本記事では、DENONのエントリー向けAVアンプ、AVR-X580BTをレビューします。実売3万円台で購入できる入門機ながら、デノンサウンドマスターの山内氏が開発当初から加わっている本格モデルです。
現在DENON AVR-X1700Hを使っていて、高い機能性や音質に満足しています。スピーカーを新たに新調した関係でもう一つAVアンプが欲しくなったので、エントリーモデルのDENON AVR-X580BTを購入して4ヶ月ほど使ってみました。
結論から言えば、2ch(フロントスピーカー2台)で使うならDENON AVR-X580BTで十分満足できる音に感じました。以前SONY STR-DH590を使っていたのですが、高音のヌケ感が悪く手放してからエントリー向けのAVアンプはやめておこうという先入観がありました。しかしこの音質なら5万円前後のプリメインアンプもいらないと感じるほどで、音楽だけじゃなくて映画やアニメも観る方には最適なAVアンプです。
DENON AVR-X580BTの特徴や実際に使ってみて感じたメリットやデメリットを徹底レビューしていきます!
- 音質がかなりいい(特にPure Directモード時)
- 設定画面のHD化で見やすくなっている
- Bluetooth経由のアプリ操作が使いやすい
- X580BTのリモコンでX1700Hの電源が入ることがある
- Wi-Fiなど上位機種にあるネットワーク機能はない
DENON AVR-X580BTの特徴
DENON AVR-X580BTの特徴・仕様・付属品を下記のタブでまとめました。
- サラウンド体験をもっと手軽に: ロスレスサラウンドフォーマットDolby TrueHD、DTS-HDに対応しており、録音スタジオで制作されたサウンドトラックのマスター音源のクオリティをそのままホームシアターで楽しむことができます。
- エントリーモデルが8K対応に: すべてのHDMI端子が8K/60Hz、4K/120Hz、最新の映像コンテンツに対する著作権保護技術「HDCP 2.3」にも対応。
- Bluetoothで音楽を手軽に: スマートフォンやタブレット、PCなどのBluetooth(A2DPプロファイル)対応機器からのワイヤレス音楽再生に対応。
- 最新のゲーム体験: ALLM、VRR、QFTに対応。PS5やXboxなど対応のゲームデバイスを接続することで、画面割れ(ティアリング)やカクつきのないスムーズな映像を実現します。
デザイン
X580BTは、上位モデルとほぼ共通の無骨でシンプルなデザインです。サイズはW434 × H151 × D330mmで、DENONのAVアンプとしては若干小柄です。重さは7.6kgで、X1700Hよりも軽く感じました。
背面にはスピーカー端子やHDMI端子が揃っており、エントリーモデルなので端子は少なめです。ただ、HDMI端子は4系統とも8K/60Hz、4K/120Hzの映像信号に対応し上位モデルよりも優れています。端子がHDMI 2.1に対応することで、PS5やXbox Series Xなど高性能なゲーム機なら、VRR(Variable Refresh Rate)で可変リフレッシュレートに対応したりALLM(Auto Low Latency Mode)による低遅延なゲームプレイが可能です。
付属のリモコンは大きく押しやすいです。機器の切り替えや電源のオンオフなど気軽に操作できるのはいいですね。また、各ボタンは蛍光仕様のため暗所でもボタンが見やすくなっています。
DENON AVR-X580BTを実際に使ったレビュー(メリット中心)
音質がかなりいい(特にPure Directモード時)
DENON AVR-X580BTは、Polk Audio ES15と組み合わせて使っています。同じD&Mホールディングスが取り扱っている製品同士だからかこの相性がかなりよく、音質に関してはかなり満足しています。各メディアでも言われているように、音にエントリー感がありません。
普段はよくジャズを聴きますが、X580BTはタイトではなく量感で押し出すようなパワーのある低音が出てくれるためジャズのダイナミックな雰囲気をうまく演出してくれます。高音の透明感も高く、トランペットの躍動感のある音も得意です。
特にPure Directモード時はノイズ対策のため、X580BT本体の液晶が消灯するほどのこだわりっぷりです。
映画やアニメの音の定位もよく、付属の音場補正用のマイクで補正すれば部屋の音響特性に合わせてイコライジングもしてくれるためかなりお手軽に設定できます。1点だけで測定するので、1分かからないぐらいで測定が終了します(ちなみに上位機種のX1700Hは8点測定するので10分ぐらいかかります)。
何よりX1700Hではオーディオエンハンサー(セリフを強調する機能)がなければ声が引っ込むように聞こえていたのが、X580BTでは素の状態で声が聞き取りやすかったのでかなり優秀に感じました。
2chの構成でしか使いませんが、臨場感があり映画もアニメも楽しめます!
