続できるようになりました。

SONY STR-AN1000の背面
背面に7.2ch仕様のスピーカー出力を搭載

ネットワーク機能に対応したため、両サイドに2.4GHz / 5GHzに対応した内蔵のデュアルWi-Fiアンテナと独立したBluetoothアンテナを搭載しています。

SONY STR-AN1000のアンテナ
アンテナは可動するため収納もできる

SONY STR-AN1000のレビュー

日本語対応・高画質で見やすくなった設定画面

SONYのAVアンプを使っていたユーザーとしてまず感動したのは、設定画面のHD化と日本語対応です。6年前のSONYのAVアンプでは英語、スペイン語やフランス語ぐらいしか選べず、操作性に少し難がありました。

STR-AN1000からは日本語対応かつ高画質になり、シンプルかつ分かりやすい設定画面に生まれ変わりました。

「映像をみる」などかなり分かりやすい表現で設定項目が並んでいる
説明も日本語対応になり、図で設定も分かりやすいなっている
たいしょん

説明書を見なくてもやりたい設定にアクセスしやすくなりました。

最新の自動音場補正機能「D.C.A.C. IX」をチェック

STR-AN1000から新しく搭載された自動音場補正機能「D.C.A.C. IX」を自室で早速試してみました。

D.C.A.C. IXとは?

スピーカーの配置を3次元で測定し、その位置情報に基づきより広い位置にファントム(仮想)スピーカーを生成する機能。

D.C.A.C. IXのイメージ
D.C.A.C. IXのイメージ

D.C.A.C. IXでは、まずスクリーンからの距離、天井の高さ、スクリーンの高さを手動で入力します。これにより、横方向だけではなく高さ方向の補正も可能にしています。

スクリーンから視聴位置までの距離を入力
天井の高さを入力
スクリーンの高さを入力

メジャーで測ると手間だったので、レーザー距離計のBOSCH ZAMO3を使用しました。

レーザー距離計のBOSCH ZAMO3

次に、測定用マイクでスピーカーのキャリブレーションをします。

マイクのキャリブレーションの説明

付属のスタンドを三脚に固定し、耳の高さにマイクが来るように調整します。

三脚に測定用マイクを固定

測定は2回行われ、1回目は横方向、2回目は前後方向の測定をします。そのため、スタンドはマイクを1回目と2回目の測定で向きを変えられるよう工夫されています。

1回目の測定はマイクをスタンドの上に置く
2回目の測定はマイクをスタンドの下に置く
実際にD.C.A.C. IXでスピーカーを測定している様子

個人的にびっくりしたのが、スピーカーの数が増えても必ずスピーカーの補正が2回で済むことです。例えばDENONの場合、スピーカーが2台であっても8箇所でスピーカーを片側ずつ計測する必要があるので20分ぐらいかかっていました。スピーカーの数が増えればその分補正時間も長くなります。しかしSONYはスピーカーが2台以上になったとしても1箇所で2回スピーカーを測定するだけで済むので、1分もあれば測定が完了します。

たいしょん

マイクがステレオになったおかげで、音場補正の精度だけではなく時短も実現しています。

音質検証(2chステレオと4chサラウンド)

音場補正が完了したので、早速音質レビューを見ていきましょう。まずはAVアンプの音の特長を掴むために、シンプルな2chステレオ構成で映画やアニメを見てみました。スピーカーには、Focal Chora 806を使用しています。

まず感じたのが、スピーカーが画面より下にあるにも関わらずしっかり画面のキャラクターの位置から声が聞こえてくることです。音場補正時にスクリーンの高さを手動で入れましたが、その効果が出ていると感じました。

次に感じたのが、声優の声がまるで画面の奥から本当にそこにいるかのような立体感を持って聴こえてくることです。SONYのAVアンプはSTR-DH590の時も特に声の立体感がよく、アニメや映画との相性がかなり良かった記憶があります。このあたりはSONY系列のアニプレックスや、ハリウッドにスタジオを置くソニー・ピクチャーズなどアニメや映画にも関わっているSONYの強みだと感じています。小音量時でも音痩せが少なく、夜間で音を絞って聴いているときでも聴きやすいので重宝しています。

次に、4chスピーカー構成でアニメや映画を観てみました。リアスピーカーには、Polk Audio ES15を使用しています。

リアスピーカーを設置して4ch構成に

サラウンド時はSPKリロケーションという機能が使え、スピーカーの位置がずれていても4つのスピーカーとも均等に配置されているように聴こえる補正が可能です。

SPKリロケーションでスピーカーの位置が補正できる

この状態で映画を観たら包まれ感がすごいんだろうなという期待感の中様々な作品を観たのですが、音のつながりがかなり自然でスピーカーが違っていても違和感がありませんでした。ツィーターの種類はChora 806はアルミドーム、ES15はソフトドームなのですが、スピーカーユニットの材質に関わらず位相特性をフロントの特性に合わせて揃えるA.P.M.(オートマチック・フェーズ・マッチング)という機能がかなり効いているみたいです。

自動位相マッチング機能「A.P.M.(オートマチック・フェーズ・マッチング)」は、フロントスピーカーと異なるスピーカーをサラウンドやセンターに使った場合でも、位相特性をフロントの特性に合わせて揃えることでチャンネル間の音のつながりを向上させる技術です。すべてのスピーカーをフロントスピーカーで構築したかのような、つながりのあるサラウンド空間を再現します。フロントスピーカーの特性は変更せず他のスピーカーの位相特性だけを補正するので、フロントの音質への影響なく壁反射による位相の乱れ、ホーン型/コーン型/ドーム型といったスピーカーの形式の違いに起因する位相特性のズレも正確に補正します。

SONY公式サイトから引用
たいしょん

スピーカーのメーカーを揃えていなくても自然なサラウンド感を得られます!

PS5と相性がいい

次に、PlayStation 5をプレイしてみました。Xbox Series XとPS5を所有しており、STR-AN1000を購入してから毎日のように遊んでいます。

STR-AN1000とPS5とXbox Series X

STR-AN1000はHDMI2.1に対応しており、PS5やXbox Series Xと相性がいいです。具体的には、PS5やXbox Series XでVRR(Variable Refresh Rate)で可変リフレッシュレートに対応したりALLM(Auto Low Latency Mode)による低遅延なゲームプレイが可能です。

実際にPS5でサイバーパンク2077をプレイしましたが、テレビスピーカーでは味わえないほどの迫力ある音で楽しめました。音場補正で音の定位もいいので、画面の中のキャラクターの位置も声で把握しやすいです。つまりFPSゲームに向いています

たいしょん

ゲームも音が変わるだけでまるでゲームセンターにいるかのような迫力で楽しめます。

音楽再生もかなりこだわっている

STR-AN1000は、映像コンテンツだけではなく音楽再生にもかなりこだわっています。

  • LDAC対応でBluetooth経由でハイレゾ音源を聴ける。
  • DSEE Ultimateで圧縮音源もハイレゾ音源並にアップスケールしてくれる。
  • AirPlay 2Works with SONOSRoon Testedなど最新の主要なストリーミング規格に対応。
たいしょん

ウォークマンでもよく搭載されている機能ですね。

音楽はSony Music Centerアプリから気軽に再生でき、アプリを起動するとSTR-AN1000のスリープモードが解除される仕組みなのですぐに音楽が聴けます。

個人的には別途プリメインアンプがいらないほど音質には満足で、これ一台で映像作品も音楽作品も高次元で楽しめているので毎日仕事終わりの時間が待ち遠しく感じています。以前STR-DH590を使っていた時は高音域の透明感が少なく不満でしたが、STR-AN1000ではかなり満足のいく高音域表現を実現していました。

SONY公式サイトの「高音質技術」のページを見ると、STR-AN1000のボンディングワイヤにアルミや銅ではなく金を使っていたり、回路基板や材質がかなり豪華な構成になっていて音質への高いこだわりが感じられました。時間がある時に見ていただくと楽しいですよ。

SONY STR-AN1000のデメリット

サウンドフィールドの種類は少なくなった

SONY STR-DH590ではHallやJazz、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントの「ケリーグラントシアター」の音響を再現したHD-D.C.S.などサウンド効果のプリセットが充実していましたが、STR-AN1000ではそれらのサウンドフィールドのプリセットはなくなっています。具体的には、音楽再生時のサウンドフィールドはオーディオエンハンサーのみ、映像再生時も4種類になりました。

ただしその分360 Spatial Sound Mappingなどサラウンド効果の調整幅は広がりましたし、プリセットで手軽に設定するというより自分の好みに合わせて微調整するほうが好きな方には問題ないでしょう。

背面の給電用のUSB端子がなくなった

SONY STR-DH590では背面にFire TV Stickなどドングルの給電用にUSB端子がありましたが、STR-AN1000では給電用のUSB端子がなくなっています

STR-DH590の背面にはHDMI端子の横にUSB給電用のポートがあった

僕がメインで使っているDENONのAVアンプには背面にUSB端子がなかったので特に気にしていないのですが、SONYのAVアンプをずっと使っていた方にはデメリットと感じる点かもしれません。

たいしょん

背面USB端子はSONYの特権だったので少し残念。

SONY STR-AN1000をおすすめできる人

SONY STR-AN1000は、映画も音楽も妥協なく快適に楽しみたい方におすすめです。

SONYは家電のみならず、映画やアニメの制作会社、音楽事務所、ゲーム制作会社も所有している数少ない企業です。そんなSONYが作るSTR-AN1000で実際にアニメや映画、音楽、ゲームを楽しんでみて、2023年時点で10万円前後のAVアンプでこれ以上のものはないと感じています。

10万円台のAVアンプで、音場補正用マイクにステレオマイクを採用しているメーカーはありません。また、スクリーンからの距離、天井の高さ、スクリーンの高さまで入力して高い精度の音場補正をデフォルトで搭載しているAVアンプも見たことがありません。このことからも、音の補正能力は群を抜いています。

今回は試せませんでしたが、ソニーのワイヤレスリアスピーカー「SA-RS5」「SA-RS3S」、ワイヤレスサブウーファー「SA-SW5」「SA-SW3」にも対応しています。STR-AN1000は将来的にフロント以外スピーカーをワイヤレスにしたい場合でも対応できる拡張性の高さも魅力で、他メーカーのAVアンプでは決して味わえない快適さを体験できる機種だと感じています。

たいしょん

操作性や拡張性を含めた快適さが魅力です。

SONY STR-AN1000のレビューまとめ

SONY STR-AN1000をレビューしました。6年ぶりとなるSONYから登場したAVアンプでしたが、個人的に期待以上の出来で毎日楽しく映画やアニメ鑑賞、ゲーム、音楽鑑賞とマルチに楽しんでいます。

価格が10万円を超えていて購入に勇気がいりますが、AVアンプは一度購入すれば何年も長く使うものです。もしホームシアターの構築をしていてSTR-AN1000が気になっている方なら間違いなく後悔なく満足できる機種なのでぜひ一度お試しください。

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