設定画面のHD化で見やすくなっている
X1700Hまでは文字にジャギーが目立つほど解像度が荒い設定画面でしたが、X580BTは設定画面がHD化されかなり見やすくなりました。エントリー向けで設定画面の説明も図解で丁寧なので、初めてAVアンプを使うという方にもすぐ馴染むと感じました。
参考までに、X1700Hの設定画面の画像を載せます。解像度が低く、文字がギザギザになっていますよね。
設定画面は上位モデルのX1700HよりX580BTの方が優れていました。
Bluetooth経由のアプリ操作が使いやすい
X580BTは、専用アプリのDenon 500 Series Remoteを使うことでiPhoneやAndroidなどスマートフォンから操作が可能です。X580BTに接続している機器の表示を切り替えたり、X580BTの電源を切るなどリモコンのようにして使えます。
また、スマートフォンに入っている音楽をBluetooth経由でX580BTで再生できるので、サブスクで音楽を聴いている人も気軽にワイヤレスでX580BT上で音楽を聴けます。BGM用途でパッシブスピーカーの使用を考えている人も、十分満足できる仕様ですね。
ちなみにBluetoothの対応コーデックはSBCと、18万円する上位機種X3800Hでも対応していないAACに対応しています。
Apple製品だけではなく、AndroidスマホもAACに対応しているので高音質のままAVアンプで音楽が聴けます。
3万円台のプリメインアンプでもBluetooth対応していない製品が多いので、嬉しいです。
DENON AVR-X580BTのデメリット
X580BTのリモコンでX1700Hの電源が入ることがある
実は、X580BTのリモコンは上位機種のX1700Hの操作にも使用できます。僕はX580BTを置いているデスクのすぐそばにX1700Hを設置している都合上、まれにX580BTのリモコンの電源ボタンを押すとX1700Hの電源がつくことがあります。
正直同じ部屋に同じメーカーのAVアンプがあることがまれなケースなのですが、もしDENONの他のAVアンプが同室にある場合は設置する場所を離すか、節電も兼ねて使わない方のAVアンプの電源を切っておく対策をするといいです。
Wi-Fiなど上位機種にあるネットワーク機能はない
X580BTはBluetoothには対応していますが、X1700HのようにWi-Fiには対応していないためAirPlayで音楽を転送したりとネットワーク機能が使えません。
ただし、例えばChromecast with Google TVのようなドングルを使用することでChrome CASTやAirPlayに対応できるため、必要があれば後から足すことも可能です。
映画やアニメも見れるので、Chromecast with Google TVはかなり役に立っています。
DENON AVR-X580BTをおすすめできる人
DENON AVR-X580BTは、初めてAVアンプを購入される方に特におすすめです。Dolby Atmosなど本格的なイマーシブサウンドは使わず、2chのシンプルな構成から初めるような方なら上位モデルじゃなくても本機で十分でしょう。同価格帯のエントリーモデルであるSONY STR-DH590より高音の透明感や操作性は完全に上なので、3万円台で購入できる今ならX580BTをおすすめします。
ネットワーク機能を使いたかったり、7.2chの本格的なサラウンド環境を組みたい方ならAVR-X1700Hをおすすめします。
DENON AVR-X580BTのレビューまとめ
エントリーモデルのAVアンプ、DENON AVR-X580BTをレビューしました。なるべく手軽な価格で映画やアニメを本格的な音質で楽しみたい方は、まずX580BTから始めるといいでしょう。X1700Hからの買い増しでも音質が劣っているとは感じず、同価格帯のSONY STR-DH590より確実に音はいいのでエントリー向けAVアンプの決定版といっても過言じゃありません。
価格は安く、でも音質に妥協したくない方はぜひ一度お試しください!
- 音質がかなりいい(特にPure Directモード時)
- 設定画面のHD化で見やすくなっている
- Bluetooth経由のアプリ操作が使いやすい
- X580BTのリモコンでX1700Hの電源が入ることがある
- Wi-Fiなど上位機種にあるネットワーク機能はない